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(連載企画)2050年の日本(第1回)

 年初にあたり、将来に思いを巡らせてみるのも有意義だと思います。そこで、2050年の日本はどうなっているのか、国の目標と複数の民間予測レポートからその姿を概観してみます。

1. 国の目標にみる2050年の姿

 第一に、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラルをめざす目標があります。「ニュートラル」なので、温室効果ガスの排出量と吸収量がほぼ同じになる、というのが「全体として」という意味であるところが留意点です。
 ちなみに、2020年の温室効果ガスの総排出量は、11億5,000万トン(CO2換算)で、2013年度の総排出量から21.5%減少しています。

 第二に、ムーンショット目標のひとつに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会の実現が掲げられています。そもそもムーンショットとは、ケネディ元米大統領が提唱したアポロ計画のような、壮大で達成が難しいが、実現すれば大きなインパクトがある事柄を指します。内閣府は、2020年に「総合科学技術・イノベーション会議(第48回)」でムーンショット計画の推進を決定し、同時に決定されたのが、前記の目標です。

 この目標は、少子高齢化で働く人が減少するため、アバター・ロボットを用いた新たなビジネスの実現やサービスの創出をめざしています。また、身体の拡張により、あらゆる年齢の人々が多様なライフスタイルを追求できる社会の実現をめざしています(図1)。
 国の2050年の目標を大きく捉えると、地球環境保全とデジタル技術の開発・利活用といえます。中小企業の経営でも、国の方向性を頭に入れて、将来を考える必要があります。

図1サイバネティック・アバター生活のイメージ 出所:内閣府ホームページ

2.民間予測レポートにみる2050年の姿

 2050年の姿を予測したレポートとして、
① 三菱総合研究所 未来社会構想2050  (2019年)
② みずほフィナンシャルグループ 2050年のニッポン~課題を乗り越え輝き続けるために~(2017年)
③ 経団連 グローバルJAPAN 2050年シミュレーションと総合戦略(2012年)
④ 野村総合研究所グループ NRI未来年表 2023~2100(2022年)があります。
本稿では、比較的新しい、①、②および④のレポートの内容を概観します。

 まず、複数のレポートに共通しているのは、世界の中での日本の経済的存在感の低下です。経済力は一般的にGDPで測られますが、円安や少子高齢化等により、日本のGDPは今後も低下していきます。2050年の日本のGDPは世界8位程度になるという予測もあります。
 人口減少や高齢化は一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、問題をどのようにとらえ克服していくか、まさに日本人の知恵が問われています。
 各レポートが示す処方箋は、次号で詳しくみていきます。

出所:三菱総合研究所 未来社会構想2050

【関澤 充】

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