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連載企画 コロナ禍だからこそ、成功を収めた中小企業の特徴(第2回)

 前回、業況判断DIの指標を確認した結果、コロナ禍において影響を受けた企業数が多いことが改めて分かりました。一方で、業況が改善している企業も当然存在しており、今回の連載以降で、それらの企業の業況が改善している理由や特徴について迫ってみたいと思います。

 まず始めにコロナ禍において業況が改善している企業には2つの種類があると考えております。1つ目はコロナ禍という状況が新たなビジネスチャンスを生み、それが追い風となって業界の需要が伸びその影響で企業の業況が改善している場合と、もう1つは業界自体がコロナ禍の影響を受けて縮小する中、個々の企業自体が並々ならぬ努力を重ねて業況を改善させた場合です。

 では最初に、コロナ禍によって伸びている業界について、2021年8月に帝国データバンクが発表した新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査をもとに見てみましょう。

出典:帝国データバンク 新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査より
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210903.html

  表を確認すると『プラスの影響がある』業界は「飲食料品小売」と「教育サービス」がともに 16.7%で最高となっており、以下、「各種商品小売」(15.9%)、「娯楽サービス」(14.7%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(12.5%)が上位になっています。

 また、巣ごもり消費に関連したサービスや商品を提供する業界や、新型コロナウイルス対策関連のサービスや商品を提供する業界、リモートに関連したサービスや商品を提供する業界なども『プラスの影響がある』業界と言えるでしょう。

 また、三菱総合研究所が公表しているデータにおいても、巣ごもり消費に関連したサービスや商品を提供する業界としては、小売・Eコマースが相当し、2021年1-3月時点ではコロナ危機前の2019年を+44%上回る水準に達しているほか、リモートに関連したサービスや商品を提供する業界として、情報通信機械・ITサービスは同+26%、新型コロナウイルス対策関連のサービスや商品を提供する業界として、ヘルスケアは同+19%となっています。

図表:世界主要企業の業種別の売上高

出典:Bloombergを基に、三菱総合研究所作成
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20210730.html

  更に、製造業においては「自動車」と「IT関連」が好調となっており、第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミスト(注)によると、自動車については、対面型サービス消費に向かうはずだったおカネが自動車購入に向けられた影響で、米国と中国の新車販売台数は2020年後半以降、コロナ禍前の水準を上回る回復をし、これらの恩恵により日本からの輸出量はコロナ禍発生前の水準を回復。また、IT関連については、5G対応スマートフォンの投入、通信基地局の整備、データセンターの能力増強、在宅勤務の進展に伴うノートパソコン出荷の増加に対応するための需要が旺盛だと言うことです。

 それを裏付けるように現在、半導体が不足し半導体を必要とする製品では生産が一部滞る事態に発展しています。

 このようにコロナ禍という今まで経験したことがない特殊な状況においては、二極化が進み大きく落ち込んだ業界と、追い風となって伸びた業界との差が著しいことが分かりました。次回の連載は業界が落ち込む中、個々の企業自体が並ならぬ努力を重ねて業況を改善させた企業について深堀していきたいと思います。

(注)出典:Yahoo!ニュース(筆者により一部要約)https://news.yahoo.co.jp/articles/bc85aab05524e842fad6d224696a42a0a2e7cf5e?page=1


【鈴木 洋路】

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