(連載企画)診断士における伴走型支援の在り方について(第1回)
昨今、中小企業、小規模事業者の経営環境は、「長引くコロナウイルスによる不況」や「米中対立による経済摩擦」、「ウクライナ紛争による原油、資源高等」、「円安による為替レートの変化」、「2023年10月より始まる適格請求書等保存方式」など大きく変容し、中期的な予測を立てるのが難しい状況となっています。
そのような中で2021年10月に中小企業庁において、経営資源が限られている中小企業、小規模事業者に対して、どのような支援を行えば、その成長・事業継続・復活を導けるかを検討すべく「伴走支援の在り方検討会」が立ち上がり①あるべき中小企業伴走支援の姿を「経営力再構築伴走支援モデル」として整理し、併せて、②本モデルを普及させるための方策についての整理、議論が行われました。そこで、本連載を通して「診断士における伴走型支援の在り方について」書いていこうと思います。
まず始めに伴走型支援とは、どのような意味なのか説明したいと思います。まず、デジタル大辞泉(小学館)によると
という解説がなされており、
『ホームレスの人や経済的に困窮に陥っている人等に対する支援という意味合いがあり、これは、「伴走型支援士」と呼ばれるNPO法人・ホームレス支援全国ネットワーク協会が認定する民間資格の存在があるためで、この資格ができた背景は、路上生活者を支援するためには個々の支援者の経験と情熱によるところが多く、体系的な方法論が整っていない状況が続いていたこともあって、専門的な知識を持っている支援者を育成することを目的とし、2012年より講習会の開催と資格認定が行われるようになったというものです。そして、「社会復帰」や「生活再建」という部分よりも、「支援者が一対一で支援を行う」という部分が伴走型支援の本質になるというものです。』
株式会社平岡商店ホームページより引用。
そして、事業者への支援ということでは、福岡商工会議所のホームページに伴走型支援とは、「販路拡大や事業承継など小規模事業者が直面する経営課題に対し、事業計画の策定や資金調達などを事業者に寄り添って支援する体制のことであり、“伴走型”というのは、まさにマラソンなどでランナーのそばをついて走る伴走者のように、支援者である者が継続的に事業者の課題解決のための支援を行うこと」と説明しています。では、具体的にどのような支援を行っていくかですが、福岡商工会議所では以下のような支援を伴走型支援として紹介しています。
次に「伴走支援の在り方検討会」においてまとめられた報告書について紹介をしていきたいと思います。大まかにはⅢ章だてとなっており、
Ⅰ章目は「経営環境の変化が激しい時代における中小企業支援の在り方」、下図は概略図
Ⅱ章目は経営力再構築伴走支援モデルのフレームワーク、下図は概略図
Ⅲ章目は経営力再構築伴走支援モデルの実践、下図は概略図
となっており、「伴走支援の在り方検討会報告書」は参考資料や事例も含めて85ページに及ぶ内容になっています。以降の連載ではこの「伴走支援の在り方検討会報告書」についての詳細や参考事例などを深掘りしていき診断士における伴走型支援の在り方について会員の皆様へ有益な情報とともに支援の在り方の参考になれれば幸甚です。
【鈴木 洋路】
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