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連載企画第2回 横浜市の外資系企業

1.横浜市の外資系企業の業種

 前置きが幾分長くなってしまったが、いよいよ横浜市に所在する外資系企業の現状を明らかにして行きたい。前回は全国の外資系企業を業種、出資企業の国籍、設立時期で分析した。今回も先ず同じ軸で分析してみる。
 横浜市の外資系企業を業種別に区分したグラフは次の通りである。製造業と情報・システム・ソフトの割合は全国とほとんど変わらない。大きく異なるのが卸売業の割合であり、全国では 37%だったものが、横浜市では 51%と過半になっている。製造業と非製造業という観点で見ると、全国も横浜市もその割合は大きく変わらないので、横浜の場合は非製造業に占める卸売業の比率が著しく高いという特徴がある。

2.横浜市の外資系企業の国籍

 外資系企業の国籍と書いたが、正確にいうと横浜市に所在する外資系企業の出資企業が属する国・地域ということになるだろう。こちらも全国と同様に区分してみると下図のようになる。欧州、北米、アジアの順に企業数が多いことは変わらないが、その割合には大きな相違がある。特に欧州は全国 42%に対し横浜市は 56%と過半を占めている。北米は全国 38%が横浜市 30%に減少し、アジアも 18%が 13%になっている。言い換えると、欧州の割合が大きく増加し、その分北米・アジアの割合が減っている。
 国・地域別の分類に業種の要素を加えた棒グラフを国・地域別の円グラフの下に併記する。当該二図から欧州の企業数が多いのは、欧州の非製造業の企業数が多いことが主因であることが判明する。そこで上記二図に更に一図を加えて欧州の業種別・国別に内訳を探ると、ドイツの企業で機械卸売、電気機器卸売、精密機器卸売、輸送用機器卸売が多いことが分かる。これらのドイツ企業は、ドイツ国内または日本以外に生産拠点を持つメーカーの傘下にある企業であり、自社製品を日本で販売することを目的に流通・卸の機能を担う企業を日本に設立しているケースが多いようである。

3.横浜市のドイツ系企業

 何故横浜市にドイツ系の卸売業が多いのだろうか。一つの示唆として横浜市の外資系企業の所在地とドイツ系の卸売業を地図上にマッピングしてみた。下の上図が外資系企業全体であり、下図がドイツ系卸売業の所在地を示している。外資系企業全体としては、横浜市中心の沿岸部への集積が著しいが、ドイツ系の卸売業は新横浜近辺所在の企業が多い。新幹線と東京横浜独逸学園の存在が大きな影響を及ぼしていると思われ、外資を誘致する際の広い意味でのインフラ整備が如何に重要か物語っているようにも思える。

4.横浜市の外資系企業の設立時期

 製造業と非製造業に分けて、横浜市の外資系企業の設立時期を明らかにすると、ほぼ全国と同様の傾向が見られる。元データの設立時期の区切り方が均等でないため分かり難い部分があるが、非製造業の設立数がどの時期においても製造業の設立数を上回っており、結果として産業の高度化が進行していることが見て取れる。参考に情報・システム・ソフト企業の設立時期を抽出してみたのが併記した下図である。近年アジア系の企業が多くなっており、この業種では欧州企業は存在感が薄い。

【高木 富士夫】

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