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(連載企画)中小企業が知っておくべき組織作り 第4回

前回の連載から組織作りのキーとなる中堅社員を中心とした管理職の育成について掲載しました。会社全体のムードは現場リーダーである中堅社員にかかっている、と言っても過言ではありません。そこで管理職の育成の中でも最も重要なものが「人を育てる技術」「人を動かす技術」になります。今回はその2つの技術の中で「人を動かす技術」について掲載致します。

【第4回:中堅管理職教育 人を動かす技術】

「部下が言う事を聞かない」「部下を思うように動かすことができない」「他部署に対し思うように物事を交渉できない」など、人を動かすことで悩んでいる管理職は多く見られると思います。私も前職の百貨店でマネージャーに着任した当初は、30名の部下や200名を超えるスタッフのマネジメントをしている中で、人を動かすことに対し常に悩んでいました。当時は「また部下から反発されないかな?」「こんなお願いは取引先の店長は嫌がらないかな?」など、常に相手の気持ちに対し不安を抱きながら行動していました。結果、自分自身で動いてしまい、思うように人を動かせない経験が多くありました。

今回お伝えしたいのは、人を動かすとはいかに人に気持ちよく動いてもらうかがポイントである、ということです。ここで言う「人」というのは、仕事に関わる顧客、他部署、他職種、部下や上司を指します。そうした人へ、話をしたり聞いたり、褒めたり怒ったりするのも全て人を動かすために繋がっています。人に気持ちよく動いてもらうこと自体が、いい仕事だと言えるのです。

今回はD・カーネギーの「人を動かす」で記されている人を動かす3大原則をもとに解説します。3大原則とは「批判も非難もしない」「率直で誠実な感謝を示す」「相手の利益を考える」です。「批判も非難もしない」の理由は、誰でも責められると自分を正当化してしまい、かえって逆効果になるからです。ここでは、問題となった行動に対してどうしてそうなったかを、丁寧に柔らかく聞き出すことが重要です。「率直で誠実な感謝を示す」の理由は、人は承認欲求を満たしてくれる人は無意識のうちに重要人物と認識する性質を持つからです。常に小さな事でも褒める、感謝を伝える癖を身につけ、相手を信頼していることを表現することがポイントです。「相手の利益を考える」の理由は、相手が置かれている立場、相手が大事にしている価値観を知ることで、どうしたら行動に移してくれるのか、相手の利益を考えることが重要だからです。ポイントは動かす相手によって、どういった仕事の価値観を重要視しているか、個人個人によって違いがある、ということです。例えば成長できる困難な課題に立ち向かえる人、明確なメリットや見返りを望む人、楽しさや皆でワクワクできる環境が好きな人、メンバーみんな仲良く協調性を持ち、安心安全に仕事をしたい人など、タイプは様々です。大事なことは、相手の価値観は変えられない、自分自身は変えることができるため、相手が動く言い方や伝え方の工夫を自ら努力して変えていく、ということです。 

私の事例では、新任マネージャー時代に部下を心から信頼できず、計画や方針も全て自分で決めていました。そうした状況により、部下への指示も部下の中では腹落ちせず、思うように動いてくれませんでした。結果的には私自身が独りよがりな価値観を排除し、部下の意見に耳を傾けることで相手を信頼するように変化しました。また部下に仕事を任せるようにし、自主性を尊重したことで、メンバー全員がいきいきと仕事ができるように職場環境は改善していきました。

D・カーネギー
『人を動かす』

人を気持ちよく動かせる人で特に管理職は、組織の目標達成と働きやすい組織の維持に貢献します。人を動かせる人は皆から信頼され、相手に合わせて言い方を変えたり決して相手を問い詰めたりもしません。またどのような人にも関心や好意を持ち接することで、状況の改善の為に自身を変えていける能力を持ち合わせています。そのような管理職を育成していくことが、組織の成長への課題となります。

今回の連載の主題は、中小企業でも会社がうまくいっていない原因は「人の問題」ではなく、「組織の問題」にあるということです。真の原因は管理職や社員個人にあるのではなく、人材育成や組織作りに取り組めていない会社にあります。あるべき姿は社員が自主的に改善し、自ら強い組織を目指そうとする仕組みを会社が作ることです。人手不足問題を改善するために、いかに社員がいきいきと活躍できる魅力的な職場を作っていくか、私自身も支援の中で事業者と伴に追求していきたいと考えています。

【須藤 弘幸】

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