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(連載企画) 中小企業が知っておくべき組織作り連載企画 第3回

前回の連載では、組織作りの土台として組織定義と定義に沿った基礎教育の必要性について掲載致しました。基礎教育では若手社員の導入教育と管理職教育で中堅社員の改善を行っていきます。若手社員には「社会とは何か?会社とは何か?」をきちんと伝えます。業務知識やOJT教育も必要ですが、「なぜ自分は働くのか?」を問いて働く意義を考え、社会と会社の仕組みを教えます。特に入社直後は壁にぶつかり理想と現実のギャップに悩む時期です。そのため「自分の幸せは自分の仕事を通じて自分で作る。自分の人生は自分が仕事を通じて成長し切り拓く。そのために会社があり、社会に貢献することで実現する」といったメッセージで成長意欲を引き出します。

次に組織作りのキーとなるのが中堅社員を中心とした管理職の育成です。会社全体のムードは現場リーダーである中堅社員にかかっていると言っても過言ではありません。そこで管理職の育成の中でも最も重要なものが「人を育てる技術」「人を動かす技術」になります。今回はその2つの技術の中で人を育てる技術について掲載致します。

【第3回:中堅管理職教育 人を育てる技術】

現在、多くの企業では人材不足や採用難が問題となっています。そうした中でいかに現有戦力である現場社員の生産性を上げるかが課題となります。特に現場は毎日煩雑な業務の傍らで人材育成を行うなど一筋縄ではいかないケースがほとんどです。また昨今では中堅管理職の負荷が大きくなり、昇進を望まない若手社員も出てきています。そうした中でいかに段階的、組織的に人を育てていくかがポイントになります。

まずはなぜ人材育成をするのか、目的を明確化します。主な目的は以下の通りです。

1. 社員の実務能力、意識、やる気を高め、組織の目標を達成するため
2.部下の成長で、上司がより創造的な仕事に専念できる環境を作るため
3.教育を通して、上司部下の強い結束を築くため
4.教育的な組織になることで、若い社員の定着化を図るため
5.若年層からリーダーを育て、組織の拡大・発展に備えるため 

また育成を通して求める人材像は「自主的に働き、自主的に学び、成長を続ける人」「チームワークを重視し、仲間と会社に貢献できる人」と言えます。そうした目的や人材像をまずは共有し、以下のステップ感で管理職の部下育成スキルを体系立てて習得します。

部下育成の前提条件としては①安全な場を作る、②信頼関係を築く、③自信を持たせる、④成長意欲を持たせる、です。安全な場とは部下が自由に質問し意見できる職場を指します。上司の価値観を押しつけたり決してイライラを見せることなく、安心して過ごせる場所をつくることです。また部下との信頼関係構築も重要です。信頼、信用しない人の言うことは聞いてくれません。ここではいかに上司から部下に関心を持つかがキーとなります。さらにできたことを単純に褒めるだけではなく、困難な仕事に対し部下を信じ勇気づけることで「自分ならできる!」といったやる気と自信を持たせることです。前提条件の最後は部下の成長意欲を引き出すことです。誰でも成長したいと思っており、上司は部下ができると信じ、成長した先の素敵な未来を見せていくことがポイントです。

前提条件を踏まえ、次に⑤内面指導をする、⑥業務指導をする、⑦キャリア指導をする段階になります。内面指導は部下の考え方、大事にしていること、生き方を探り問題行動に対してなぜできないのか?を指導していきます。特に部下が内面的な問題で失敗した時は内面を改善し大きく成長させる機会となります。ここでは部下へ「注意が足りていない、勇気がない、真剣でない」など、ストレートに厳しく指導する必要があります。次に業務指導のポイントは細かい行動レベルまで落とし込み、丁寧に説明していくことです。その上で一度目の前でやらせてみて、できたらすぐに褒めることです。この繰り返しで仕事が定着します。もし部下が、仕事ができない時は、仕事の正確なやり方をわかっていないと一度検証してみることです。キャリア指導は上司、先輩という立場を離れ、人として部下と向き合うことです。上司、先輩は部下にとって影響力の大きな存在です。上司や先輩は部下の人生に責任を持ち、立派な社会人として育てる、成長させる責任を持ちます。そうした中で部下の将来を共に考え話しをすることで、部下は上司との時間に価値を感じ、向き合っていけるのです。

上記の7つの環境下で最終的には部下に仕事を任せ、多くの経験を積ませることです。ここでは決して丸投げではなく、どうして任せるのか目的と背景を説明します。また定期的な進捗確認で常に気にかけ、成功したら部下に感謝し、失敗したら上司の指導責任として謝ることも大事です。そうして部下は成長し、信頼と自信を積み重ね一人前になっていきます。私も前職でマネージャー時代は部下の育成に悩みましたが、仕事を任せることで共に悩み、喜びを分かち合いながら一緒に成長していけました。

上司、リーダーの仕事は人を育てながらチームを目標達成に導いていく事です。この「人を育てる技術」を磨く事で、組織の成長と自身の成長にも繋がっていきます。

次回は中堅管理職教育のもう一つのキーである「人を動かす技術」をテーマに掲載致します。

【須藤 弘幸】

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