(連載企画)ものづくり企画 プロダクトライフサイクルから商品性を導く 第3回
新製品の方向性やアイディアを考えるとき、どのような切り口を使われていますか?
新製品の商品性を考える上でよく使われるのは、
・世の中(社会環境など)の流れにより変化する顧客経験価値に合う商品 ⇒ トレンド分析
・競合他社が未だ提供していない、新たなポジションの商品 ⇒ ポジショニング分析
・消費者が(潜在的に)感じている不便と解消する商品 ⇒ ニーズ分析
今回は、これらに加えて、プロダクトライフサイクルから考えるという切り口をご紹介します。
プロダクトライフサイクル(以降、PLC)は、ご存じの方も多いと思いますが、製品の売上と利益の変遷を4つの段階で説明するモデルです。「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」それぞれの段階における戦略策定に示唆を与えてくれます(出典:株式会社野村総合研究所のWebサイト)。
PLCで語られる戦略は販促・販売施策や資金配分などに重点が置かれることがほとんどですが、商品性を考える際にも利用できます。どの段階の商品を開発しようとするかで競争軸が変わってきて、結果、差別化ポイントも変わってくるためです。
段階ごとの具体的な競争軸(差別化ポイント)は次のとおりです。
「導入期」:普及率2.5%未満
・革新的なコンセプトでオピニオンリーダーを惹きつける時期。新たな価値軸がポイントです。
・新たな価値を担保するための性能が重要です。
「成長期」:普及率2.5%~50.0%
・競合が増えてくるので、便利機能の搭載がポイントになってきます。
「成熟期」:普及率50.0%~84.0%
・機能差も無くなってきて、カラーバリエーション展開や複合化がポイントになってきます。
「衰退期」:普及率84.0%~100.0%
・性能・機能開発競争は終焉を迎え、価格競争になってきますが、新機軸により新しい差別化ポイントを創出することも可能です。
新商品を投入しようとする領域内の普及率や競合数から現在プロダクトライフサイクルのどの段にあるかを推定し、差別化ポイントを絞り込んでからアイディア創出をしてみてはいかがでしょうか。
【吉江 裕子】
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