協会活動のご案内

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 会報
  4. コロナ禍、中小企業の支援に注力する地域金融機関について(4) ~横浜市信用保証協会様に伺いました~

コロナ禍、中小企業の支援に注力する地域金融機関について(4) ~横浜市信用保証協会様に伺いました~

【はじめに】

コロナ第6波はピークを越えたようですが、サプライチェーンの混乱や物価上昇などの影響もあり、各種支援機関において資金繰りの相談は依然として多いようです。今般、齋木会員支援1部理事とともに、金融支援含め幅広く経営支援を担う横浜市信用保証協会様より、事業者様の状況・景況感などをお伺いしました。ご対応いただいたのは同協会で専門家派遣事業を所掌されている経営支援部経営支援室長真谷様、課長補佐の谷治様です。

****

-貴協会の方針・特色など、ご紹介お願いします。

 横浜市信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて設立された認可法人で、中小企業・小規模事業者が借入をするときの「公的な保証人」となり、事業資金の調達をスムーズにする役割を担っています。全国で4番目に発足した歴史のある保証協会で、市内に4拠点を構えています。2021年度にはコロナ禍で厳しさを増す事業者への支援を強化するため、経営支援室を新設(総勢21名)しました。

 また、総事業者数に対する保証供与先の比率(保証利用度)は全国平均では約40%であるのに対し市内では約35%にとどまっていることから、市内での保証利用度を高めることが課題のひとつと捉えています。そこで、当協会に親しみを持ってもらい、認知度を高めるため、イメージキャラクター「ハマ福」を制作しPR活動を強化しています。

-保証供与の動向から、最近の事業者様の経営状態をどう見られていますか?

 保証承諾金額は2018年まで減少傾向にありましたが、2019年度は風災害の保証制度利用等により増加に転じ、2020年度はゼロゼロ融資等コロナ関連の保証制度の利用が急増したことにより保証承諾額は約5500億円と増加、保証債務残高も対2018年度でほぼ2倍の約6500億円と積みあがりました。

 2022年度は伴走支援制度を中心に推進していますが、前年度までに当面の資金手当てはほぼ済んでいる事業者様が多いこともあり、資金需要は当面そう伸びないと見ています。

 一方、代位弁済金額は、ここ数年、減少傾向にあり、2021年度見込みでも35億円と低い水準です。資金が行きわたっており事業者がコロナ禍に耐えているとみています。2022年度以降の見通しは立てづらい状況ですが、方向感としては、増えると想定します。国際情勢不安、物価上昇等から資金繰りに厳しくなる事業者が増え、リーマン・ショック時以来の増大となることも懸念しています。当協会としては、経営支援によって、事業者の倒産をどう抑制するかが課題となります。

業種別では、売上減少幅が大きい飲食店では協力金の助けもあって廃業や倒産は比較的抑えられていますが、飲食店向け卸売業などで倒産件数増加の兆しもあり注意しています。

 -経営支援の中でも、専門家派遣事業に注力していると伺っていますが、どのような状況でしょうか?

 金融機関経由で申し込みのあった事業者の支援に、診断士にはいってもらい、経営改善・事業計画策定支援を行います。2020年度は資金繰り支援を優先したため専門家派遣は抑制的な運用でしたが、2021年度では従来比、倍増ペースの約200社まで派遣先を増やしています。横浜・野毛の老舗料理店「叶家」のようにコロナ禍で一度閉店したものの、営業再開にこぎつけた事例も出てきています(神奈川新聞2021年10月19日付)。今後ともさらに専門家派遣を増やしていきたいと考えています。

 専門家派遣は、他の支援機関からも同様に提供されていますが、当協会の専門家派遣事業の特徴的なところは二点あります。一点目は、本業の経営改善支援と同時に金融支援を行えるというところです。新規融資を入れるだけでなく、場合によってはリスケをしながら、経営・事業を立て直すというアプローチで事業者から評価されています。経営サポート会議(いわゆる、バンクミ―ティング)も用意しています。二点目は、専門家派遣の終了後にフォローアップをしっかり行い、専門家とともに、継続的な関係を構築していくことです。3年間は定期訪問するフォローアップ支援をメニュー化しています。

-いま、お伺いした専門家派遣以外にも、診断士の日フェスタ、テクヨコなどで幅広く連携させていただいております。診断士との連携の状況や期待などはいかがでしょうか?

 まず、広報活動での連携強化です。たとえば、専門家派遣事業については、利用した事業者様から高い評価を受けているにもかかわらず、利用実績は累計で1千社にも届かない状況です。経営者は一般に、経営は自分一人でやるものと思いがちで、社外からアドバイスを受けるという発想はあまりみられません。そこで、診断士からアドバイスをもらうことが常識で、その入り口として専門家派遣を利用する、というふうに周知していきたいと思います。専門家派遣事業に限らず、その他の施策も含め、いろいろな支援機関が声を上げ、各種イベントなども通して、時には共同で啓蒙活動を推進していきたいと思っております。

 次に、専門家派遣事業での連携をさらに深めるために、診断士の方々に期待するところについて二点述べます。一点目は、当協会の強みは経営支援と同時に金融支援ができることです。そのため、事業分析に加えて、資金繰りの把握・改善にも目配りしたアドバイスをいただけると大変ありがたいです。具体的には事業者へ資金繰りの重要性についての説明や資金繰り表の作成の指南なども考えられます。二点目は、実行支援までの踏み込んだ対応です。たとえば、売上を伸ばしたいのでHPを活用しようという場面にしばしば遭遇しますが、小規模な会社であれば、HPを持っていない、持っているが更新していないということが多いです。そこで、簡易なツールを紹介するなどして、作成をガイドしていただくと事業者に喜ばれると思います。

-最後に、診断士へ一言、お願いします。

 当協会は、信用保証と経営支援を通じて、中小企業の「明日」を応援し、横浜経済の活力ある発展に貢献していきます。しかしながら、当協会が単独でできることは限られています。診断士の皆様の力もお借りして、ともに、事業者様を支援していきたいと思いますので、今後とも、ご協力のほど、よろしくお願いします。

****

【おわりに】
 横浜市信用保証協会様が金融や市内事業者の経営に対して、大きな役割を果たしていることを再認識いたしました。また、専門家派遣をはじめ、診断士の活用にも前向きなお話をいただきました。事業者様への広報活動などでも、連携させていただく機会も多くなりそうです。弊職も保証協会の動向について、引き続き関心をもっていきたいと思います。

最後に、年度末の慌ただしい時期にご対応いただいた、真谷室長様、谷治補佐様のご厚意に御礼申し上げます。

【宮村康彦】

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

活動のご報告