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連載企画 今すぐ見直そう!販路開拓に役立つホームページの活用支援(第1回)

 

 最近、私の支援先企業の社長から「販売力を強化したいが営業の人材がいない。ホームページを営業マンに仕立て上げたい」との相談を多く寄せられるようになりました。
 そこでこれから、4回に分けて、販路開拓に役立つホームページの活用の考え方と、中小企業に対する支援の手法を紹介していきます。なお、ホームページの活用の仕方は、BtoBとBtoCで大きく異なりますが、今回は、BtoB企業向けのホームページ活用支援を対象とします。

1.なぜ、今、ホームページを取り上げるのか?

 コロナ禍で対面営業での接点が減り、営業活動にも支障が出ています。対面営業が無理ならオンラインしかありません。そうなると接点はホームページやソーシャルメディアになります。
特に、販路開拓の起点となるホームページの役割は大きくなります。そこが不備のままで取引先からの信頼は得られるでしょうか? 新規の引き合いを獲得できるでしょうか?
ホームページは急には育ちません。放置されていたホームページを、急に引き合いが取れる営業マンにするのは無理です。だからこそ、今すぐに見直しが必要なのです。

 日本政策金融公庫が中小企業経営者に調査したところ、経営基盤強化に向けての注力分野の1位は「営業・販売力の強化」、2位は「人材の確保・育成」となっています(図表1)。
もしも、ホームページを営業マンの代わりに働かせることができれば、中小企業の経営課題の1位、2位の項目に対して、問題解決の一助となることができます。

2.中小企業におけるホームページの実情は?

 中小企業でもホームページを持つことが当然の時代になっています。しかし、多くの中小企業ではアクセス数が伸びず、ホームページからの問い合わせは滅多にないという話を良く聞きます。ホームページが「会社案内」程度の役割しか果たしていなく、販路開拓には役立っていないのが実情ではないでしょうか。

3.これまでのホームページにおける課題は何か?

それでは、ホームページが有効に機能していない原因は何でしょうか?考えてみましょう。
主な課題を図表2に挙げます。

①ホームページの目的があいまいのまま
「綺麗に作って公開すること」だけが目的になっている例が多くあります。
ホームページから発信する情報は、「訪問者に影響を及ぼすもの」でないといけません。
あなたの会社のホームページ(情報)を見た訪問者に、次にどのような行動を取って貰いたいのか?ここをはっきりさせることが、「ホームページの目的を定めること」になります。

②ターゲットが明確でない
誰に対する情報発信なのか、ターゲットがあいまいということも多くあります。ホームページを作成し、コンテンツを追加する前に、ターゲット設定を行わないと、ターゲットに合わせて、どんなコンテンツを作成すべきなのかが分からなくなっていまいます。
③ターゲットにアピールするための「自社の強み」があいまい
ターゲットに対するメッセージを明確にするためには、まず、「自社の強み」を知る必要があります。自社の強みがターゲットにとって的外れだと、どんなに美辞麗句を並べても取引先に刺さりません。

④ターゲットに対するメッセージが分かりにくい
ホームページに書かれているメッセージが、自社の視点に偏っていて取引先のメリットが不明だったり、他社と比較して差別化されていなかったり、不十分な点があると、取引先の納得が得られません。また、事例などのストーリー性がない抽象的な言葉では、取引先の記憶に留まりません。

⑤PDCAサイクルが回せていない
ホームページは作って終わりではありません。成果を出すためには「PDCAサイクル」を回して、コンテンツを改良していく必要があります。そのために、目標設定を行ったうえで、Google Analyticsなどの解析ツールを用いて計測する必要がありますが、ここまで出来ている企業は少ないのが実情です。

⑥ソーシャルメディアやデジタルマーケティングの活用が進んでいない
ホームページを作成し、情報を発信したら、次は、訪問者の数を増やすことが重要です。ターゲットに当社のホームページの存在に気付いて貰う仕組みが作られていないと訪問者は増えません。
近年、様々なデジタルメディアを駆使して、見込み客の獲得と育成を図っていくデジタルマーケティングの考え方が出てきていますが、中小企業においては、まだ活用が進んでいません。

⑦ホームページを設計、開発、運用する人材がいない
2021年度版中小企業白書を見ると、半数以上の中小企業において、デジタル化の企画やITツールを導入できる人材が確保できていません(図表3)。このデータから、ホームページを設計、開発、運用を行うにあたっても、人材不足が大きな課題であることが分かります。

4.中小企業のホームページ活用支援の在り方

 コロナ禍によって、中小企業もホームページやデジタルマーケティングの活用を求められています。国の施策としても、中小企業・小規模事業者に対するデジタル化・IT活用の専門的なサポートを充実させるために、2020年度から「中小企業デジタル化応援隊事業」の取組みも開始されました。これら制度も活用して、我々中小企業診断士が本分野における知見や経験を深めて、中小企業の販路開拓の取り組みに貢献していきたいと考えます。

<次回以降の予告>
今回挙げた課題に対して、次回以降、解決の方向性と、中小企業に対する具体的な支援手法を紹介していきます。次回は、「ホームページを一人前の営業として働かせよう」と題して、現行のホームページのリニューアル手法について紹介します。


【小川 直樹】

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