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(連載企画)ベンチャー企業支援のいろは(第4回)

 「中小企業診断士がベンチャー企業を支援する余地はあるのか?」の問いに答えるべく、「ベンチャー企業支援のいろは」を明らかにしていく連載企画。前回までベンチャー企業側の支援ニーズやアプローチ方法についてお伝えしてきましたが、最終回の今回は、ベンチャー企業の成否を分ける「PMF(プロダクト・マーケット・フィット)」と「消費者インサイト」についてご紹介します。

 マーケティングとは「売れる仕組みづくり」と言われますが、マーケティングで目指すべきゴール像とはどのような状態か分かりますか?かの有名なピーター・ドラッカー氏も述べている通り、それは「売り込みをせずとも、自然と売れる状態」を指します。自然と売れる状態に到達すると、例えば以下のような現象が起こります。

  • 顧客からの問い合わせが殺到する
  • 商談から受注までの期間が短い
  • 顧客が満足し、他の顧客を紹介してくれる

 事業効率が圧倒的に向上し、高利益率体質になるわけですが、この状態を作り出す取り組みが「売れる仕組みづくり」という行為です。そしてこの状態は「PMF(プロダクト・マーケット・フィット)」と言われます。PMFとは「顧客の課題を満足させる製品(商品やサービス)を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態」を指す言葉です。

 つまり、自社の商品やサービスを自然と売れる状態にするには、適切な市場にニーズに合った商品やサービスを提供することが不可欠なのです。

 そして、このPMFに到達するカギが、「消費者自身も気がついていない動機や本音、欲求」を意味する「消費者インサイト」です。

 ベンチャー企業から少し外れますが、分かりやすい事例として、とあるラーメン店をご紹介します。この店の店主は、自店舗に顧客が来店する理由を「スープの味」「提供スピード」だと考えていました。常連客も店主にそう回答していました。これがこのラーメン店の顧客の「顕在ニーズ」なわけです。しかし、これだけを鵜呑みにしていてはPMFには到達しません。売上を大幅に拡大するためには、もっと根源的な消費者の隠れた欲求を探り出し、そこに目掛けて打ち込む必要があるわけです。

 いくつかの地道な調査を行った結果、顧客がこのラーメン店に求めていたのは「スープの味」でも「提供スピード」でもなく、「高カロリーなラーメンを食べてストレスを発散したい」という欲求だったことが判明しました。これこそが消費者の隠れた欲求だったわけです。

 消費者インサイトを発見できれば、その後は明快です。その欲求に対応する商品やサービスを開発し提供すれば良いのです。顧客のストレス発散に焦点を絞った施策を次々に実行したこのラーメン店は、鈍っていた客足が回復し、大きな売上を上げました。これが消費者インサイト発見の効果です。

 ベンチャー企業に話を戻します。ベンチャー企業の大半は市場に製品が受け入れられるか否かの大勝負を日々行っています。PMF到達を懸命に目指しているわけです。そして、ここで重要なのが消費者インサイトというわけです。根源的な消費者の隠れた欲求をいかに見つけ出せるかは、ベンチャー企業にとって成否を分ける重要事項なのです。 

 私はここに中小企業診断士の介在余地があるのではと考えています。PMF到達を目指すベンチャー企業は非常に多く、彼らの成功を後押しすることはとても意義深いことだと考えます。ご興味ある方は、ぜひ私に声を掛けてもらえると嬉しいです。

 連載企画はこれにて終了です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

                                  【小野 慎介】

第1回はこちらからお読みいただけます。
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