協会活動のご案内

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 会報
  4. (連載企画) 矛と盾 – DXと情報セキュリティ 第1回

(連載企画) 矛と盾 – DXと情報セキュリティ 第1回

経営を戦いに例えるならば、常に攻め(矛)と守り(盾)のバランスを取り、限られた経営資源を配分していく、まさに“矛盾”を抱えながらも前へと進む営みです。IT・デジタルの分野で言えば、矛となる活動がDX、盾となる活動が情報セキュリティ対策となりましょう。

本連載では、4回にわたり、小さな会社のDX・情報セキュリティ対策支援について、考察していきます。

皆様初めまして。今年度の会報委員を務めます、平29会の若杉と申します。私は、2000年に社会人デビュー以来、現在に至るまでITエンジニアとして働きつつ、2018年に診断士登録して活動を始めました。また一昨年から、地元藤沢市周辺の小さな会社に焦点を当てたITコンサルティングサービスを販売しております(https://hotsoul.jp/)。一年間よろしくお願い致します。

●なぜ、小さな会社の支援に焦点を当てるか?

小規模事業者、小規模企業者、などと用語はありますが、本連載では、従業員20名以下の事業者さんを「小さな会社」と呼ばせていただきます。

だいたい今どきは、20名も人が集まれば、1人2人はPCやスマホに詳しい方がいるものです。最近のIT製品・サービスは、ずいぶん易しく作られていますので、詳しい方が1人2人いれば、会社のITはそれなりに何とかなってしまうもの。なので、本当に支援を必要とするのは、従業員20名以下の小さな会社です。

連載1回目の今回は、そもそもDXとは何ぞや、という所から考え始めたいと思います。

●DXって何ですか?

“DX”を「でらっくす」と読む方は少数派になったでしょうか。確実に昭和以前のお生まれでしょうね。そのくらい、デジタルトランスフォーメーションという言葉は市民権を得た印象があります。ですが、いざ「DXって何ですか?」と聞かれたとき、あなたは答えられますか?

言葉の定義を教条的に狭める気は毛頭ないのですが、最近私が見て、非常に的を射た定義だと思ったものがありますので、ご紹介したいと思います。

DX(Digital Transformation)

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

<出典>IPA 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第3.1版 25ページ

この定義に沿って考えてみますと、小さな会社のDX支援における要点が見えてきます。

●そもそも、勝つ気あります?

小さな会社の中には、大きな成長は望まず現状維持できれば良い、と考えていらっしゃるところも少なからずあります。このような会社にとっては、「環境の変化に対応し、競争優位を確立する」DXに積極投資する意義は見いだしにくいものです。社長さんの意思を尊重しつつ、見過ごせない危険性はしっかり指摘するなど、支援者としてのバランス感覚が問われる難しい局面になります。

●データは蓄積できていますか?

長年の経験に裏打ちされたヒラメキや直感の有意性を認めつつも、DXの本質は「データとデジタル技術の活用」により、ヒラメキや直感の先を行く“気付き“を得ることにあると言えます。そのため、そもそもデータを蓄積できるIT環境が整っていることが前提です。小さな会社の場合、未だPCの導入すらおぼつかないといった場合もあり、支援者として高すぎる理想を持たないことも重要です。

●それ、ニーズあります?

データとデジタル活用により、新たな製品・サービスやビジネスモデルを生み出す活動がDXですが、製品・サービスは「顧客や社会のニーズに基づく」ものでなければ売れません。小手先の技術に走らず、マーケティング面での検証を怠らないことが支援者にも求められます。

●会社をぶっ壊す覚悟がありますか?

DXは「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」する営みです。変革、即ち革命です。小さな会社の場合、会社が社長の人生とそのまま重なる場合も多く、そこに革命を起こす覚悟があるのかどうか、社長と支援者がしっかりと向き合って考えていく必要があります。

以上、DXとは何か、を出発点に、小さな会社のDX支援における要点を考察してみました。

【若杉 廣】

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

活動のご報告