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(連載企画)零細企業への公的支援の認知と活用の促進 第2回 「零細店の存在意義と支援の実態」

2回目は「零細店の存在意義と支援の実態」についてご紹介します。最初に、存在意義については、業種を小売業に絞り、その地域における零細小売店の存在意義を紹介します。次にその零細小売店含めた小規模事業者が、地域で生き延びるために、行政支援の実態がどうなっているかを確認します。

1960年代から一貫して市場の拡大を通じて成長した大型量販店・CVS(コンビニエンスストア)の全国展開と、インターネット販売等の台頭により、中小企業の小売業、零細小売業は大きく店舗数を減少させたとはいえ、まだまだ全国にしっかり存在しています。これは純粋に零細小売店の必要性=存在意義を示唆しているかとおもいます。その存在意義の代表的な内容を、坂本秀夫著『現代流通の理論と実相』(2021)から引用し、以下①~③にご紹介いたします。

①零細小売店が保障する独自のサービスに求めることができます

企業的でなく生業的経営であるがゆえに、高齢者・身体障がい者など社会的弱者にとって、「近所に小売店がある、必要なとき配達もしてくれるサービスが大事」とされています。

②零細小売店が果たしてきた社会的役割があります

地域住民と連帯して住み良い生活環境・都市観光の形成に務め、地域住民として地域の祭礼など文化行事の担い手となり、地域を支えてきました。さらに、買物に来る地域の青少年たちに社会の常識を教えるなど社会的役割を果たしてきました。

零細小売店中心に地域経済を担ってきました

地域では、中小小売業を中心に、製造業・農漁業の生産と地域住民の購買力がバランスを保ちながら発展し、地域住民の雇用を保障しています。

実家(食料品店)、会社取引先(カメラ店)の現況をみても上記①~③の状況はあてはまっていると実感いたします。さらに、地域の高齢者にとって零細小売店は、お客様同士も含めたコミュニケーションの場でもあり、孤独から解放される空間でもあります。今後、少子高齢化がすすめば、ますますその重要性は増してくるだけに、零細小売店の減少阻止をしていく必要があると感じます。

それでは、この厳しい環境下で生き延びていくために、零細小売店を含めた小規模事業者に対する行政の支援は今どうなっているのか、今後の公的支援活用の上でも確認していきたいとおもいます。

2014年6月「小規模基本法(小規模企業振興基本法)」が小規模事業者のために制定されました。その後に、無料の経営相談所「よろず支援拠点」、「小規模事業者持続化補助金」等大変活用しやすい今までにない支援制度ができ運営されています。こちらができたきっかけは、全国の小規模事業者約5万人と対話し、現場をよく理解している経営相談者であるA先生が関わられ行政と取り組んだ影響が大きいです。

先生のセミナー時に、筆者より先生に、「もっと行政が当支援制度を積極的に知らしめることはできないか」と質問させていただきました。
先生からは「よろず支援拠点では、(リピート件数も含むが)、既に年間で50万件もの相談件数がある」「どこまでの事業者に知らしめるかにもよるが、是非経営者自身の努力で行政支援等の情報は探してほしい」「日本が一番手厚い。海外の企業は自立している」との話がありました。

中小企業が約360万者とすると、よろず支援拠点の年間相談件数は多いといえます。積極的な方は既に相談しており、先生がいう経営者の努力で情報収集することは、最低限必要なのかもしれません。確かに自立性がなく、仮に補助金申請し採択されても、実施レベルで継続性がなくなるかもしれません。がんばろうとの意思がある方に行政は支援していくことを再認識しました。診断士はどこのレベルの事業者に対してどこまでアプローチするべきか、今後検討していく必要があります。

 【明田 知大(あけだ ちひろ)】

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