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連載企画 コロナ禍、中小企業の支援に注力する地域金融機関について(第3回)

 

【はじめに】

中小企業の経営を支える地域金融機関をシリーズで紹介してきましたが、その3回目は、かながわ信用金庫(愛称:かなしん)様です。
同金庫は横須賀市・藤沢市を拠点とする二つの信用金庫が合併し設立された信用金庫で、横浜・横須賀・湘南地区を地盤とし、県内に50店舗を保有しています。

12月中旬に(一社)神奈川中小企業診断士会海外ビジネスプロジェクトの高木PJリーダー・岩松PJマネージャーとともに、審査部経営サポート課長 田中様にお話を伺いました。

なお、文中に特に断りがなければ2021年11月末時点の情報です。また図表・画像は同金庫の「ホームページhttps://www.shinkin.co.jp/kanagawa/」、プレスリリース、チラシより転載しております。

かなしんは「『強くてやさしい信用金庫』でありつづける」ことを目指していますが、どのような金融機関を目指していらっしゃるのでしょうか? 

「強くてやさしい信用金庫」は10年以上前からずっと目標に掲げています。将来の人口と事業所数の減少も見据えて、2021年の経営計画の中でも、お客様の多様なニーズに応える伴走型支援力を強化し、地域の中でゆるぎない存在感を発揮できる信用金庫であり続ける方針を再確認しています。そのシンボルとして、地域やお客様が抱える課題に寄り添い、解決し、伴走する「かなしん よろず相談承り処」を2018年4月7日に開設しました。立ち寄りやすい、横須賀市内目抜き通りにある商店街に拠点を設置し、土日祝日も夜7時までオープンしています。税務、相続など専門家を招いた無料相談会の開催や、創業から事業承継迄あらゆる相談に対応しています。

自治体や公的支援機関などとの連携の状況はいかがですか?

主要な営業地区の自治体等と連携しています。
その中でも、当金庫の地盤のひとつである藤沢商工会議所が主催する年2回の創業塾に当金庫の職員を講師として派遣しバックアップしています。

一般的に公的機関の創業塾は無償で提供されることが多いですが、ここは、有償として本気度の高い創業希望者を集めて、5日間みっちりビジネスプランの作成などワークショップでサポートしています。実際に創業に至るケースが数多く出ていますが、当金庫は創業融資や補助金申請サポートなども提供し事業展開支援を行なっています。

貴金庫で特に注力されている領域は?

多様なニーズに応え、様々なサービスを提供していく方針ですが、特に、力を入れているところは成長支援、地域活性化、事業承継支援です。

成長支援では、主として販路拡大のためのビジネスマッチングに取り組んでいます。
まず、当金庫内部でビジネスチャンスを見出す努力をしています。当金庫の職員の間で社内のネットを使って顧客ニーズを共有しビジネスマッチングを提供しています。また、当金庫が組織化している「かなしん会」会員を対象とした「かなしんビジネス交流会」も成果を上げています。ユニークな試みは、東京地方税理士会(神奈川県などの税理士さんの団体)との提携で、税理士さんの顧問先事業者と当金庫の顧客との商談会を行い、1回あたり、100件を超える商談をアレンジしていることです。こうした取り組みで、当金庫の顧客からは継続して参加したいとご評価をいただいております。

次に、地域活性化ですが、当金庫の地盤である三浦半島地域は県内の中でも特に人口の減少幅が大きい地域です。当金庫としては、域内事業者への支援に加えて、地域経済のベースを盛り上げる施策を展開しています。2016年に、京浜急行電鉄、神奈川新聞社、関東学院大学、横浜市立大学、三浦商工会議所、横須賀商工会議所、と三浦半島地域活性化に関する協定書を締結、「三浦半島地域活性化協議会」を設置し、海岸美化運動、地元名産品のPR、食をテーマにしたイベント事業「mi食祭」、大学生に半島内の企業で働いてもらい定住人口増加を狙うインターンシップなどに取り組んできました。

事業承継はいうまでもなく中小企業にとって喫緊の課題です。当金庫は神奈川県事業承継・引継ぎ支援センター(承継センター)に職員を派遣しており、事業承継支援体制を強化しています。
承継の問題は現経営者に早期に気づいてもらうことが重要ですが、自社株式の後継者への移転方法に関する相談がまれにある程度で、経営者が相談にこられるケースは多くはありません。そこで、セミナーを開催する他、顧客を訪問し事業承継の診断・アンケートで課題のある事業者様を見出すようにしています。その課題を神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターにおいて整理し、さらに、外部専門家を巻き込んで個別に対応する一連のプロセスを運用しています。事業承継に悩んでいた事業者様からは事業承継の道筋が明確になったとの声もきいています。

一方で、「先ずは事業承継につながる会社の磨き上げが必要な会社」があります。経営者がすでに高齢であって後継予定者がおらず、業績が低迷している会社です。引き継げる形に持っていくため、例えばDXも含めた業務の変革が必須ですが、実行するリソースの不足や変革への抵抗感など難しい問題がでてきます。ここは診断士の助けがいるところですね。

10月から緊急事態宣言が解除されていますが、景気の回復や事業者様の状況をどうみられていますか?  

当金庫では、地域の景況感を四半期ごとに集計した「かなしん景況レポート」を発行しています(https://kanashin-ts.jp/report)ので、ぜひ、一度ご覧ください。

製造業、建設業、不動産業の業況は他業種と比較し上方で推移しています。建設業では案件が多く、人手がボトルネックになる状態です。製造業はまだら模様ですが、全体としては回復傾向です。一方、飲食では個人・昼の需要は回復していますが、収益源であった宴会需要は戻らず厳しい状況にあります。

事業者様の財政状況をみると、従業員数が10人以下の小規模事業者では協力金で資金が回っているケースもみられますが、より大きめな20人程度の事業者では収支不足で、今後の借入返済に不安を持たれている印象を受けています。来年以降、コロナの収束とともに、サービス業の需要の回復が待たれるところですが、資金不足の小規模な事業者をどう支えるかが課題です。

既に診断士をご活用いただいていると伺っていますが、伴走者として診断士が充分機能しているか、など診断士への期待や要望、コメントがありましたら、お知らせください。

当金庫の顧客の8割程度は従業員10人以下の小規模事業者です。そうした立場からですが、大きな課題は、事業者様の経営改善の実行力です。アドバイスをしてご納得いただいても、社長イコール従業員という状況で、マンパワー不足のため改善策を実行できないことが多いです。そんな実態を踏まえると、助言にとどまらず、ピンポイントの業務委託のような形式で、ハンズオン支援、実務まで含む支援、仕組み構築後のメンテナンスまでカバーする支援がありがたいと思います。各分野のスペシャリストにスポット的に対応をお願いする場合もありますが、会社経営全体を幅広くサポートできる診断士が全体最適もみつつ、場合によっては手を動かすようなことも含めて支援するようなスキームであれば、経営改善の成果が出やすいと思います。

当金庫が事業者様に深く入り込んでいるかというと、十分ではありません。貸出業務を中心に、財務諸表をみて日々、足を運んでいるので、課題の整理まではできるのですが、解決までの支援をする時間はとれず、歯がゆい思いをすることが多いです。そこで、経営者に寄り添い伴走型で支援していただける診断士には大いに期待しています。これまでも、診断協会・診断士会や、保証協会・再生支援協議会・KIP(神奈川産業振興センター)などの公的支援機関経由で診断士に支援をお願いしてきましたが、今後とも、ますます密に連携する必要を感じています。

【おわりに】

 これまでで3つの金融機関にお話を伺いましたが、それぞれ強みや地域特性を活かし注力領域も異なり、また事業者様へのアプローチにも特徴があることに気づきました。しかし、一貫して感じられることは診断士への期待です。かなしんさんも、自ら課題整理から先の課題解決へ進むにはリソース不足で、それゆえ、診断士への期待は大きいと明言されていらっしゃいました。一方で、診断士には、経営全体を俯瞰でき、また特定の課題に高い解決能力があることを求められており、自己研鑽が欠かせないと、あらためて我が身を振り返る取材でした。
お忙しい年末にご対応いただきました審査部経営サポート課長 田中様に厚く御礼申し上げます。

【宮村康彦】

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