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(連載企画) データ活用経営のすすめ 第3回

データ活用経営の導入は、大企業から中小企業においても緩やかですが徐々に進展しています。特に中小企業におけるこの進展は、業務の効率化と競争力の向上に不可欠です。前回は、中小企業におけるデータ活用の土台となる「業務プロセスの可視化」について解説しました。今回は、中小企業がデータ活用経営を導入する際の効果的な取り組み方法、および注意すべきポイントに焦点を当てます。

1. データ活用経営の導入段階

データ活用経営を実践するには、以下の段階を経て進めるのが一般的です。

・データ収集:業務の中で生まれるデータを系統的に収集します。中小企業においては、まだ紙ベースで業務をされている場合が多いので、まずは紙データのエクセルへの転記などできるところからデータ化することをお勧めします。

・データ分析:収集したデータから有用な情報を抽出するための分析を行います。平均や分散、標準偏差、相関係数などまずは基本的な統計量を算出するところから分析を開始することをお勧めします。また、データのグラフ化なども有効です。

・データ活用:分析結果をもとに、業務改善や新しいサービスの提供など、具体的なアクションを起こします。

2. 中小企業の取り組み方法

中小企業がデータ活用経営を導入する際の取り組み方法を3つご紹介します。

・DX化に強い中小企業診断士などの外部の専門家を活用する:データの収集や分析には専門的知識が必要です。立上げの段階では、外部の専門家の力を借りて、徐々に内部でのノウハウを蓄積していく方法が効果的です。

・クラウドサービスを利用する:現在、多くのクラウドサービスが提供されており、中小企業でも容易にデータ活用のインフラを構築することができます。

・従業員の教育と研修:データ活用文化を根付かせるためには、従業員の理解と協力が欠かせません。定期的な研修やセミナーを開催し、データ活用の重要性を伝える努力が必要です。

3. 中小企業の注意点

データ活用経営の導入にあたって、以下の点に注意して進めるとスムーズに取り組むことができます。

・データの保護とプライバシー:データの収集や活用に際して、顧客のプライバシーを尊重し、データ保護に関する法律や規定を遵守することが重要です。

・段階的な導入:一気に大規模な導入を試みるのではなく、まずはデータを活用した小規模な業務改善活動から始め、成功体験を積み重ねながらスケールアップしていくのがお勧めです。

・経営層の理解とサポート:データ活用経営の推進には、経営層の理解とサポートが必要不可欠です。ビジョンや方針を明確にして、組織全体での取り組みを、社長を含む経営層が後押ししていくことが大切です。データ活用経営に成功している中小企業をみると、社長自らが推進役となっているケースを多く見かけます。

まとめ

データ活用経営の導入は、単に技術やツールを取り入れるだけではなく、組織文化や人材の育成も含めた全社的な取り組みが求められます。中小企業でも、現場のレベル感や担当者の声を聴きながら、無理のない適切なステップと注意点を踏まえながら進めれば、大きな成果を上げることが可能です。次回は、実際の成果を上げるための3つのステップについて解説します。

【井上 雅之】

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