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~横浜市経済局様に伺いました~コロナ禍における地域経済状況・景況感について

【はじめに】

いまだ終息が見通せないコロナ禍の中ですが、横浜市経済局・横浜商工会議所の報告(第 114 回横浜市景況・経営動向調査)によれば、景況は7-9月に対前期で改善傾向とされています。また、中華街では9月の連休中に客足が戻ったという報道も耳にしましたが、皆様は、地域中小企業の業況をどのようにみられているでしょうか。

事業者様の実情を探るため、齋木理事と横浜市経済局様を訪問しました。
ご対応いただいたのはセーフティネット保証認定の相談窓口や中小企業の経営相談を担当する横浜市経済局金融課相談認定係長の田村様です。支援取り組みの状況や景況感についてお話を伺いましたので報告します。

ー セーフティネット保証についての取り組みや件数の動きはどうですか?

昨年の台風15号対応に続くコロナ禍で大変繁忙感があり、当係では職員数も4月から増やして保証認定に集中してきました。
市中感染が広がり始めた当初、企業への先行きの影響を想定することが難しく、申請件数の増加に応じて相談員人数を増強してきました。設備面では横浜市緊急融資認定センターの開設や感染対策として発券機の導入等を実施し、業務プロセス面でも全国に先駆けてWEB申請による待ち時間の削減や金融機関と連携してのワンストップ窓口での効率向上、予約なしの受付など事業者様の利便性改善に注力しました。当初は長時間お待ちいただきましたが、徐々に改善していき、7月ごろからは比較的スムーズに認定をすすめることができました。

申請件数は前年度より大幅に増加しましたが、振り返ると4-6月にピークを打ち資金供給が進んだ結果、現時点では落ち着いています
(執筆者注:日本経済新聞(2020/10/6)によれば、横浜市信用保証協会の4-9月の承諾件数は前年同期比4倍以上まで増加したとされています)。

ー 経営相談から窺える最近の事業者様の動向を教えてください。

市役所内外の診断士や税理士など専門家にも依頼し、経営安定化支援を中心とした経営相談や事業者様へ訪問しての経営診断を実施してきました。しかし、最近は保証認定に集中して取り組んだことや感染対策のため事業者様への訪問面談が難しかったことから、経営相談は抑制的な運用にとどめていました。
事業者様の動向としては、経営が厳しい事業者様は増えていますが、無利子融資や補助金等によって支えられて、明らかに財政状況が変わって廃業に追い込まれるという状況には陥っていないという認識です。今後については、どのくらい廃業等がでてくるか、まだ見通せない段階だと思います。

ー 事業者様の声に接して、景況感をどのようにみていらっしゃいますか ? 

市中の飲食店で客足は戻ってきているものの、感染拡大が繰り返す中で、基本的には出歩かないといった心理も残っていると思います。規模の大きい飲食店で回復がみられる一方、まだ全然、先が見えないという声もあります。特に、小規模な店や個人でやっておられる店は依然厳しいようです。サービス業など、全体的に事業規模による二極化が進行しているように見えます。
業種別にもまだら模様があります。最初は飲食・宿泊が厳しく、イベント会社でも仕事が激減したようです。一方、物流が動き出し運輸業が前年並みまではいかないものの回復し始め、建設業でも持ち直しがみられます。しかし、製造業では、受注型の業種を中心にこれから影響が出てくるのではないかという懸念の声も聞かれます。

リーマンショック時は大企業・製造業から影響が始まり徐々に中小企業に波及していったため、保証認定の対応は1年以上の長期間に及びました。今回は生活者に近い業種・中小企業から影響が始まりましたが、申請件数は減少しつつも一定数が続いています。当初から、厳しい業種の中で苦境から脱却できない事業者様が多く残っているように推測されます。

ー 今後の支援取り組みの方向性はいかがですか?

経済局の基本的役割である事業者様へ資金面で補助すること、連携・協業の場を提供すること、企業を誘致すること等を中心としながら、より事業者様に寄り添う思いで、経営の相談に取り組んでいきます。
感染対応については、資金の供給から、経営面の支援や廃業対策に軸足を移していくことになります。関係する行政・公的機関との情報共有や中小企業診断士との連携も課題です。

【取材後の感想】


景況感については、まだ楽観できる状況にはなく、小規模事業者様においては引き続き、財政状態が懸念される状況であると認識しました。係長のお話にもありましたが、今後は、廃業の回避が重要です。アフターコロナへ向けた新商品・サービス・事業がテーマとなり、診断士が貢献できる部分も大きいと思います。

最後に、多忙な中、ご協力いただいた相談認定係長の田村様のご厚意に感謝いたします。

【宮村康彦】

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