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(連載企画)経営資源が限られる中小企業における経営管理の環境整備(第4回)

4.職種レベル(グレード)評価

 賃金制度のベースとなるものが、職種レベルといわれるもので、一般的に「部長、課長、係長、一般社員」等、役職名が付与されて管理される制度になります。職種及びレベルごとに求められる業務の定義を行い、社員が任された業務をどの程度遂行できるかによって、社員の評価が行われます。

【職種レベル評価テンプレート】

https://sindan-k.com/kk/wp-content/uploads/2023/04/賃金制度_山盛.xlsx

 今回は運用についてわかりやすく解説するため、上記にテンプレートをご用意しました。
 賃金制度導入前の各社員の賃金支給水準などを参考に、各職種レベルに応じた基準賃金の設定を行います。次に基準賃金を1.役職給、2.基本給、3.評価給の3つに配分します。

 役職給は該当の役職に就いた場合に一律に支給される固定給与になります。基本給は各レベルに階層を設定して(テンプレートでは7階層)、評価制度で一定の評価が行われた場合に昇級又は降級し、基本給が決まります。評価給については基本給での階層や役職での経験年数などとは関係なく、評価期間のパフォーマンスに応じて給与が決まります。例えば、Managerの役職1年目の社員が基本給の階層が1であったとしても、評価期間のパフォーマンスで「SS」の評価を取得した場合は、評価給の給与は該当の給与が支払われます。

 上記3つの種類の給与の支給基準が異なることから、賃金制度を導入する企業が基準賃金をどのような配分に設定するかによって、導入企業の組織風土や社員の行動性向が変化することになります。

 下記に社員2名の賃金のモデルケースで試算します。

 社員A(入社7年目、グレードManager、基本給階層6、評価給評価D)と社員B(入社3年目、グレードManager、基本給階層1、評価給評価SS)の二人を想定した場合、年功序列型の制度(給与割合 基本給7:評価給3)と成果主義型の制度(給与割合 基本給3:評価給7)を比較すると下記の給与になります。

1.年功序列型(基本給7:評価給3)

社員A:256,225円(役職給5,000円、基本給181,944円、評価給69,281円)
社員B:242,262円(役職給5,000円、基本給156,947円、評価給80,315円)

2.成果主義型(基本給3:評価給7)

社員A:244,631円(役職給5,000円、基本給77,976円、評価給161,655円)
社員B:259,666円(役職給5,000円、基本給67,263円、評価給187,403円)

 基本給と評価給の評価期間についてですが、基本給は大幅に変動することはないため、1年に一度決められた要件(例えば評価給の評価を1度A以上又は2度B以上取得など)を満たした社員の昇級、降級を行うのが良いと考えられますが、評価給については大幅な変動の可能性があり、評価期間を1年等の期間に設定してしまうと、自己評価より低い評価をつけられてしまった社員のモチベーションが低下してしまい、社員の努力が一時的になりやすい傾向になるため、評価給の評価期間については半年に一度などの頻度で評価を行うことがよいと考えられます。

  評価制度の最近のトレンドとしてベンチャー企業を中心に成果主義型の賃金制度を導入する事例が多いですが、中小企業のビジネスモデルや企業の社員数などを考慮し、社員の勤続年数などを伸ばしていきたいと考える場合は、基本給などの割合を増やし、安定した給与制度へのシフトも考慮していくことが望ましいです。 

           【山盛 朋哉】

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