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連載企画 補助金申請に欠かせない資金調達

 

 どんな補助金でも、補助金が実際に入金されるまでの間に資金が必要となります。自己資金、銀行からの借入等、資金調達には数多くの手段がありますが、多くの企業は銀行からの借入を検討するのではないでしょうか。多くの方は、補助金が採択されたら国から一定の支援が担保となる以上、融資も難しくないと思うことでしょう。しかし、これは1つの落とし穴です。特に、新型コロナウイルスの影響で、融資に対して慎重な姿勢の銀行もあります。そのため、補助金が採択された企業の中でも、経営状況を踏まえて融資を見送る事例が増えています。これでは、補助金が採択されても事業ができないという落とし穴に陥ってしまいます。この落とし穴に入らないためにはどんな対策が必要となるのか、地域金融機関に勤めた視点で紹介していきます。

「思い立ったら銀行に話す」ことが第1歩

 補助金を利用しどんな事業を行うのか、話すのは事業計画書が完成した後、あるいは補助金が採択された後で大丈夫と考え、後回しになりがちですが、むしろその反対です。まず、新たな事業への着手を考えた時点で、「取引のある銀行」に相談を行います。ここで、「取引のある銀行」と記述したのは理由があります。これまで銀行から融資を受けたことがない、長らく融資を受けていない場合、新たな事業について融資を受ける可能性が1%でもあれば、必ず「思い立ったら銀行に話す」ことが必要です。
 早期に銀行に相談することで、銀行の担当者も社長の考えを知ることができ、客観的なアドバイスを受けられます。そのアドバイスに対して、着実に答えることで、銀行の担当者との対話が重なり関係性も深まり、銀行に味方になってもらうことにも繋がります。補助金が不採択となった場合でも、銀行を味方につけることで、融資を受けられることもあります。
 その一方、銀行への相談が遅くなった場合にはどういうリスクが考えられるでしょうか。事業計画が十分に練られた内容であれば問題無いですが、銀行からの質問に対して的確な回答ができない場合、事業計画の見直しをするように言われ、補助金の提出期限に間に合わないかもしれません。

事業計画書から収益計画とその根拠を銀行は知りたい。

 補助金を申請する際には、事業計画書の見栄えが大事であるという意見もあります。しかし、銀行が求める良い事業計画書とは、見栄えよりも収益計画とその根拠を説明できることです。収益計画の中では、第一に売上高、つまり売上高を分解した客数、客単価の根拠が大事です。例えば、客数については、マーケット規模や商圏からどれだけの客数が見込めるのかを説明できることがポイントです。当然、その客数を得るためには、自社にどんな強みがあるのか、どうやって販促を行うのか等、説明が求められます。また、客単価については何故その客単価に決めたのか、銀行員が気になるポイントです。客単価が安い・高いのが重要ではなく、その根拠が知りたい内容です。このように、収益計画を作ることは重要ですが、単に数字を組み立てるだけでは銀行員を説得できません。大事なことは、その数字の根拠であり、そこには検討するべきことがたくさん詰まっております。

いきなり完璧な計画は難しい。徐々に作る姿勢で大丈夫

 ここまで読んで下さった方は、銀行に提出する事業計画は難しいものだと困惑するかもしれません。しかし、恐れることはありません。少しずつ、銀行に相談しながら作り上げていけば良いのです。このステップを踏むことで、銀行員との対話を重ねることができ、お互いに関係性を構築できます。銀行員が融資判断をする際、財務分析等の定量的な視点だけでなく社長の人柄等、定性的な判断も行います。その際、どれだけ対話を重ねてきたのかが重要なポイントであり、これが銀行を味方につけるきっかけになります。ためらう必要はありません、悩んだり迷ったりした時には手を揚げて相談して下さい。

おわりに

 新型コロナウイルスの長期化が進む中、各金融機関は取引先の中小企業に対して少しでも役立つことはないかと模索する日々が続いております。取引先の経営に少しでも役立つ支援を行う姿勢が、一層求められており、取引先同士を繋げるビジネスマッチングや事業承継、人材派遣等、サービスは多岐に渡りつつあります。まずは相談してみることが第1歩になるので、補助金についても、是非相談してみて下さい。

【金谷 浩司】

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