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連載企画 コロナ禍で求められる売上計画のポイント

 

 連載記事を担当するのは、いよいよ最後となりますが、最後に私が読者の皆様にお伝えしたい内容で締めくくりたいと思います。コロナ渦、より資金繰りに苦しむ会社様が増えるのではないかと思われます。
 如何に売上計画を考えるのかが大事なポイントになります。経営者の方には売上計画を考えることに抵抗があり自転車操業の状態も少なくないと思われます。しかし、コロナ渦では売上計画を考えないと経営自体に大きな影響を及ぼすリスクもあり、今後は経営者・診断士が伴走して売上計画を考える必要があります。今回は、経営者・診断士共に売上計画を考える上で大事にするべきポイントを、金融機関での勤務経験も踏まえて紹介していきます。

まずは、過去の実績を振り返る

未来の売上計画を考える場合にも、まずは過去の決算書を振り返ることが大事です。その際、直近1年分の決算書だけでなく、直近3年分の決算書を確認します。ただ確認する場合にも単に数字をにらめっこするだけでは意味がありません。実際に手を動かしながら、例えばエクセルで比較できるように表にする等を行います。手を動かし表にすることで、気になる点が出てくるはずです。気にするべき点としては例えば数字が極端に増減している、比率が大きく変化している点です。数字が大きく変化しているということは、何か原因があるはずであり、その原因が経営を見直す上で欠かせないポイントになることがあります。したがって、未来の売上計画を考える上でも、まずは過去の決算書より自社の状況を見直すことが最初の一歩となります。

3通りで考える数値計画の妥当性

売上計画を考える上で一番の柱となるのは売上高です。「売上高=客単価×客数」であり、客単価の金額について金額の高低で正解がある訳ではありません。一方、客数については集客次第で売上高に大きく影響を及ぼすので、より正確に考える必要があります。より正確に考えるためにはどうすれば良いのでしょうか。答えは、「low・middle・high」の3通りで考えることです。よくありがちなのは、客数までは具体的に考え売上計画を算出しているものの、客数の妥当性が曖昧であり、この場合の客数は「high」だけで考えている傾向があります。ポイントになるのは、「low」「middle」でも客数を考えることです。ここまで考えることで、客数を低く見た場合の売上のイメージが分かり、固定費分を賄えるのか、あるいは固定費を賄うため、客単価の向上や客数を伸ばし売上高を増やす必要がある等、事前に対策を考えることができます。

供給サイドから考える数値計画の妥当性

 上記にて、3通りの視点で売上計画を考えることを説明しました。上記は需要サイドから客数を考えましたが、供給サイドから実現できるかどうかを考える、つまり今の社内のキャパシティで需要分を対応できるのか確認します。例えば、製造業であれば今の機械がフル稼働の状態で、需要が今後伸びていくとしても、今の機械だけでは供給できなくなることもあります。また、サービス業でも同様です。歯科医院が、顧客からの口コミで客数が増加していくと考えても、1人の歯科医師が対応できる患者数には限界があります。このように、どんな事業であれ、供給サイドから本当に想定している客数を対応できるのかも考えることが重要であり、今の社内体制では難しい場合には人員の増強や新規設備の導入等も考える必要があります。当然、それに伴い経費が増えるので収支のバランスから妥当であるのかも考えます。

おわりに

 連載記事の最終回でしたが、長引くコロナ禍を踏まえて今後欠かせない視点である売上計画の考え方を紹介しました。今回で全てを詳しく説明することはできませんでしたが、特に意識するべきポイントについて説明しました。まだ、新型コロナウイルスの長期化が続くと予想されますが、コロナ禍でも負けない企業として売上計画をしっかり組み立てることは欠かせないです。経営者・中小企業診断士が一緒になり売上計画を考えることで、より精緻な売上計画を作り、経営者自ら売上計画を作ることの必要性を肌で感じて頂ければ私も嬉しい限りです。

【金谷 浩司】

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