
【SDGsレポート】「きもちのカルテ」を活用し持続可能な雇用と充実の医療介護サービスを提供 (株式会社kainalu)
株式会社kainalu
「きもちのカルテ」を活用し持続可能な雇用と充実の医療介護サービスを提供


ホームページ
https://www.kainalu.top/
▮代表 高橋大祐
▮所在地 横浜市神奈川区
▮事業内容 医療事業、介護事業、リサイクル事業、コンサルティング事業、葬儀事業
1. 企業概要
医療(訪問看護・医療マッサージ)介護(住宅型有料老人ホーム・訪問介護)を中心に5つの事業を行っています。そのうち葬儀事業(終活支援・お葬式の相談・お葬式・遺品整理)は、「死」を医療・介護の延長線上にあるものととらえ、そこに事業ニーズを見出しています。人材紹介・コンサル事業は、「きもちのカルテ」を使った性格分析・組織分析から「人材紹介・人材マッチング」を行う事業です。最近では医療・介護業界向け研修・セミナーも実施しています。
*「きもちのカルテ」
人材の「性格分析」と企業側の「組織分析」からなっており、「性格分析」は心理学を基にしたアンケートと面接から「性格や特性」「集団での役割」「ライフステージ」の人材分析を行うものです。「どんな役割で活躍できるのか」「どんな仲間と相性が良いのか」を明らかにします。「組織分析」は、企業側の「組織の特性」や採用したい「人」とはどんな人なのかを「見える化」するものです。企業と人材のきもちを結び、良い出会いをプロデュースするのが「きもちのマッチング」です。

2. 具体的なSDGsの取組内容
「働きがいも経済成長も」
「きもちのカルテ」を活用したチーム編成で従業員満足を向上しています。従業員が幸せや働きがいを感じてこそ、利用者も幸せになれるという考えです。
「質の高い教育をみんなに」
従業員に経営やファイナンス、顧客開拓等の勉強会を実施しています。成長機会を提供することで、職員の定着にも効果があります。社外に出ても活躍できる人材育成が目標です。

「すべての人に健康と福祉を」
医療・介護事業を通じて、健康や介護の問題で困っている人に、本当に必要な医療・看護サービスや介護サービスを届けたいと考えています。医療・介護は、結局人が届けるものなので、医療・介護従事者が適切でフラットなサービス提供ができるよう、診断方法や技量に関する能力開発や人材育成に努めています。
3. 取組を始めたきっかけ、理由、目的
SDGsに取組もうと考えて始めたわけではなく、これまで取組んできたことが、SDGsというフレームワークを介して社内・外に認知されてきたという感じです。
理想の介護施設を作りたいという発想から、利用者が健康で快適に過ごせる「住宅型有料老人ホーム」の運営を手掛けるようになりました。介護施設は「終活」のためのコミュニティでもあり、普段の生活からお聞きした利用者の想いや希望を実現するため、お葬式を行うという事業にもつながりました。また、従業員が働きがいを感じ、面白いと思える会社にしたいという発想から「きもちのカルテ」や社員教育をスタートし、これが新しい雇用を生み出すための人材紹介・コンサル事業に生きています。
4. SDGs活動の成果 ~本業・従業員・取引先など色々な視点から~
以前は当社でも、従業員が代表の話に耳を傾けない状況や、従業員同士でのパワハラ的な言動も見受けられていましたが、「きもちのカルテ」を活用したチーム編成と社員研修を行うことで、「良い仲間が見えるマネジメント」が行えるようになったと感じています。価値観の合う仲間が、共通の高い目標をもって役割分担し、お互いを尊重しながら仕事をすることで、離職率が下がり、従業員満足度は改善してきました。
社外の変化としては、他社が当社に興味を持ってくれるきっかけになったという点が大きいと思います。葬儀事業は、外部の企業から当社に声がかかって始めた事業です。また、別の企業からは、実験的に新しい形の介護施設運営を共同で行わないかと声がかかっています。SDGsというフレームワークを介して当社の活動が注目され、新たな事業展開につながったことは当社にとって有意義でした。定量的な検証はできていませんが、kainaluというブランドが認知され、企業価値も高まったのではないかと思います。
5. SDGsが経営理念にあたえた影響
SDGsは社会における当社の立ち位置や存在意義を問い直すきっかけとなりました。当社は今年、経営理念の見直しを行い、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献すること」をMissionに掲げています。また、「常に人と宇宙の幸せを一番に優先する」「常に持続可能な選択をする」など6つのValueを行動規範に取り上げて実践しています。
6. SDGsに取り組んでわかったこと・今後の課題
実際に取組んでわかったことは、SDGsに関連する先駆的で独自な取組みは、社外からも注目されるということ。常に現状を改善するための課題を問い続けていれば、そこから新たな事業機会・収益機会が生まれるということです。
今後の課題としては、医療・介護の延長線上にある葬儀事業を立ち上げたのと同様に、前ステージである「未病」の領域での事業化を模索しています。ただ当社のみではリソースが足りないので、他社との提携が前提になると考えています。SDGsパートナーに登録している医療事業者が今後増えてくれることを期待しています。また、SDGsの活動の一環として、当社では経済産業省が推進する「健康経営優良法人」の認定を受けました。従業員の健康増進の取組を、利用者の健康管理にも活かしていきたいと考えています。
(レポート:中小企業診断士 小谷文彦)
この記事へのコメントはありません。