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【SDGsレポート】IoT でゴミのトレーサビリティ実現と中小企業のSDGs経営促進に貢献(株式会社ケイ・システム)

株式会社ケイ・システム

IoT でゴミのトレーサビリティ実現と中小企業のSDGs経営促進に貢献

ホームページ
http://ksystem.kanagawa.jp/

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1. 企業概要

 大和市で2015年10月に創業しました。「アナログな産業廃棄物業界を、ITの力で変革する「DX化」「SDGs経営」を推進し、関わる全ての皆様と共に歩む」 との企業理念のもと、社会に有益なサービスを提供することで、企業の発展・永続を図っています。持続可能な地球環境維持のために、循環型社会の実現を目指している企業です。

 具体的には一般廃棄物、産業廃棄物処理に関するソフトウエアの開発販売等を中心とした事業活動を行っています。このソフトウエアは、ゴミの下に体重計を置くだけでSDGsに貢献できる「企業の体重計Ⓡ」として販売しています。同社は販売を担当し、グループ会社のウエスト・クラウド・ジャパン株式会社が開発を担当しています。

2. 具体的なSDGsの取り組み内容

(1)「ゴミの現状把握」と「廃棄データの分析・活用」を実施して、廃棄物削減とリサイクル・ユースを促進する

 SDGs目標12(つくる責任・使う責任)
 提供しているサービスは、クラウドを利用し、ゴミを種類毎に自動計量し、データ化することで、ゴミが「いつ(時間)、どこで(場所)、どのくらい(重量)」捨てられているかの実態が把握できる「企業の体重計Ⓡ」という仕組みです。この仕組みにより「ゴミの量の見える化」が実現できます。

 さらに、中小企業にとって大きな負担となる産業廃棄物処理時に必要な膨大な 量の「マニフェストの作成を電子データ化することで、この作業にかかるコストと時間の大幅な 削減を行うことができます。電子化によるこの廃棄重量データを有効に活用することにより、ゴミの削減やリサイクル率向上といったSDGsの活動に結びつけられるようにしました。

(2)SDGsを達成するパートナーを増やす

SDGs目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)
 循環型社会の実現には、多くの仲間が必要です。そのために、「企業の体重計Ⓡ」を使用してもらう企業は顧客ではなく、SDGsを達成するパートナーであり仲間であると考えています。仲間がいること、仲間で取り組むことがSDGsへの取り組みの推進力です。中小企業がSDGsの目標として定めた廃棄物の削減を具体的な指標・数値を用いて可視化し、中小企業のSDGs経営に寄与することが、ミッションと考えています。そのために、ゴミの排出業者だけでなく、回収業者まで含めたパートナーシップが大切だと考えています。日本全国のゴミの排出業者、回収業者がともにこのサービスを利用できる仕組みの構築をめざしています。

3. SDGsの取り組みを始めたきっかけ

 小島社長が前職の産業廃棄物処理業者の会社員時代から、疑問に感じていたことがありました。それは産業廃棄物の重さで算出される企業の廃棄量の算出を、各企業が計算していなかったことです。回収業者が自治体の焼却設備で廃棄する際に重さを量ったものを、各企業が排出したゴミの容量で按分して算出されていたからです。その結果としてゴミ排出量が減らず、リサイクル率も増えない事に対する問題意識をもっていました。


 さらに、ゴミの焼却に必要なマニフェストも、前職の会社では紙の発行で、アナログ作業で年間17万5千枚も作成しなければならず、担当者が疲弊しており、退職者もでるような大変な作業でした。また、マニフェストは電子発行も可能ですが、パソコンに不慣れな中小企業にとってはこの作業も大きな 負担となっていました。


 これらの課題を解決するためには、企業のゴミ排出量を見える化し、電子データ化することが必要と考え、独立して現在の事業を開始することを決意しました。

4. SDGs活動の成果

 ゴミの量を見える化し、ゴミの排出量を減らし、リサイクル率を増加させる取組である「企業の体重計Ⓡ」は5年前に始めた当初はほとんど売れませんでしたが、ここ2~3年社会のSDGsに対する意識が高まってくるにつれ、問い合わせが増えてきました。

 小田原市のショッピングセンターで「企業の体重計Ⓡ」を導入したことで、テナント毎のゴミの排出量の見える化ができ、各テナントがゴミの排出量削減策やリサイクル対策を検討。

 その結果、ゴミの排出量が11%削減でき、リサイクル率90%が達成できました。また、マニフェストの電子化、ペーパーレス化が実現し、産廃事務コストの大幅な 削減が実現する成果も生まれました。こうしたゴミの削減効果等のSDGs活動が認められ、消毒剤や洗浄剤を取り扱う大手メーカー、大手ファミリーレストラン等との取引も始まり、徐々に取引先が拡大し、売上も拡大してきています。

5. SDGsに取り組んでわかったこと 

 「企業の体重計Ⓡ」の1号機ができた時、大手100社に営業をかけましたが、良いことだとは思うがどのくらい経費削減になるのかと言われ、なかなか導入ができませんでしたが、2年半くらい前からは、ゴミ削減に取り組もうという流れがでてきました。近年のゴミ削減に対するニーズや意識の高まりを感じています。最近は病院からの引き合いも増えてきています。2021年には神奈川県SDGsアクションファンドを活用しました。

 応募者に対してのリターンは、金銭的なものはなくファンドを通じて社会貢献ができるといった内容であったにも関わらず、1002万円の目標金額に対して、450万円の応募がありました。このファンドに応募した慶応義塾大学SFCの研究室との共同研究といった新たな繋がりもでてきました。また鎌倉市役所への導入といった行政からの引き合いもでてきています。さらに、環境問題に取り組んでいる大学生とのプロジェクトも始まっています。

 取り組みの効果は人材募集にも表れています。先日ハローワークで1名の採用の募集をしたところ、20人もの応募がありました。SDGsの活動にしっかりと取り組んでいる企業だからブラック企業ではないと思って応募した、という方がいるようにSDGsへの取り組みはしっかりと評価されているように感じます。また、ゴミ削減という社会課題に取り組んでいることにより、様々な媒体で取り上げていただけるようになり、講演の依頼も増えてきています。これらを通じて、当社の認知度やブランド力が向上し、販売代理店として販売したい、といった問い合わせも大手企業を含む様々なところからいただいています。SDGsへの取り組みを事業として行なっていることに対する、手応えを感じています。

6. 今後さらに取り組みたいこと 

 

 今後は、ゴミの排出業者だけでなく、回収する事業者にも「企業の体重計Ⓡ」を導入することで、産業廃棄物のプラットフォームを実現し、廃棄量削減、CO2削減に業界全体で貢献したいと考えています。また、ミッションである「中小企業のSDGs経営促進に貢献する」ことを実現するためには、まずは販売パートナーを見つけて、この取り組みを全国に広げていきたいと考えています。

 さらに、過去ベトナムからも問い合わせがあったこともあり、ゴミの削減は世界的にも重要な社会課題であると認識しており、将来は世界に向けての展開も視野に入れています。 

(レポート:中小企業診断士 國領 典彦)

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