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(連載企画)経営資源が限られる中小企業における経営管理の環境整備(第2回)

「世の中お金がすべて」

 そんな台詞を言ってしまうような銀行マンが某ドラマにでてきたら、きっと数話後にはどこか遠い支店に飛ばされていることでしょう。しかし、一方で中小企業の経営者にとって資金繰りは永遠の悩みと言っても過言ではないのではないでしょうか。事業環境が悪く経営成績が悪い場合はもちろんのこと、経営成績がよく、事業を拡大しようと投資を行う場合も、資金繰りの管理を行うことは非常に重要な課題になります。経営者は資金支出の中で、納税、人件費の支払い、銀行への借入金返済などを確保したうえで、事業の運転資金や設備投資などの余力を把握し資金繰りを計画します。その予実管理を行う上で、資金収支の実績管理とそれにもとづいた予算管理を行うための資金繰り表の作成は必須と言えるでしょう。
 資金繰りの管理を行う場合、会計システムに付属している資金繰りの管理機能などを使用することも選択肢の一つになりますが、資金支出の属性を把握するために、仕訳計上の仕方を工夫する必要が出てきます。そのため、資金繰りを管理する方法として、会計システムで入力した現預金の元帳を出力して、そのデータをExcelに貼り付ける方法で資金繰り表の管理を行っていきます。そうした場合、会計システムの使用権限がない担当者も編集閲覧することができ、組織内の業務設計の面からもメリットがあります。
 資金繰り管理を行うポイントとしてはどういった属性のものがいくら出ているかを把握し、それが経常的に支出されるものなのか、又は一時的なものなのかを区別し、予算に反映を行ったうえで、資金がショートしてしまう場合は、銀行からの借入もしくは経営者からの借入などで資金調達を行うのか、又は支出の中で削減できるものがないか検討を行う必要があります。また、予算を作成する場合はPLの予算と違い、予想に反して収支ともに悪い方向にぶれてしまった時には、資金がショートしてしまうため、収入及び支出において、保守的な観点で見積りを行い、常に安全なマージンを保つよう心がけることが必要になります。
 個人事業主や小規模企業の場合、資金繰りの管理をしなくても感覚で把握できているから必要ないと感じる方も多いのではないでしょうか。フリーランスのような働き方をされている場合は、その感覚で問題はないと思いますが、設備投資を行うため銀行から多額の借入を行う事業をされている事業者の場合は銀行への説明責任の観点から、資金繰り表を報告用に作成することは、銀行からの継続的な融資支援を行っていただくためにも強い材料になります。
 今回参考に作成した資金繰り表(ホームページからダウンロード可能)の詳細な使用方法についてはExcelファイルの「説明シート」に記載しております。図1のように「サマリーシート」の中にCash InとCash Outの項目に区分して実績を把握しています。その実績にもとづいて図2の「予実シート」では、より細分化した項目で実績が集計されるようになっており、その集計した実績金額などにもとづいて予算金額を設定していきます。なお、外貨預金がある場合、日付を入力すると「為替レートシート」から為替がTTMレートで参照されるようになっているため、外貨預金も同様に管理することが可能です。(最新のレートは参照先のURLより、「為替レートシート」へ貼り付ける必要があります。)銀行へ報告する際には、大きな資金支出や多額な入金がある場合、コメント欄に定性的な報告を記載し、その数字になっている背景を経営者目線で説明するようにしてください。状況が悪化して、財務分析などが行われている状況でない時における報告を受けている側は、入出金の合計欄とコメント欄を中心的に確認することが多いので、その箇所のみで全体を把握できるように報告資料の作成をするよう心がけてください。

※テンプレートの作成にはミスの無いよう万全を期しておりますが、一定の前提のもと作成しているため各社ごとのカスタマイズが必要な場合があります。数値の検証を含めてご使用は自己責任でお願いします。本テンプレートの使用によって生じるいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。

 【図1】 
【図2】

          【山盛 朋哉】

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