
連載企画 合格後のキャリアの作り方 (3)2年目以降のキャリアの作り方
2年目以降に起こる変化と課題
・周囲の活動の変化
同期や先輩診断士が独立したり、本業に専念したりする人が増え、活動の機会やモチベーションが低下する可能性があります。
・活動の停滞
企業内診断士の場合、本業が忙しくなったり、診断士活動の成果が見えにくくなったりして、活動が停滞しやすくなります。
・受験生支援のコンテンツの魅力低下
1年目は、受験生にとって身近な存在として、試験対策や勉強法に関するアドバイスが求められます。しかし、2年目以降は、受験生から見ると少し先輩になり、合格直後の新鮮な情報や共感を得にくくなる可能性があります。
2年目以降のキャリアパス例
●独立
・自分の専門分野を活かしたコンサルティング事業を立ち上げる。
・ニッチな市場に特化し、独自のポジションを確立する。
・リスクを最小限に抑えるため、副業や兼業から始める。
●転職
・中小企業診断士の資格を活かせる企業に転職する。
・キャリアアップや年収アップを目指す。
●企業内診断士
・本業で培った経験と中小企業診断士の知識を融合させ、社内での活躍の場を広げる。
・経営企画、新規事業開発、人事など、より経営に近いポジションを目指す。
・社内コンサルタントとして、組織全体の課題解決に貢献する。
具体的なキャリア形成ステップ
●ステップ1:自分の強みと価値観の再確認
1年間の活動を振り返り、成功体験や失敗体験を元に「棚卸し」、「価値観の明確化」、「自分の強み」を分析しましょう。
・棚卸し
どんな仕事にやりがいを感じたか、どんなお客様から感謝されたか、どんな知識やスキルが不足していると感じたか 等。
・価値観の明確化
どんな仕事を通して社会に貢献したいか、どんな働き方がしたいか、どんな人生を送りたいか 等。
・強みと価値観を一致
自分の強みと価値観を一致させることで、モチベーション高く、継続的に活動できるようになります。
●ステップ2:キャリア目標の設定
5年後、10年後、どのようなキャリアを築きたいのか、具体的な目標を設定しましょう。
・長期的な視点
独立して自分の会社を経営したい、 専門分野を極めトップコンサルタントになりたい、企業内で経営層として活躍したい 等。
・短期的な目標
長期目標を達成するために、1年後、3年後に何をすべきか、具体的な行動計画を立てる、必要な知識やスキルを習得する、人脈を広げる、実績を積む 等。
・目標達成のための具体的な行動
目標達成のために、必要な資格取得、研修受講、書籍購読、人脈形成などの具体的な行動を計画しましょう。
●ステップ3:スキルアップと自己成長
行動計画を立てたら、計画を実現するためにスキルアップと自己成長に磨きをかけていきます。
・継続的な学習
常に新しい知識やスキルを学び続ける、専門分野の深掘り、隣接分野の知識習得、ビジネススキル向上 等
・実践経験の積み重ね
実際にお客様の課題解決に携わることで実践的なスキルを磨く、県協会が開催する実務従事への参加、プロボノ活動(スキルを活かした社会貢献活動)の実施、勉強会やセミナーでの発表 等。
・自己分析と振り返り
定期的に自分の活動を振り返り、改善点を洗い出すと成長度合いが明確になっていきます。お客様からのフィードバック、信頼できる先輩診断士からのアドバイス、自分の成功体験、失敗体験の分析 等。
継続的な努力と自己成長が重要
市場環境やお客様ニーズは常に変化しているため、中小企業診断士として2年目以降も、継続的な努力と自己成長が不可欠です。変化へ対応できるように、常にアンテナを高く張り、社会の変化を敏感に捉え、自身のスキルをアップデートしていく柔軟性が求められます。
また、1年目以上に信頼できる仲間とのネットワークを築き、互いに支え合い、高め合っていく環境が重要です。県協会の活動や各種登録グループにおいて、2年目以降、新たな役割にチャレンジしたりすることで、思わぬキッカケを得て、人生が好転する例も多数あります。
これらの要素を意識しながら、中小企業診断士としてのキャリアをより確実なものとしていってください。
【鴨居 陽介】
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