
連載企画 中小企業における健康経営 (4) アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム
前回は、「中小企業におけるコラボヘルスの第一歩」についてご紹介しました。今回のテーマは「アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム」です。
■アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム
世界保健機関(WHO)が提唱する、健康問題に起因するパフォーマンス損失を表す指標がアブセンティーイズムとプレゼンティーイズムです。健康保険組合が事業主とコラボヘルスを行う際にも、アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムの解消を共通の目的に設定することがあります。
アブセンティーイズム
健康問題に起因して欠勤している状態
プレゼンティーイズム
欠勤には至っていないため勤怠管理上は表出しないが、健康問題に起因して生産性が低下している状態
■健康経営オフィスの効果モデル
健康経営オフィスとは、「健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のこと」です。経済産業省の健康経営オフィスレポートで解説されているため、興味のある方は是非ご覧ください。
20,000名以上のビジネスマンを対象に行われた「健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業」の結果が、健康経営オフィスの効果モデルとしてまとめられ、最終的なアウトカムとして「プレゼンティーイズムの解消」と「アブセンティーイズムの解消」が設定されています。つまり、健康経営促進によるパフォーマンス向上効果(≒生産性の向上)の根底には「オフィス環境の整備」があるというロジックで、健康経営の第一歩はまずオフィスから、と考えられます。
図1 健康経営オフィスの効果モデルの概略

経済産業省 「健康経営オフィスレポート」を参考に作成
■「健康を保持・増進する7つの行動」簡易チェックシートの活用
健保が所有するデータの利活用ではオフィス環境の現状把握はできないため、事業主としてフレームワークを活用して定量的に評価する必要があります。健康経営オフィスレポートに『「健康を保持・増進する7つの行動」簡易チェックシート』があるので、このようなツールの活用は選択肢の一つです。
■まとめ
健康経営オフィスの効果モデルのアウトカムに、生産性の指標となるアブセンティーイズム、プレゼンティーイズムがあります。そして生産性の向上の根底にはオフィス環境の改善があります。以上、本連載が、中小企業の皆様が健康経営への第一歩を踏み出す一助となりましたら大変幸いです。
【濱谷(はまたに) 悠太】
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