連載企画 展示会に行ってみよう(4) Japan IT Week/Japan DX Weekに行ってみた
第4回目、最終回の展示会レポートは、2026年4月7日(水)~9日(金)に東京ビッグサイト東1~8ホールで開催されたJapan IT Week、Japan DX Week、営業・デジタルマーケティング Week、EC・店舗 Weekのうち、「IoTシステム開発 EXPO」「AI・業務自動化展」「現場DX EXPO」を中心に見学した内容をまとめたものです。会場は非常に広大で、IT、DX、AI活用、業務効率化に関する幅広い展示が並んでいました。
1.展示会の概要
本展示会は、企業のデジタル化や業務変革を支える製品・サービスを幅広く集めた総合展示会です。実務担当者だけでなく、経営層や業務部門の来場も意識した構成で、全体として導入検討や商談につながる実務的な色合いが強いと感じました。
特に会場全体では、AI関連の展示に加え、ランサムウェア対策をはじめとするセキュリティ分野への関心が高く、来場者の注目を集めていました。
2.来場客に提供できる出展者側の価値
出展者が来場者に提供できる価値は、大きく三つあると感じました。
第一に、複数のサービスや製品をその場で比較検討できることです。第二に、担当者と直接対話することで、自社の課題に合うかどうかを具体的に確認できることです。第三に、最新トレンドを体感できることです。
今回も、会計、経費精算、請求書、給与、勤怠、契約書管理など、中小企業のバックオフィス業務を一体的にデジタル化するサービスが多く、来場者にとって導入候補を短時間で整理しやすい展示会であったと思います。
3.所感
「 IoTシステム開発 EXPO」では、IoTを掲げながらも、実際にはNVIDIA Jetsonやインテル、AMD系CPU向けボードを活用した展示が中心で、日本企業による専用ハードウェアやLSI開発の存在感はあまり感じられませんでした。既存プラットフォーム上でソフトウェアを実装する展示が多く、国内におけるIoT開発の現状の一端を示しているように思いました。
IoTという言葉から、より現場実装に近い専用機器や組込み技術を想像していたため、やや期待との差も感じました。これは裏を返せば、日本企業の強みがハードウェアそのものよりも、既存基盤を活用したアプリケーション開発や、個別最適なシステム構築に寄っていることの表れとも受け取れます。
また、「AI・業務自動化展」、「現場DX EXPO」では、製造現場や建設現場に組み込まれるフィジカルAIや機械連携型DXを期待していましたが、実際には在庫管理、発注、経理、人事、総務などの業務DX展示が中心でした。AI活用も画像センサーによる処理に偏っており、振動、音声、角速度、加速度などを活用した展示はほとんど見当たりませんでした。
その一方で、Claude CodeやCoworkなどのAIエージェント関連セミナーは人気が高く、現在の関心が「AIをどう現場実装するか」に向かっていることを実感しました。つまり、現場DXといっても、現時点では設備そのものの高度化よりも、まずは周辺業務や知的作業の効率化から導入が進んでいることが、展示内容からうかがえました。
4.まとめ
今回の見学では、期待していたフィジカルAI寄りの展示は少なく、展示テーマと実際の内容にややずれがあると感じました。似たテーマの展示会も多いため、事前に展示会の特徴や出展内容をよく吟味しないと、見学目的と実際の展示がずれてしまう可能性があることを実感しました。特に今回は会場が広大で展示内容も多岐にわたり、重点的に見るべき対象を絞りにくく、結果として見たいものがぼけてしまう難しさもありました。フィジカルAI寄りの展示を期待するのであれば、4月15日・16日に幕張メッセで開催される「MDX 2026 製造業 AI・DX EXPO」の方が適していたかもしれません。
その一方で、中小企業診断士が展示会を見学する意義も改めて理解できました。展示会は、企業がどのような課題を抱え、何に関心を寄せているのかを現場で把握できる貴重な機会です。出展内容だけでなく、来場者の動きや各社の訴求方法まで含めて観察することで、支援先企業への助言、市場動向の把握、販路開拓支援に役立つ実践的な知見を得ることができます。最終回のレポートとして、展示会は単に製品を見る場ではなく、中小企業診断士にとって「現場のニーズをつかむ学びの場」であることを実感しました。
【飯島 利幸】
【飯島 利幸】




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