
平30会の同期診断士座談会
中小企業診断士資格を取得したあと、企業内診断士としてキャリアを積む、独立して一城の主として歩んでいく…など、中小企業診断士資格を生かしたキャリアマップは人それぞれです。そこで、今回は平30会の同期診断士3名が集まり、中小企業診断士資格がキャリアにどのような影響があったか、率直なお話を伺いました。
(座談会実施日 2025年3月16日 対面にて)
♦座談会メンバー紹介
松井 洋治さん(2018年登録・平30会・独立)
松井洋治 1965年11月生 株式会社j P C 代表取締役。 大学卒業後、証券会社に7年間勤務。バブルの絶頂(有頂天)と崩壊(絶望)を経験する。1995年29歳で証券会社を退職し、現株式会社j P Cを出張パソコン指導から設立。現在は、中小企業のDX化支援ならびに補助金採択支援また、上記の業務を通して理想の会社を創る支援も行っている。 経営者と従業員のGAPを埋める評価制度『みんなの働きがい改革®』の1万社導入を目指す。

知念 毅さん(2018年登録・平30会・独立)
株式会社CSKでSEとして約5年、アクセンチュア株式会社でITコンサルタントとして約10年の経験を経て、2018年に中小企業診断士資格を取得して独立。現在は、IT導入・活用支援、ホームページ制作・Webマーケティング・販促支援、補助金活用支援、研修・セミナー講師等の業務に従事。業務システムの変更やホームページのリニューアルを契機とする業務効率化とコスト削減が得意で、毎年複数のIT系案件に対応している。

長島 三氣生さん(2018年登録・平30会・独立)
京セラ、ファーウェイジャパンにて携帯電話・スマートフォンの商品企画及び販売促進に従事。2011年から世界最大級のグローバルIT系メディアの日本法人立ち上げに参画。同社を退職後、インターネットビジネスを中心としたコンサルティング、研修講師、越境ECサイトの運営などを中心に活動。TAC中小企業診断士講座専任講師兼経営情報システム教材作成責任者、日本生産性本部経営コンサルタント。

♦ 中小企業診断士という資格を目指したきっかけ
-【司会・濱谷】本日はお集りいただきありがとうございます。早速ですが、中小企業診断士の資格取得を目指したきっかけを教えてください
長島さん(独立診断士): 私は大学生の時に診断士という資格を知りました。商学部だったので相性が良いなと漠然と思っていました。その後、欧州でMBAを取得しましたが、日本にも中小企業診断士という日本版MBA的なものがあることを知り、海外MBAとの違いを知りたくて興味本位で勉強を始めました。
-濱谷:海外MBAと日本版MBAと呼ばれる中小企業診断士は何が一番違いましたか?
-長島:一番の違いは目的ですね。海外のMBAは起業家を養成することを目的とし、中小企業診断士の方はコンサルタントを要請することを目的としていて、トラディショナルなテーマが多い印象がありますね。
松井さん(独立診断士): 私はもう独立して30年になりますが、経営に苦しんでいた時期もありました、ある時、経営者の集まる経営発表大会に参加しました。そこで、ある経営者さんから『松井さん、何か資格持っていますか?』と聞かれました。その方は測量士の資格を持っていらっしゃって、『今の成功は資格のおかげ』と言われたんです。会社に戻ってこの事を話したら、女性社員が『私が診断士資格を取ります』と言うものだから、それなら私も挑戦しないわけにはいかないと思い、8年かけて取得しました。子供に受験させたりしていたので、親の私も挑戦しやり遂げなければという思いで頑張りました(笑)
-濱谷:その女性社員さんも一緒に診断士の資格を取得されたのですか?
-松井:結局その方は中小企業診断士の資格は取得しなかったけど、すごく勉強熱心な方で、ウェブ解析士を取られましたね。
-知念:ウェブ解析士は毎年更新があって、定期的にセミナーもやるので新しい情報が入ってきますよね。
知念さん(独立診断士): 私は新卒で入ったシステム開発会社で先輩が勉強しているのを見て知ったのがきっかけですね。その時は、今は中小企業診断士の資格は必要ないと思いましたが、IT系コンサル会社に転職後、2つの理由から独立を考えました。1つは管理職になって現場でお客様をご支援することから離れていく中で、お客様を満足させることに喜びを感じていたので離れることに少し寂しさを感じていたこと、もう一つは非常に激務だったことで、それなら独立しようかなと独立を考えるようになりました。その際に、これまでの経験からコンサルティングはできるかもしれないけれども、支援の対象が大企業から中小企業へと変わることもあって、診断士の勉強が必要だと思いました。
♦ 中小企業診断士の資格を取得して、自身のキャリアで役立ったこと
-【司会・濱谷】独立診断士としてご活躍されている皆さんに質問です。中小企業診断士の資格を取得して、どのように資格を活かされていますか?
-知念:資格なくしては得られないものがありますよね。例えば、専門家派遣に登録するときも、診断士の資格をもっているからこそ登録できる。また、診断士仲間からの仕事の紹介や、養成課程での仕事も資格取得過程で得られたネットワークからいただけていますし。
-松井:新規で仕事を受ける予定は?
-知念:去年は大変だったんですけど、最近少し受ける余裕がでてきたので、今年は受けていきたいですね。これまで手が回らなかった新しいことにも挑戦したいです。
-長島:私はJICAの仕事を入札するときに役立っていますね。入札する時に中小企業診断士の資格を持っていると点数が付くんですよ。
-松井:入札なんだ?
-長島:そうなんです。他にも、英語ができると何点加点とかあって。国の仕事なんで診断士の資格を持っていると評価されるんですよね。あと、中小企業診断士の資格・制度に興味を持っている国もあって、たしかアルゼンチンだったかな。
-松井:おもしろいですね!
-長島:海外には診断士の制度がないので、途上国だとこのスキームっていうんですかね、それを当てはめるということが役に立つみたいなんですよ。
-一同:なるほどー
-長島:私にとって一番面白いと感じられるのは、仕事ではなく、いろんな年代の人と話す機会があることですね。日本で普通に過ごしていると、同世代と話す機会が多くなってきがちですが、診断士の資格を通じて、世代を超えて話ができることにすごく価値を感じていますね。
-松井:私も可能性が広がった気がします。一番大きいのは見られ方が変わったこと。私の見た目は何をしているのか分からないですが(笑)、『中小企業診断士の松井さん』と紹介されるようになり、みんな安心してくれるんです。そして何より、診断士の資格を通じて、経営者との付き合い、そして診断士との付き合い、この2つの大きな付き合いが生まれたことが良かったです。心が豊かになり、豊かさが広がった感じがします。
-【司会・濱谷】最後に、次の節目である診断士資格の登録後10年に向けて、皆さまの今後のビジョン・目標について教えてください。
-知念:今の延長線上にはなるんですが、お客様のために1つ1つ良い結果を出せるように仕事をしていきたいと考えていて、このスタンスは今後も変わりません。そのなかで、時代の変化も取り入れていきたいと考えているんです。
Webサイトの作成を依頼されているなかで、経営の戦略を起点にマーケティングの観点で必要なコンテンツを落とし込んでいました。最近では、それに加えて写真を撮影するようになり、動画を作ってほしいという依頼を受けて動画制作まで手を広げていて。必要なものがどんどん増えていて、学びながら楽しんでやっていきたいと思っています。中小企業でもSNSの活用が進んできているので、もっとやっていきたいですね。自分自身に対してマーケティングってあまりやってきていなかったので、自分を実験台にしながら頑張っています。
-松井:クリエイターみたいだね(笑)
-長島:いくつかありますが、パラレルキャリア研究会の話をします!自分もパラレルキャリアをやっていて、学ぶ楽しさを広めていきたいと考えています。私自身はデータサイエンスと英語をやっていて、社会人にとって学びなおしの必要性をとても感じているんです。世界的にみると文系理系って分断されるのは少し違和感があるし、みんな社会人になってからも新しいことを学ぶことに必要性や面白さを感じてやっているんです。今の小学生は統計とか英語も学んでいますよね。でも我々世代はそこまで学んでいない。だからこそ、今の社会人、20~50代、データサイエンスとか英語とか学んでいないと厳しい世界になるんじゃないかなと思っていて、学ぶ支援をしていきたいなというビジョンがあります。

パラレルキャリア研究会 ホームページ:https://parallel-career.studio.site/
<パラレルキャリア研究会(神奈川県中小企業診断協会登録グループ)の紹介文>
データサイエンスを中心に自学自習の習慣化(学習ルートの相談)とメンバー同士の交流を支援しています。他にも英語、デジタルマーケティング、プログラミングなど学習しているメンバーもいます。特に30代から50代の社会人は仕事や家庭(子育て)などで忙しく、日々の学習する時間を確保することが非常に困難です。パラレルキャリア研究会を利用して日々の学習を習慣化してみませんか。
-【司会・濱谷】:松井さんはいかがですか?
-松井:私は、「みんなの働きがい改革®」を1万社やりたいというビジョンがあります。1万社は普通じゃできないからね(笑)少しずつ実績を積んでいこうと思っています。同時に、日本を元気にする『あいさつ革命』を広げていきたい。各自が自分から挨拶をすることで職場の雰囲気が変わり、特に若い人たちに大きな成果があると実感しています。少し語らせていただいてもよいですか?(笑)
♦ 日本全国挨拶革命~積極的なあいさつ行動が日本と世界を変える!~
-【司会・濱谷】「あいさつ革命」面白いですね。ぜひお願いします!
-松井:実は中学2年の娘がいて、そこの校長先生と仲良くなりました。生徒から挨拶をしてくれる子が2割、私が挨拶すると、返してくれる子が6割いますが、残りの2割は下を向いたままで返してくれない感じです。校長先生に「学校全体で挨拶が苦手なような気がします。」と伝えました。そこから発展し今では、「この学校を神奈川県で一番の挨拶校にしよう」と生徒会とPTA、学校で一緒に取り組み始めました。その経験から、企業にも同じことを提案しています。自分から挨拶する、名前を呼んで挨拶するだけで、職場の雰囲気や人間関係が全く変わるんです。あるクライアント先の若い社員は「無視されるのが嫌だから自分から挨拶はしたくない」と言っていました。「無視されてもいいんだよ、でもあなたの声は届いているから」と伝えました。その彼が挨拶を実践してみたところ、今まで飲みに誘われたりしなかったのに誘われるようになったりして、人間関係が変わったそうです。そこから大きな自信を手に入れています。
-【司会・濱谷】あらためて見つめなおしてみると、名前を呼んで挨拶する、手を止めて挨拶する、私もここまでできていなかったかもしれません。さっそく明日から挨拶を意識してみようと思います。本日はみなさまとお話できてとても勉強になりました!
最後に松井さんの著書のポスターを囲んで集合写真を撮りました!

(左から)松井さん 知念さん 長島さん
皆さんありがとうございました!
【濱谷(はまたに) 悠太】
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