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【SDGsレポート】電力の可視化で省エネを企業の利益へ(株式会社エニマス)

1. 企業・事業概要

株式会社エニマスは、電力使用量の『見える化』を実現するポータブル通信電流計「エニマス」の製造販売および、それに関連するアプリケーションの開発・サービス、省エネソリューションコンサルティングサービス、脱炭素コンサルティング、省エネ商品の開発と販売を主な事業内容としています。

同社の主力製品である「エニマス」は、設備ごとの電力消費量をリアルタイムで計測・可視化し、CO2排出量や電気代データを提供します。本製品は既存設備に後付けできる点も魅力的であり、様々な企業や自治体で採用が進んでいます。

現在は販売が主軸ですが、将来的にはコンサルティング事業の比率を高めていく方針です。
現在10名のスタッフがおり、主に営業と技術部門で構成されています。
経営理念は、『見える化』で行動変容を生み出し、地球規模の継続的な省エネに貢献することです。

項目概要
商号株式会社エニマス
本社所在地〒194-0013 東京都町田市原町田4-11-13
資本金1,000,000円
設立年月日2022年8月26日
従業員10名
経営理念/ミッション『見える化』で行動変容を生み出し、地球規模の継続的な省エネに貢献する
主な事業内容ポータブル通信電流計「エニマス」の製造販売、省エネソリューションコンサルティングサービスなど

2.SDGs・脱炭素に取り組んだきっかけ

同社が脱炭素・省エネの取り組みを事業化した背景には、親会社であるコバヤシ精密工業株式会社での実体験があります。

コバヤシ精密工業株式会社では、自治体の省エネ補助金制度を活用し、工場の照明をLEDに刷新しました。
しかし、その後業績好調につき新型の工作機械を導入したところ、全体の消費電力が跳ね上がり、補助金の計画と異なるとされ返金を求められるという事態に直面しました。
この際、照明部分の消費電力が下がったことを証明できれば良かったという悔しさから、「電力の見える化」を叶える装置、すなわち「エニマス」の開発が始まりました。

この装置で調査した結果、照明の消費電力は全体の3%以下であり、電力の95%以上が工作・加工機械によるものだと判明し、現状把握の重要性を痛感しました。

当初は自社のために開発したツールでしたが、2020年10月に日本政府の「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という宣言がありました。
「エニマス」は、多くの企業が直面するエネルギー使用状況の可視化や「ムダ」の削減に貢献できると思い、事業化を開始しました。

3.SDGs・脱炭素に取り組む目的・目標

同社の取り組みの目的は、省エネを企業にとって「コスト」ではなく「利益」に変えることにあります。

同社のミッションは『見える化』で行動変容を生み出し、地球規模の継続的な省エネに貢献することです。
具体的な経営目標として、無駄な電気(コスト)を利益に変える、つまり電気代の削減を通じて企業利益の創出を目指します。

社会・環境への貢献 脱炭素経営は全世界で必須の取り組みとなっており、環境に無関心な企業は投資対象やサプライチェーンから外されてしまうリスクがあるため、「エニマス」はこうした社会課題の解決をサポートします。  

同社は、電気使用量の削減を通じてCO2排出量削減と電力コストの最適化を同時に実現することを目指しています。
また、エニマスの売上の一部を林業の振興にあて、CO2吸収源となる森林を豊かにすることに貢献しています。

親会社であるコバヤシ精密工業は、日本政府の2030年までの温室効果ガス削減目標(2013年度比46%減)に対して、既に27%の削減を達成しています。
現在は中小企業SBT(Science Based Target)を取得し、クラウドで自動的にデータ収集・分析を行っています。
また、2030年までに売上100億円を目指すなど、事業拡大を通じた貢献を目指しています。

4. SDGs・脱炭素の取組体制

同社は、製品開発から販売、そして脱炭素経営支援まで、専門家との協業を通じて体制を構築しています。

「エニマス」の開発・製造・品質管理は、同社の専務取締役である二関智司氏が中心となって進めています。
初号機は、相模原市青年工業経営研究会に所属する若手経営者たち(部品加工、基盤製作、プログラム、アプリ開発など)が、それぞれの知見と技術を持ち寄り開発されました。

さらに同社は、企業や自治体の脱炭素化を支援するため、つぎのような戦略的な提携・協業を進めています。

• アパレルメーカーとの協業

ミストによって脇の下や首筋を冷やすポロシャツの開発や従業員に保冷ベストを提供し、エアコン設定温度を高め(30℃)に設定。電気使用量を押さえつつ、快適な作業環境を構築しています。

• 日本GXグループ(JGX)との提携

「エニマス」を活用した電力使用量の『見える化』から、省エネ施策の提案・実施、カーボンクレジットの創出・活用支援までを一気通貫でサポートしています。

• IT企業との協業

ウイングアーク1st、ソラコムの3社で協業し、CO2排出量可視化プラットフォーム「EcoNiPass」の電力可視化機能を共同開発しており、2025年11月に提供開始予定です。

• 行政・自治体との連携

相模原市、川崎市、南足柄市、八王子市といった行政・自治体の産業施策の一翼を担っています。
経済産業省や環境省との連携も進んでおり、IT診断事業などの新たな取り組みも始まっています。
今後の展開としては、AIを活用した自動分析システムの開発やJクレジット(カーボンクレジット)への連携を計画しています。

5.SDGs・脱炭素に取り組んだことによる効果

同社の取り組みは、まず親会社であるコバヤシ精密工業において、「エニマス」を用いてホットスポット(電気使用量の大きい箇所)を調査しました。
解析を進める中、コンプレッサーの負荷率が100%に近いことが判明しました。
そこで、新たに1台を導入し、1台あたりの負荷率を半減することで、年間65万円ほどの電気代の削減できました。
他にも、工作機に使用するトランス(変圧器)にブレーカーを設置し、未使用時の電力供給を遮断したり、断熱窓の設置により空調効率を高めたり、など様々な施策を実施しました。
その結果、2023年度の電気使用量は前年度比で11.6万kW(-27%)の削減となり、電気料金に換算して480万円ほどの節約となりました。
この削減は、製造業が500万円の利益を生み出すために数千万円から1億円の売上をあげる必要がある状況において、「1億円分の仕事をしたのと同じことになる」と評価されます。

また「エニマス」による電気の見える化を通じて、つぎのような従業員の意識や行動の変容を促しました。

• 行政機関の事例

相模原市庁舎では、ノー残業デーである水曜日に消費電力が15%ほど下がることを可視化し、業務生産性の向上が省エネに直結することを示しました。

• 製造業の事例

工作機械の待機電力削減や、コンプレッサー室の温度調整など、運用改善策の実行に繋がりました。補助金を利用した設備導入においても、既存設備の電気使用量の計測および自治体への証明に使用されています。

• 飲食業の事例

全国チェーン企業の複数店舗を比べ、オペレーションや設備の製造年等の違いによる電気使用量を見える化し、運用ルールを見直しました。
その結果、1店舗あたり平均10%の電気量が削減し、数億円の利益に繋がりました。

同社の革新的な取り組みは、次のような公的な表彰を受けています。

• 2023年度 日本省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門):省エネルギーセンター会長賞を受賞。

• 第49回 発明大賞:発明功労賞を受賞。

• かわさき起業家オーディション:かわさき起業家賞などを受賞。

6. 今後の課題、抱負

同社の取り組みは、中小企業のカーボンニュートラル実現に向けた道筋を示すことに焦点を当てています。

脱炭素経営が世界的に必須となる中、大企業ですら何から取り組むべきかを迷っているのが現状であり、中小企業においてはその傾向がさらに強いことが課題です。
また、省エネを成功させるには、経営者だけでなく従業員全員が参加する「全員参加型」が基本であり、取り組みを従業員に「自分ごと」として捉えてもらうための意識改革・教育が重要となります。
同社でも従業員に向けた個社セミナーや外部講演を行い、意識改革に取り組んでいます。

同社は、脱炭素化を段階的に進めるための次のようなロードマップを推奨しています。

(1) STEP 1 (1年目):電気の見える化と運用改善により、無駄な電力を「へらす」ことを徹底し、老朽化した設備の更新や再エネ導入のための「原資づくり」を行う。

(2) STEP 2 (2年目):原資と補助金を活用し、老朽化した設備の更新や省エネ機器への移行を進める。

(3) STEP 3 (3年目):自家発電(太陽光など)といった再生可能エネルギーの導入を行う。

(4) STEP 4 (最終):排出せざるを得ないCO2については、CO2排出権取引やカーボンクレジットを購入し、カーボンニュートラルを達成する。 

ロードアップは少しずつ浸透してきていますが、まだまだ多くの企業がSTEP1という状況です。
過去には「エニマス」を使用して電気の見る化をしたものの、次のアクションがわからずに省エネを断念した企業もありました。
今後はそういった企業に対し、電気の見える化から省エネに繋げられるように、コンサルティングサービスにも力を入れていきます

同社の代表取締役である小林氏は、「将来の子どもたちのために」生きられない世界にならないよう、脱炭素化の必要性や取組方法について、わかりやすく発信していくことが企業の責務であると強い信念を抱き、本事業を推進しています。

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