【SDGsレポート】90歳も活躍!多様な人材が支える地域の暮らし(株式会社日装)

1.企業・事業概要
株式会社日装は、神奈川県平塚市に本社を構える総合建物管理業者です。
創業は約40年前、清掃事業からスタートし、現在では清掃、施設管理、警備、設備点検業務の4事業を展開しています。
同社の強みは、建物に付随する多様な業務をワンストップで引き受ける「丸ごと運営」です。
清掃から電気・給排水・消防設備等の点検、さらには警備員の派遣までを一括して担うことで、顧客側の管理コスト低減と、建物全体の効率的な維持運用を実現しています。
同社の大きな特徴は、事業エリアを会社から概ね1時間半以内に限定している点です。
東は藤沢・大船方面、西は小田原方面までを自社対応とし、それ以上遠方は外部委託としています。
エリアをむやみに広げるのではなく、「迅速に駆けつけられる距離」にこだわる姿勢は、地域密着企業としての責任感の表れでもあります。
「地域の建物を守ることは、地域の暮らしを守ること」。
そうした想いが、同社の事業の根底に流れています。
【法人概要】
| 項目 | 概要 |
| 所在地 | 神奈川県平塚市纏3-29-29 |
| 代表者 | 川村 弘明 |
| 創業・設立 | 昭和59年5月21日 |
| 従業員数 | 約120名 |
| 企業理念 | 地域社会からの期待に応え、多様な価値観の形成を通じて社会へ貢献する。 |
| 事業内容 | 【清掃管理業務】 日常清掃・定期清掃・巡回清掃・臨時清掃 【建物設備管理及び点検業務】 給排水設備・建物点検・消防点検・給排水及び貯水槽管理・建築設備定期検査(建築基準法第12条に基づく特定建築物定期調査) 【警備業務】 常駐警備・臨時、巡回警備・施設警備 【スポット業務】 草刈り・剪定作業・害虫駆除・修繕業務・補修・雑工事・LED照明工事 |
| 認証等 | かながわSDGsパートナー登録法人 |

2.SDGsに取組んだきっかけ
清掃・設備・警備業界は、慢性的な人材不足と高齢化という課題に直面しています。
同社においても例外ではありませんでした。
これからも地域に必要とされる企業であり続けるためには、若年層を含む多様な人材に「選ばれる会社」になる必要があります。
その一環として、同社が下した大きな決断が、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを経営の核として明確に打ち出すことでした。
約2~3年前からSDGsを経営方針として位置づけ、ホームページにサステナビリティ項目を新設しました。
昨年にはSDGsパートナー登録も行い、対外的な発信を強化しています。
同社にとってSDGsは、新しい事業を始めるということではありません。
これまで当たり前に行ってきた「安全・衛生の確保」や「建物の長寿命化」といった取組を、社会的価値の視点から再定義し、言語化する取り組みでした。
3.SDGsに取組む目的・目標
同社にとってのSDGsは、単なる社会貢献活動ではなく、「持続可能な地域密着経営」を実現するための経営戦略です。
具体的には、
・建物の定期点検による長寿命化
・環境負荷低減(洗剤削減等)
・高齢者や多様な人材が活躍できる職場づくり
・地域社会への継続的な貢献
を通じて、地域に不可欠な企業となることを目標としています。
エリア拡大による規模追求ではなく、「限られた地域でできることを増やす」方針を掲げ、建物単体ではなく周辺環境や地域全体を視野に入れた“小さな町づくり”のような事業展開を目指しています。
同社は、日々の細やかな清掃や設備の定期点検によって建物の劣化を防ぎ、その資産価値を永続させることで、資源を浪費しない「循環型社会」の実現に直接的に寄与しています。
地域密着だからこそ実現できる迅速かつ精微な管理によって、単なるビルの維持に留まらず、そこに集う人々の安全と、持続可能な街づくりの基盤そのものを支えているのです。


株式会社日装ホームページhttps://www.nisso-kanagawa.com/sustainability/
4.SDGs取組体制
同社においてSDGs取り組みは経営陣からのトップダウン型で推進されており、社内にSDGsを専門に取り扱う組織が特別に存在するわけではありません。
それでも、日々のコミュニケーションや地域の方々からの感謝の声により、SDGsへの意識、特に地域貢献への意識は社内に広く浸透しています。

清掃現場では、従来の洗剤から環境負荷の低い電解水へ切り替えました。
これにより、洗浄工程は3工程から2工程へと短縮され、環境配慮と業務効率向上を同時に実現しています。
使用される電解水は同業他社との連携によるものです。共同でタンクを確保し製造委託することでコストを抑えています。
同社の大きな特徴は、高齢者が活躍できる職場環境です。
90歳の従業員も在籍しており、個別にシフトを調整するなど柔軟な配慮を行っています。
また、現場では機材のコードレス化を進め、身体的負担の軽減を図っています。
さらに月1回、産業医による健康相談の機会を設けています。
また、同社は女性の従業員も多く、清掃・設備管理の最前線で多様な役割を担っています。
女性活躍推進法に基づく行動計画の公表など、透明性の高い情報開示にも注力しています。
加えて、同社は障がい者や外国人の雇用も行っています。
多様な人材が働くことができる職場環境づくりのため、経営陣や管理者が現場に足を運び、ITツールだけに頼らず直接対話を重ねています。
この地道なコミュニケーションが、従業員の安心感と信頼につながっています。

5.SDGsに取組んだことによる効果
SDGsへの取組を明確に発信したことで、これまで接点のなかった大企業からの問い合わせが増加しました。社会的意義を持つ企業として認識され、ブランド価値向上につながっています。
また、高齢者も働きやすい企業として認知が広がり、ハローワークなどからの紹介が増えました。
従業員数はここ数年で約1.5倍に増加し、売上も同様に伸びています。
離職率は大きく低下しており、直近数年の離職はほぼ体調要因のみとのことです。
働きやすさ向上の取組が成果を上げていることがうかがえます。
さらに、従業員のやりがい向上の効果も現れています。
同社は小学校のカーブミラー清掃など、地域貢献活動も実施しています。
「自分たちの仕事が地域を支えている」という実感が、従業員の誇りとモチベーションにつながっています。
SDGsは理念にとどまらず、採用、営業、組織活性化を支える経営戦略として機能しています。
6.SDGsの取組に関しての今後の課題・抱負について
同社は、エリア拡大ではなく「地域内での深化」を選択しています。
限られた地域でできることを増やし、より深く関わることが持続可能な成長につながると考えています。
また、建物管理は、定期点検による予防保全を通じて建物を長く使い続けることに貢献します。
これは資源の有効活用という観点からもSDGsに直結する取り組みです。
将来的には、建物単体ではなく周辺環境も含めた”小さな町づくり”のような事業展開も視野に入れています。
もちろん、道半ばの課題も存在します。
SDGs推進体制のさらなる明確化や、環境負荷低減策の具体化、同業他社との連携強化、そして女性管理職の登用推進など、さらなる高みを目指すための伸び代は残されています。
しかしながら、地域に根を張り、人を大切にしながら一歩ずつ積み重ねていく姿勢こそが、同社の最大の強みです。
同社は、「建物を守ることを通じて、地域の暮らしを支える企業」として、これからも持続可能な地域社会の実現に貢献していくものと期待されます。




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