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【SDGsレポート】言葉の壁を構造で解決、誰もが輝ける現場へ(株式会社東京エンヂニアリング)

1.企業・事業概要

株式会社東京エンヂニアリングは、制御盤・分電盤の設計・製造を主力とする製造業です。
工場の生産ラインを制御する装置を、顧客仕様に応じてほぼオーダーメイドで提供しており、近年は制御ソフトウェアやデータ活用の比重が高まっています。

貝田社長が事業承継(約10年前)した際に「現場キーパー(GENBA keeper)」のコンセプトを掲げ、単なる“ものづくり”から、現場に伴走して課題を拾い上げる課題解決パートナーへと方向転換を進めてきました。
価格競争に陥りやすい構造や人手不足といった製造業の環境変化の中で、「人の力」を最大の強みと位置づけ、提案型の価値提供を志向しています。

項目内容
所在地神奈川県川崎市中原区上小田中4−3−5
創業・設立創業:1975年/設立:1976年11月
ビジョンWe are the GENBA keepers ~GENBA keeperとして、あらゆるGENBA(現場)の「こうしたい」を、お取り組み先の期待を超えて実現させよう~ 東京エンヂニアリングの最大の強み(ストロングポイント)は社員一人一人の個人力であり、この個人力を最適な形で実践する存在が「GENBA keeper」です。「GENBA keeper」は、あらゆるGENBA(現場)を安全・安定・快適に稼働させることに全力を尽くし、すべてのお取り組先の幸せに貢献します。
事業内容制御盤・分電盤・制御ボックスの設計・製造、工場生産ライン向け制御システムの構築、制御ソフトウェア開発(オーダーメイド対応)、設備の可視化、遠隔監視等のIoT活用支援など
認証等かながわSDGsパートナー かわさきSDGsゴールドパートナー


2.SDGsに取り組んだきっかけ

同社では、外国人技能実習生や留学生の受け入れを長年行ってきました。
その中で、「日本語ができる=仕事ができる」「日本語が不得意=仕事ができない」という前提が必ずしも成り立たないという課題に直面しました。
また、日本語能力と職務理解・作業能力が一致しないことにより、教育や指示が属人化し、現場負担が増大していたことが課題として顕在化しました。
この問題は外国人材に限らず、日本人同士のコミュニケーションや技能継承にも共通する構造的な課題であると認識し、改善に取り組むこととなりました。

3.取り組みの内容

(1)外国人材の受け入れと“環境づくり”の試行錯誤

•  第1期(1993〜2011)

技術研修生・技能実習生を延べ40〜60名受け入れました。
人手不足解消に寄与する一方、日本語・文化差・教育の難しさ、適材適所の見極めが課題と感じました。

•第2期(2019〜)

高度人材の採用へ方針転換。
中国・ミャンマー(留学生)、インド(技 術者)、台湾、ベトナム、サウジアラビアなど多国籍人材が在籍(最盛期は6カ国)しました。総務部門に配置し「外国人が働きやすい環境を自ら整えてもらう」狙いもありました。


(2)コミュニケーション課題の可視化と改善

ミャンマー人社員による 日本語教材作成

外国人材が日本語を勉強する過程で自ら習得した、助詞、授受表現、指示語など
“つまずきポイント”を構造化して、視覚的に理解しやすい日本語教材を作成しました。


台湾人社員による「日本人にとっての当たり前」の発信

日本人では気づきにくい日本の魅力や面白さ、文化の違いを可視化し、SNSを通じて広く情報発信することで、相互理解を深める取組みを行ってきました。


•オノマトペ問題

日本語はオノマトペ(擬音語・擬態語)の種類が豊富で、日常生活でも頻繁に用いられています。
一方で、外国人向けの日本語教科書には十分に掲載されていないケースが多く、職場でも「パパっと」や「ばっちり」といった表現を正確に理解することが難しいことがわかりました。
そこで、「パパッと」や「サクサク」等のオノマトペを課題として捉え、認知・説明する取り組みを行ってきました。


(3)ダンウェイ株式会社との連携(障害者雇用の知見を応用)

川崎市産業振興財団の外国人雇用・就労支援等検討会を契機に、障害者雇用支援のノウハウが外国人雇用にも転用できるのではないか、という気づきから協働が加速。
「読むのは得意だが聞くのは苦手」などの特性を把握し、適正配置・指示方法の最適化につなげるアセスメントシステム、作業指示書の写真活用・工程分解などによるマニュアル再構築を進めました。


(4)脳トレーニングアプリ開発

働くために必要な概念(小学校1〜2年生程度の算数・国語に含まれる要素)を効率的に測定し、データ蓄積・分析を可能にするアプリをダンウェイ株式会社と共同開発。
アセスメントシステム(シームレスバディ®)とも連携し、育成計画や適材・適所への配置判断につなげる構想を持っています。

〈連携先:ダンウェイ株式会社の紹介〉

<高橋社長>

ダンウェイ株式会社は、神奈川県川崎市を拠点に「障害者の自立」をICTと福祉の融合で支援する企業です。独自のIT教材や能力可視化システムを開発し、重度知的障害者でも高付加価値な仕事ができる環境作りと就労支援を展開しています。

4.SDGsに取り組んだことによる効果

貝田社長は、社内効果を大きく4点に整理しています。

•多様性への理解深化

文化や価値観の違いを理解し、ダイバーシティを“理念”ではなく“実務”として捉える土台ができました。

•コミュニケーションの改善

外国人対応を通じて、情報の出し方・指示の出し方を工夫する重要性が社内に浸透。結果として、日本人同士でも起こり得るミスコミュニケーションの予防にもつながりました。

•世代間ギャップへの応用

「伝わらない」を前提に、伝え方を設計する発想は、世代間コミュニケーションにも転用可能だという学びが得られました。

•新しいアイデアの創出(最も期待した効果)

外国人の視点から、日本の魅力や当たり前の価値を再発見し、SNS発信や企業ブランドの向上にも波及。製造業として珍しい取り組みとして、説明会で若い世代の関心を引くなど、認知面での効果も見られました。


5.今後の抱負と事業展開の構想

今後は、これまで蓄積してきたノウハウを研究段階に留めず、事業として成立させることを目指しています。

具体的には、

•外国人材や障害者と働く現場を支える支援者(コーディネーター)の育成

•作業指示書やマニュアル改善のコンサルティングサービス化

•製造業を中心とした既存顧客への横展開

を検討しています。

SDGsを目的化するのではなく、本業と結び付けた現場発の価値創造モデルとして確立し、誰もが活躍できる職場づくりと企業競争力の向上を両立させていく考えです。

【画像出展:株式会社東京エンヂニアリングHP、ダンウェイ株式会社HPより】

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