【SDGsレポート】「仕事第二主義」で挑む環境とねじの未来(株式会社サイマコーポレーション)


1.企業・事業概要
株式会社サイマコーポレーションは、1952年1月に神奈川県藤沢市で創業しました。
創業から「布製品の縫製工場」を営んでいましたが、三代目である現社長の入社前の経験を活かし、1998年にファスナー事業を開始し、ねじを取り扱う会社に事業転換を行いました。
その後、「分解抑止」「安全確保」「樹脂締結の安定化」といった課題解決を、ねじの新商品・新規格の企画開発を通じ実現することで、日本市場にも海外にもない「同社にしかない極小でニッチなねじ」で、幅広い業種業界を顧客に抱え、景気に左右されない事業を構築し拡大されてきました。

主力となっているのは、ねじの脱落があってはいけない、ホビーや遊具、公衆トイレなどに使われるいたずら防止ねじ・セキュリティねじ「TRF®シリーズ」、
弱い樹脂でも高い締結力を実現する樹脂用タッピングねじ「ノンサート®」、
ねじの頭部がフラットで多種多様な用途の薄型ねじ 「310スリム®」シリーズ など、課題解決型の自社製品です。

派生として、ダイカスト/ロストワックス/機械加工品の輸入販売、解析サービスである「サイマレポート」(ゆるみ・トルク・ねじ脱落・破断などの原因を解析する)の展開、ねじの基礎セミナーの提供など、部品供給だけでなく技術コンサルティングも行っています。
品質・環境認証のISO9001およびISO14001を取得しているほか、かながわSDGsパートナー登録、女性活躍推進企業認定であるえるぼし認定の取得、神奈川県子ども・子育て支援推進事業者認証取得など、従業員の働きやすさ、働きがいを意識した企業経営を行っています。
【企業概要】
| 項目 | 概要 |
| 所在地 | 神奈川県藤沢市辻堂2-9-17 |
| 代表者 | 斎間 孝 |
| 設立 | 1952年1月 |
| 従業員数 | 28名(男性7名、女性21名) |
| 企業理念 | 人と環境にやさしい企業活動を行う / 仕事第二主義 |
| 事業内容 | ねじ(超極低頭ねじ、いたずら防止ねじ等)・機械加工部品の設計、製造、販売・「ねこねじ堂」(雑貨)運営 |
| 認証等 | ISO9001/ISO14001 かながわSDGsパートナー 女性活躍推進企業認定 えるぼし認定(三ツ星)取得 神奈川県子ども・子育て支援推進事業者認証 神奈川県優良産業人表彰(商工会議所) |
| 表彰等 | 超極低頭ねじ310スリム®「グッドデザイン賞」を受賞(2022年) いたずら防止ねじTRF®「グッドデザイン賞」を受賞(2025年) |
2.SDGsに取り組んだきっかけ
同社のSDGs推進は、社員が会社に意見や改善案を提出できる「提案箱」への「かながわSDGsパートナー」への登録をしてはどうか、という投書がきっかけなりました。
投書をきっかけに、同社が日常的に行っている会社周辺の地域清掃、リサイクル材の提供、教育支援といった取り組みがSDGsと整合されていることを確認され、かながわSDGsパートナーへ登録されました。
SDGsに取り組む新しい施策を一から作るのではなく、「継続してきた良い取り組みを整理し、対外的にも発信」していかれたことが特徴となっています。
3.SDGs取組みの目的・目標
同社のSDGs取り組みは、社外との関わりとして「地域社会と共生し、地域社会に貢献する」ということが目的になっています。
この観点での取り組みとして、会社周辺の毎日の地域清掃、湘南ユナイテッドBCへの出資を含めた支援、ビーチクリーン活動、学生への職業講話等があります。
また、仕入先への技術提供による製品不良を低減し、廃棄物を削減する取り組みや、リサイクル材活用による環境負荷の低減を行う取り組みも行っています。
同社の社内での取り組みは、「多様な人材が働きやすい職場づくり」を目的としています。
性別・年齢・国籍を問わない採用、育児支援制度の整備などによる働きやすい環境づくりをされていますが、代表的な取り組みとして、「子供のための休暇が、特別休暇」となっていること、子連れ出張(現地での宿泊費は会社負担)が認められていること、などが挙げられ、企業理念である「仕事第二主義」が制度としても実現されています。
4.SDGs取り組み体制
同社のSDGsの取り組み体制の特徴は、SDGsの推進部署や推進担当を定めていないため、SDGsは全社員が取り組むべきこととして浸透している点です。
この体制を促進するため、社内研修を通じたSDGsに理解のための社内研修の実施や、社内行事には、SDGsや環境に関連する内容を組み込むようルール化しているため、自然と全社員がSDGs活動を意識できる仕組みになっています。
働きやすい職場環境作りも、全社員が意識的に行っています。
業務の情報共有、見える化を行う仕組みとしてメーリングリストや書類トレイ等を活用し、特定の個人に業務が集中しないように業務フローを整えています。
また、社長が考えていることが、従業員に一斉にメール展開されることで、経営者の考えに即した業務運営が円滑に行えているほか、夏と冬の年2回社長との1on1ミーティングがあることや、課を横断するメンバーでのランチミーティングを行う機会の提供など、風通しの良い組織作りの仕掛けが随所に見られる体制となっています。
5.SDGsに取り組んだことによる効果
SDGsに取り組むことで、同社が継続してきた地域貢献や環境配慮、教育支援などの活動が整理され、SDGsの視点で可視化でき、社内外に対して同社の取り組みを分かりやすく説明できるようになりました。
企業として大切にしてきた価値観や姿勢が明確になり、社内外からの信頼が向上されています。
社外という点においては、地域清掃について同社の活動を見て周辺企業が同様の取り組みを始めるなど、地域に良い波及効果を及ぼしています。
ビーチクリーン活動についても、近隣住民や仕入先企業も参加する形に広がり、清掃に加えて施設見学(浄水場の見学イベント)などの学びの要素も取り入れ、活動の質も高めることでSDGs推進体制を強化されています。

<HPのビーチグリーン活動イメージ>
また、教育活動や職業講話をきっかけに、猫をモチーフとした製品開発が生まれ、社内の「猫部」によるペットボトルキャップ再利用の取り組みに発展するなど、SDGs活動が新たな製品や市場のヒントにつながる事例も見られます。

<猫製品ECサイト入口>
同社のSDGsの取り組みは、社会貢献を通じた社会での知名度向上や浸透だけでなく、本業へフィードバックされるという好循環を生み出しています。
社内という点においては、SDGsというキーワードで自社の活動を改めて整理・言語化したことで、自社の活動が社会課題と結びついていることへの理解が進み、従業員のエンゲージメント向上につながっています。
加えて、風通しの良い組織作りや「仕事第二主義」を実現する仕組みは、定時退社の定着、柔軟な働き方、属人化の排除といった企業文化を構築し、中途採用やパートタイム従業員が多いという同社の特徴を支える、人材の確保や定着のための基盤として機能しています。
SDGsというキーワードにより、従業員の心理的安全性が確保されている組織となられており、自分の考えが言いやすい環境のため、SDGsを取り組むきっかけとなった「提案箱」の有効性も強化されています。
6.SDGsの取組みに関して今後の課題・抱負について
今後の課題は、同社の強みである日常業務の中で自然に行っているSDGsの取り組みが、社内外でで「これはSDGsに関わる活動である」と意識されるように発信していく必要がある点や、新しいSDGsの取り組みを試みていく点にあるといえます。
この課題に対して、同社は企業理念が全社員に浸透していること、風通しの良い職場環境を維持向上させていこうという企業風土を強みに、SDGsの取り組みを社員同士で共有し、みずからの仕事が社会とどのようにつながっているのかを理解できる状態を維持していくことで乗り越えようとされています。
同社は今後も、人と人とのつながりを大切にしながら、無理のない形で社会に貢献していくことを目指されています。
【画像出典:株式会社サイマコーポレーションHPより】




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