
【SDGsレポート】進化する環境社会に適応した書道文化を形成する(一般社団法人 エコ再生紙振興会)
一般社団法人 エコ再生紙振興会


ホームぺージ
https://www.miraisen.com/
1. 法人・事業概要
一般社団法人エコ再生紙振興会は、平成23年(2011年)2月に横浜市で設立されました。同会は、「書道反古紙(使用済み書道用紙)等をリサイクルする事」を目的とし、次の事業を行っています。
1)書道反古紙の回収リサイクル事業
2)再生書道用紙の製造販売事業
3)その他、当法人の目的を達成するために必要な事業
これらを達成し、「未来を担う子供達を中心に環境教育としての実践的体験や、書道振興につながる企画を展開していく」という目的のもと、SDGsという言葉が生まれるより早く「書道紙リサイクルプロジェクト」はスタートしました。
このプロジェクトは、書道反古紙が廃棄されるしかない状況を克服する為、これを再生し、書道業界を含めた社会に還元して有効活用されることを目的にしています。また、この活動が次代を担う子供たちへの環境問題に対する理解を深める一助になればと期待されています。
【法人概要】
項目 | 概要 |
所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区 栗田谷 6-14 1F |
代表者 | 長野 秀章 |
創業・設立 | 平成23年2月25日 |
従業員数 | 1~10名(ボランティア人数) |
法人理念 | 進化する環境社会に適応した書道文化を形成する |
事業内容 | 「書道紙リサイクルプロジェクト」の運営 「未来箋」の販売 |
認証等 | かながわSDGsパートナー登録法人 ヨコハマSDGsデザインセンター法人会員 おだわらSDGsパートナー登録法人 おおいまちSDGsパートナー登録法人 |
表彰等 | 2022年 毎日書道顕彰啓蒙部門 受賞 2022年 循環型社会形成推進功労者 環境大臣表彰 |
協力企業 | 日本郵便㈱、㈱國光、㈱スギウラ、佐川急便、書道専門店など |
2. SDGsに取り組んだきっかけ
同会の活動は、書道教室に通う一人の小さな女の子の小さな疑問の言葉からはじまりました。
「先生。練習した紙が、もったいなくて捨てられないの。どうすればいい?」
字がうまくなるために一生懸命練習した書道半紙には、気持ちの入った特別な思いがあったのかもしれません。
「捨ててもいいんだよ。」
とは言えなかった先生・・・・・。
そこから約2年間が費やされ、書道反古紙をゴミにさせないための試行錯誤が繰り返されました。やがて、書道反古紙を集める方法、集めたものを運ぶ人、運んだ書道反古紙を原料にしてくれる人、その原料を使って書道用紙を作ってくれる人、それを売ってくれる人を、一つの輪に紡ぐことができたのです。
そして、同じ志を持つ先生たちが一般社団法人エコ再生紙振興会を設立し、現在に至ります。書道に関わる人々が集い、未来に引き継いでゆく書道の在り方も同時に考えながら、実直に活動を追求しています。
そしていま、世の中ではSDGsの声高まり、先生たちは同会の活動が間違っていなかった事を確信し、日々勇気づけられています。未来を担う子供たちへの思いを込め、再生された書道用紙は『未来箋』(みらいせん)と名付けられました。

3. SDGsに取り組む目的・目標
学校授業での書写や書道教室の活動において、膨大な量の書道用紙が消費・廃棄されている現状を克服するために、同会は書道反古紙の回収・再生システムを構築しました。

- 質の高い教 育をみんなに
書道の普及を通して、未来を担う子供達を中心に環境教育としての実践的体験や、書道振興につながる企画を展開していく

- 住み続けられるまちづくりを
使用済みの書道紙が廃棄しかされない現状を克服する為、これを再生して書道業界を含めた社会に還元して有効活用する

- つくる責任 つかう責任
納入された「未来箋」は、全国の小・中・高校、各書道教室、書塾等で利用された後、再度「反古紙」として回収にご協力を頂きながら集積し、そして独自の技術で「脱墨」されたパルプは製紙工場で再生され、また「未来箋」に生まれ変わります
4. SDGsの取組体制
≪学校機関での書道紙リサイクルプロジェクト≫
このプロジェクトによって生まれる再生紙は『未来箋』(みらいせん)として商品化され、近年では特に需要が高まっています。「子供たちの手から、そして子供たちの手へ…」のコンセプトは、学校での環境教育の生きた教材として喜ばれており、書写の授業の活性化にも貢献できています。
また、神奈川県大井町の町長・教育長以下幹部を対象として、反古紙を再生した名刺用紙に書道家による筆書きを加えたものを提供しています。子供たちの活動をリサイクルで支え、「書道の力と絆」の再認識にも貢献しています。
≪書道業界での取り組み≫
現在、競書誌を発行している10を超える団体は、同会と提携し、月例課題の審査後の清書作品を定期回収しています。団体本部から会員への発信により、再生紙『未来箋』は普及が図られています。
≪エコ再生紙振興会/企業の使命感≫
同プロジェクトは、およそ近代書道史100年において未だ誰も成し得なかった大規模な書道反古紙のリサイクル化を試み、パルプ工場や製紙工場での各種試験を繰り返すことで事業化に成功しました。現在では、全国の小・中・高校や、書道教室・書塾等事業者よる書道反古紙の回収協力を得ながら、毎年10トン 以上を集積・リサイクル化しています。
この書道反古紙と一般家庭から出る古紙等を組み合わせ、同会独自の技術により脱墨された再生パルプは、製紙工場で「未来箋」へと生まれ変わります。
5. SDGsに取り組んだことによる効果
同プロジェクトでは、累計で120トン以上、書道反古紙ごみの削減を達成してきました。この活動により学校での書写・書道の授業が増えたという話も同会に届いており、書道の活性化にも貢献しています。すなわち、「ごみの削減」、「資源の再利用」だけでなく、学校と書道家を繋ぐ地域教育の機会を創生しました。
【同会と連携している自治体】
・熱海市(全小学校)
・南足柄市(全小学校)
・大井町(全小中学校)
・開成町(全小学校)
・山北町(全小中学校)
・松田町(全小中学校)
・中井町(全小学校)
・箱根町(全小中学校)
・真鶴町(全小学校)
・湯河原町(全小学校)
上記自治体の小中学校では、「未来箋」が納品される際に、校内で排出された書道反古紙のすべてが回収されています。すなわち、「書道紙ごみゼロ」が達成されることで、各自治体に貢献しています。
※令和3年度、小田原市全小学校に『未来箋』半紙が納品されました。
※上記自治体以外の教育機関は北海道から九州の全国にわたり存在しており、その総数は150校以上に増加しています。また、同プロジェクトの活動は令和6年度の光村図書の書写4年5年の教科書への掲載に続き、本年度は中学校2年生の教科書にも取り上げられております。
6. SDGs・書道反古紙再生の取組みに関する今後の課題・抱負について
一般社団法人エコ再生紙振興会は、書道分野における一つの学識機関として構成された組織であり、非営利の団体です。同会では、今後の日本文化における書道を鑑みて、この活動が次世代の子どもたちへ受け継がれてほしい、次に繋げてもらいたい、崇高な使命ある事業であると考えています。
神奈川で生まれた「書道紙リサイクルプロジェクト」は、現在では地方からの引き合いもあり、全国へ広がりつつあります。同事業にかかる経費の原資は『未来箋』の普及販売であり、できるだけ多くの方々に購入していただくことが重要になっています。
同会では、このプロジェクトの趣旨や理念に対する社会の理解が深まることで更なる協力が集まることを願い、今日も着実に活動しています。



以上
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