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連載企画 診断士によるDXのポイント (3)今後のAIトレンドとその向き合い方

前回はローコード・ノーコードという新たな選択肢についてお伝えしました。第3回目となる今回は、今後のAIのトレンドとその向き合い方を、診断士の視点から考えてみたいと思います。

1. AIの進化と今後の潮流

近年、AIは目覚ましいスピードで進化し、1年前には想像しにくかった技術が次々と生まれています。大規模言語モデル(LLM)の発展を背景に、2025年は特に「AIエージェント」が自律的にタスクを実行し人の業務を補完する存在として注目されています。

以下図は、OpenAI社が提唱するAIにおける5段階スケールです。2025年にはレベル3(ユーザーの代わりにアクション可能)に到達すると予測されます。今はその途上過程にあり、単なるツールからコパイロット(副操縦士)へとAIの役割が拡大しつつあります。診断士としては、この潮流をいかに捉え、企業の成長に結びつけるかが今後の鍵となります。

2. AIにおける業務の代替範囲の拡大

具体的な例としては、旅行業界の場合、旅行の手配を指示するだけで、依頼者の日程や予算状況を元に、旅行プランを計画し、最安の飛行機やホテルの手配と決済までを自動的に行うようなイメージとなります。業界ごとにこのような自動化のモデルが提供されることが想像されます。AIエージェントは、①目標志向、②自律性、③高度な推論の3要素が備わったものと考えられています。つまり、やりたいことの希望や目的を伝えるだけで、自動的に結果まで導いてくれるため、企業におけるAIのカバー範囲がさらに拡大することを意味しています。これは、企業の生産性向上に寄与することにつながります。

3. 診断士としてのAIとの向き合い方

AIは非常に強力な支援ツールです。しかし、組織改革や人材育成、経営戦略などは引き続き人間の判断と調整が不可欠となります。将来AIがさらに自律化しても、企業戦略の中枢は経営者や診断士が担い続けるでしょう。一方、定型作業やデータ分析、品質管理など明確な手順の多くはAIに置き換えられる可能性があります。こうした状況下で診断士がDXを推進するには、AIとの線引きを意識し最適な提案やプロセス設計を行うことが重要です。特に企業がAIを導入する際は、目的や効果、変革方針を見据え「コーディネーター」として戦略を描き、実行を支援する役割が求められます。そのため、DXを主導する診断士には以下のようなスキル習得を日頃から意識するのが望ましいと考えます。

 技術的専門性 :AIやITの基礎知識を理解し、導入・運用における要点を把握できる力
 データ分析力 :AIの分析結果を正しく読み取り、経営課題や意思決定に活かす力
 創造力・発想力:AIでは生み出しづらい新たなアイデアや価値を提案・実現する力
 対人関係スキル:顧客やチームのメンバーと信頼関係を築き、合意形成や調整を円滑に行う力
 柔軟な思考  :技術やビジネス環境の変化に合わせ、考え方や行動を素早く切り替える力
 持続的な学習 :常に最新情報を追いかけ、企業の状況に合った適切なアドバイスを提供する力
 倫理観    :AIが社会に及ぼす影響を考慮し、責任ある運用やガイドラインを提示できる力

中小企業にとってAIは、生産性向上や省力化における重要な手段となりつつありますが、活用できている企業はまだ多くありません。これは同時に、診断士にとってチャンスでもあります。今後もAIリテラシーを高め、企業の成長に貢献しながら、社会全体の発展に寄与していきましょう。 

【恩田 雅】

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