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連載企画 アフターコロナを見据えた企業・金融機関の動き(第2回)

 この連載では、アフターコロナを見据えた企業及び金融機関の動きについて、インタビューに基づくリアルな声をお届けしております。
 第2回目の今回は、金融機関の動きに関してお届けします。なお、インタビューをもとにした内容なので、個人の意見が多く含まれている点はあらかじめご了承ください。むしろそのような声を楽しんで見て頂けると幸いです。

1.コロナ禍における金融機関の対応

 まずは、コロナ禍における金融機関の対応についてです。2020年4月に初めての緊急事態宣言が発出され、金融機関にもコロナ禍に苦しむ企業へのスピーディーな融資姿勢が求められるようになりました。そして、2020年5月より、実質無利子・無担保融資が民間金融機関において開始されました。
いわゆる『ゼロゼロ融資』と言われているものです。
 この融資は2021年3月まで続いたのですが、特に前半において、現場は正に混乱状態でした。近隣の金融機関全て、過去最高の融資残高を記録するなど、とにかくものすごく忙しかったです。 

2.リーマンショック時との違い

 

 リーマンショックも経験しているのですが、あの時金融機関に求められたことは『リスケ』でした。業況が厳しい会社には返済を一時的にストップし、返済猶予を与えるというものです。ただ、新たな資金調達を支援するものではなかったため、資金ショートを起こし倒産する企業が多く出てしまったのも事実です。
 今回のコロナ禍においては、とにかく資金ショートを起こさないよう、求める資料(例えば試算表)も最低限とし、とにかく資金供給をスピーディーに実施することに重点が置かれておりました。このようなことが要因となり、倒産件数は低水準になっていると考えられます。

3.金融機関の抱える悩み違い

(ここからは主観も入っていると思われます)
 コロナ禍が予想より長引いてしまっているということが悩みとしてあります。ゼロゼロ融資開始時点では、「とりあえず半年分の固定費」といった形で融資を実行しておりましたが、既に1年以上経過しております。当然、追加融資を実行した企業も多くあります。
 以前の状態に回復したとしても、事業規模に比して多額の債務を負ってしまっている事業者様も少なくありません。このような悩みは、多くの金融機関が抱えていると思います。融資残高が高水準となっているということは、金融機関にとっては「収入増加」に繋がることではあります。一方で返済してもらうところまでが仕事なので、今後は「返済」について多くの問題が発生すると考えております。

4.金融機関として何をすべきか

 今後、日常を取り戻していったとしても、多くの企業が以前と同じ状態に戻るのは簡単なことではありません。この1年半という期間で、世の中の生活スタイルは大きく変わり、デジタル技術も進歩しております。以前と同程度まで回復するだけでも多くの企業努力が必要だと思います。
 一方で、多くの中小企業にはそのような変化にすぐ対応できるだけのリソースがありません。なので、金融機関としてできることは、例えば
①経営が厳しい先にはリスケなど資金繰り支援をしながら経営改善をする
②取引先増加に繋がるようなビジネスマッチングの推進
③専門家派遣などの活用(中小企業診断士含む)
このようなことを実施し、取引先企業の改善・業務効率化・売上拡大の支援をすることだと思います。

 多くの金融機関が、「融資をする」という仕事ではなく、「取引先企業の課題解決」に目を向けています。アフターコロナにおいて、そのような金融機関としての役割を存分に発揮するべきだと考えております。(以上、金融機関に勤めるAさん(30代)へのインタビューでした)

【北村之寛】

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