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(連載企画) 中小企業のSDGs戦略 第3回 地方自治体SDGsパートナーのお薦め

中小企業のSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)戦略についての連載3回目。今回は、SDGsに取り組む企業などを地方自治体が登録する「SDGsパートナー」の活用を取り上げます。

中小企業のSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)戦略についての連載3回目。今回は、SDGsに取り組む企業などを地方自治体が登録する「SDGsパートナー」の活用を取り上げます。

■神奈川県では9自治体が創設

SDGsは国連が採択した国際目標であり、達成に向けた責任は、一義的には日本政府にあります。しかし、地方自治体でもSDGsの活動は広がっており、内閣府は2018年から、優れたSDGsの取り組みを提案する地方自治体を「SDGs未来都市」として選定しています。

SDGs未来都市は、18年度に29都市が選ばれたのに始まり、現在は計182都市に広がりました。神奈川県内では、18年度に神奈川県、横浜市、鎌倉市、19年度に川崎市、小田原市、20年度に相模原市、21年度に松田町の計7都市が選定されています(県も1都市としてカウントします)。

さらに、地方自治体では、SDGsに取り組む地域の企業を、「SDGsパートナー」などの名称で登録する制度も進んでいます。

神奈川県には、県を含めて34の地方自治体がありますが、筆者が調べたところ、SDGs未来都市を中心に、9つの地方自治体が登録制度を設けていました(図表1)。

図表1 神奈川県内のSDGsパートナー制度(筆者調べ、2023年12月現在、松田町は1者の複数の取り組みを1件ごとに登録)

中小企業がSDGsを経営に取り入れる際には、これらの制度への登録を目指すことをお勧めします。また、診断士もその後押しをすべきだと思います。

■様々なメリット、実利にも期待

メリットは以下の通りです。

まず、パートナーに登録されると、多くの地方自治体では登録証を発行します。それを玄関やオフィスに掲げたり、会社のHPに掲載したりすることで、従業員のモチベーションアップや人材採用へのプラス効果が期待できます。

地方自治体のHPでも企業名や取り組みが紹介されるというPR効果もありますが、その紹介スペースは、大企業でも中小企業でも同じ。著名企業に肩を並べることができます。

また、ひな形が決まっている登録申請書を書き、それをチェックしてもらうことで、自社の取り組みを整理でき、よりブラッシュアップすることもできます。登録者同士の交流会をする例もあります。

さらに、補助金獲得に有利になるなどの実利もあります。

横浜市が進める「Y-SDGs」は、企業のSDGsの取り組み内容を評価し、「最上位のSupreme」「上位のSuperior」「標準のStandard」の3区分で認証します(図表2)。

図表2 Y-SDGsの区分とロゴ(Y-SDGsホームページから)

認証されると、
①認証マークを企業のホームページなどに表示できる
②認証事業名や取組内容を、横浜市などのホームページ等でPRできる
③「横浜市総合評価落札方式」の評価項目で加点となる(Supremeは3点、Superiorは2点、Standardは1点)
④「SDGsよこはま資金(中小企業融資制度)」の利用対象となる
などのメリットがあります。③④は実利と言っていいでしょう。

「SDGsよこはま資金」は、中小企業が、SDGs達成のため脱炭素社会実現に向けた取り組みを行うのに必要な運転資金や設備資金を調達できるよう、横浜市が金融機関、横浜市信用保証協会と連携して行っている融資制度です。再生可能エネルギーシステムの設置、省エネルギー改修・機器の導入等を行う際に、2億8000万円以内の低利融資を行うものです。

「Y-SDGs」に登録したい事業者は、まず「ヨコハマSDGsデザインセンター」のホームページから同センターの会員となり、「Y-SDGs認証申請書・チェックシート」に自己診断を記入して提出します。デザインセンターから派遣される調査員(中小企業診断士)がヒアリングを実施し、センターが作成した評価書を基に横浜市がする仕組みです。

「チェックシート」は、「社会(12項目)」「環境(8項目)」「ガバナンス(5項目)」「地域(5項目)」の4分野、30項目で評価します。

「Y-SDGs」は20年8月に第1回応募が始まって以来、年3回の応募があり、23年9月の11回目まで、延べ674者が認証されています(図表3)。

図表3 Y-SDGsの認証数の推移(Y-SDGsホームページから筆者作成)

■登録者数は川崎が圧倒

圧倒的に登録者数が多いのが川崎市です。SDGsの達成に向けて取り組むことを意思表示する「かわさき SDGs パートナー」と、SDGsへの取り組みを自己評価して今後に向けた目標設定をする「かわさきSDGsゴールドパートナー」の2制度があり、地元金融機関も登録を後押ししています。

「かわさきSDGsゴールドパートナー」に認証されると、ロゴの使用許可、市のHPでの紹介のほか、市の融資制度による信用保証料の補助、市の入札契約制度での加点などのメリットもあります。「かわさき SDGs パートナー」は480事業者、「かわさきSDGs ゴールドパートナー」は2808事業者が認証され、延べ3288事業者に上ります

神奈川県が進める「かながわSDGsパートナー」は全県から応募できます。

メリットとして
①神奈川県中小企業制度融資の「SDGsパートナー支援融資」の保証料について、県による保証料補助に加え、神奈川県信用保証協会による割引が受けられる。
②「かながわSDGsアクションファンド」を通じた資金調達など、中小企業者のSDGs経営に向けた取組支援が受けられる。
などがあります。

■筆者も体験

私事ですが、筆者は勤務先の人事異動のため、現在、富山県で勤務しております。富山県の地方自治体もSDGsの取り組みは盛んで、同様のパートナー制度があります。

「隗より始めよ」ではありませんが、この連載を書く前に、勤務先のSDGsの取り組みをまとめ、「富山県SDGs宣言」「たかおかSDGsパートナー」に申請し、無事に登録されました。何やら公的機関の“お墨付き”を得たような感じで、登録証は玄関やオフィスに飾っています。

また、本稿の取材の過程で本協会が、「かながわSDGsパートナー」「ふじさわSDGs共創パートナー」に登録していることも知りました。さすが、県と連携してSDGs推進プロジェクトに取り組んでいる協会だけのことはある、と誇らしい気分となりました。

皆さんの支援先や職場でもぜひ挑戦してみて下さい。

【遠田 昌明】

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