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公的機関インタビュー 横須賀商工会議所様に聞く ~人・知恵・資源を結ぶ拠点~

横須賀という地域は、米海軍基地を擁し、港湾、観光、農業、商業、製造業など、多様な産業が重層的に存在しています。個人商店から中小製造業、サービス業まで事業者の裾野は広く、地域経済の構造も極めて多彩です。こうした横須賀の産業と事業者を長年にわたって支えてきた存在が、横須賀商工会議所様です。今回は同会議所の産業・地域活性課の石塚健介様と同会議所と連携する中小企業診断士(以下、診断士)の大野順弘様(神奈川よろず支援拠点・横須賀サテライト)にこれまでの取り組みと商工会議所との連携・活用について伺いました。

本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、横須賀商工会議所が現在、特に力を入れている中小企業向け経営支援について、全体像から教えていただけますか。

はい。「特にここです」と一言で切り出すのは、正直なところ、なかなか難しいですね。というのも、横須賀商工会議所では、創業から事業承継、場合によっては廃業まで、企業の一生に寄り添う、いわば総合支援を行っているからです。

横須賀という地域は、米海軍基地を抱え、港湾、観光、製造業、商業、サービス業などが重層的に存在しており、当商工会議所には幅広い相談が寄せられています。だからこそ、「これはうちの担当外です」と線を引くのではなく、まずは受け止めて、そこから必要なところに「つないでいく」、という姿勢を大切にしています。

横須賀という地域ならではの特性も、支援内容に影響しているのでしょうか。

はい。例えば、横須賀商工会議所の会員は約5,000社ですが、そのうち約500社は市外事業者です。これは、米海軍基地との取引支援など、横須賀特有のビジネス環境に対応したサービスを目的に入会されるケースが多いためです。

「横須賀に拠点があるから」ではなく、横須賀商工会議所が持つ機能を使いたいという理由で会員になっていただいている。これは、当商工会議所の一つの特徴だと感じています。

日々の相談の中で、特に多い経営課題にはどのようなものがありますか。

やはり多いのは資金調達ですね。融資や補助金に関する相談は、常に一定数あります。「お金」に関する不安は、業種や規模を問わず共通しています。

一方で、創業支援も力を入れている分野です。認定特定創業支援等事業として、「スタートアップ塾(創業塾)」を年間複数回開催しています。経営計画、財務、資金調達などをテーマに、診断士や金融機関、実務家が分担して講義を行っています。

特徴的なのは、創業希望者同士の「つながり」を重視している点ですね。「よこすか創業者大交流会」などを通じて、学びと同時に人的ネットワークが生まれる場を意識しています。

創業される方の業種や規模には、何か傾向はありますか。

飲食や菓子製造、ジェラート店、弁当屋、ハンドメイド雑貨、サロン、ペット関連、介護事業など、比較的小さく始めやすい業種が多い印象です。

男女比の偏りはほとんどなく、最近は女性の創業希望者も非常に多いですね。共通しているのは、「いきなり大きくやる」のではなく、「小さく生んで、大きく育てる」というスタンスです。商工会議所としても、その考え方を前提に支援しています。

中小企業診断士との連携を強化させた背景について教えてください。

もともと、弁護士、税理士、社会保険労務士など、各分野の専門家とは連携してきました。その中で、診断士には、経営全体を俯瞰し、整理し、次の一手を描く役割を期待してきました。

単なる制度説明ではなく、「今の状況をどう整理するか」「何から手を付けるべきか」を一緒に考える。その部分を担っていただける存在として、診断士の皆さんは、非常に心強いですね。

「商売繁盛まるごと相談会」は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

経営者の相談を受けていると、「困っていることは分かるけれど、どこから手を付ければいいか分からない」というケースが本当に多いです。

そこで、「相談回数を増やす」のではなく、相談の質と継続性を高める仕組みとして企画したのが「商売繁盛まるごと相談会」です。診断士と横須賀商工会議所職員が同席し、チームで対応する形を取っています。

相談会で、大野順弘先生にはどのような役割を期待されていたのですか。

大野先生には、現場経験に裏打ちされた視点と、難しくなりがちな経営の話をやさしい言葉で噛み砕いて伝える力を期待していました。難しい理論を語るのではなく、経営者が「なるほど、そういうことか」と腹落ちし、行動に移れる状態をつくる。その点で、大野先生を頼りにしています。

横須賀商工会議所職員と診断士が連携する際、意識している工夫はありますか。

「丸投げしない」という点です。診断士の先生にすべて任せてしまうと、職員側にノウハウが残りません。相談の場には必ず職員も同席し、思考プロセスや支援の組み立て方を共有しています。

結果として、相談がその場限りで終わらず、次の支援メニューや関係機関につながりやすくなる。それがチーム支援の一番の価値だと思っています。

これまでの相談会で、印象に残っている成果はありますか。

「何から手を付ければいいか分からなかった」という経営者が、相談後に「やるべきことが整理できた」「最初の一歩が踏み出せた」と話してくださる瞬間ですね。

売上アップや補助金採択といった成果ももちろんありますが、それ以上に、経営者の表情が変わることが印象に残っています。

診断士ならではの強みは、どのような点だと感じていますか。

やはり、現場経験と事例の引き出しですね。年齢よりも、「どんな現場で、何をしてきたか」。そこを重視しています。

もう一つは、本質を見抜く力です。表面的な課題の奥にある「本当のボトルネック」に気づき、そこを言語化できる。それは診断士ならではの価値だと思います。

経営戦略を描いたあと、その実行段階として「販路開拓」や「WEB・EC(電子商取引)活用」の相談も増えているのではないでしょうか。

まさにその通りです。最近は「良い商品はあるんだけど、どう売ればいいか分からなくて」「ホームページやECに興味はあるが、何から手を付けていいか分からない」という相談が多いです。特に横須賀は、実店舗を構える小規模事業者が多く、WEBやECを「難しそうなもの」として敬遠してしまうケースも少なくありません。

そうした事業者に対して、横須賀商工会議所ではどのような支援を行っているのでしょうか。

よく「とにかくECを始めたい」「SNSを始めたい」という相談が来ますが、こちらからは一度立ち止まってもらいます。まずは「その商品、誰が買ってくれるのでしょうか?」という話から始めることが多いですね。話しているうちに、「その事業者の商品・サービスが、誰に、どんな場面で選ばれるのか」を一緒に具体化していきます。そのうえで、WEBを「売るためのツール」として、どう使えばいいのか考えていきます。

実店舗を持つ事業者であれば、まずは店舗情報をきちんと発信すること、検索されたときに最低限の情報が出てくること。その延長線上に、ECやオンライン販路がある、という考え方ですね。

具体的な支援メニューとしては、どのようなものがありますか。

代表的なのが、当所が運営して、全国の商工会議所と連携しているインターネットギフトショップ「おもてなしギフト」です。これは、個々の事業者が単独でECモールに出店する負担を軽減し、商工会議所がいわば「ハブ」となってEC展開を支援する仕組みです。

出店事業者には、商品選定から写真撮影、商品説明文の作成、掲載まで、専門家と職員が伴走します。「ECは初めて」「ITが苦手」という方でも、一つずつ確認しながら進められる点が特徴です。

事業者側の負担は大きくならないのでしょうか。

もちろん、一定の手数料や条件はありますが、「自分一人でやる」場合と比べると、心理的・実務的なハードルはかなり下がります。特に、発送に係る手間の軽減や商品写真や文章づくりは、多くの事業者がつまずくポイントですが、そこを一緒に作り込めるのは商工会議所ならではだと思います。

また、「おもてなしギフト」を起点に、複数のECモール、さらには横須賀市のふるさと納税返礼品への展開につながる仕組みとして完成されています。

一つの取り組みが、次の販路に波及していく。その導線を意識して支援しています。

実店舗中心の事業者にとって、WEBやECはどのような位置づけと考えていますか。

「実店舗の代わり」ではなく、「実店舗を支える存在」です。例えば、観光で横須賀を訪れた方が、帰宅後に商品を思い出して再購入する。そのときにECがあるかどうかで、売上の広がりは大きく変わります。また、当所が運営する生成AIを活用した店舗紹介ポータルサイト「ヨコスカイチバン」では、約600店舗の情報を掲載しています。

これは、ホームページを持っていない事業者にとっては「自社サイト」の役割も果たしていますし、既存サイトへの導線として活用されるケースもあります。

診断士が支援先から「WEBやECの相談」を受けた場合、どのようにつないでもらうのが理想でしょうか。

「専門外なので分かりません」で終わらせず、「商工会議所にこういう支援がありますよ」と一言添えていただけるだけで十分です。具体的な設計や運用は、私たちが受け止めます。

診断士の皆さんが経営全体を整理し、方向性を描く。その次の一手として、販路開拓やWEB活用を商工会議所につないでいただく。

そうした役割分担ができると、事業者にとっても非常に心強い支援体制になると感じています。

最後に、中小企業診断士の皆さんへメッセージをお願いします。

支援先から「これは専門外だな」と感じる相談を受けたときに、「そういえば商工会議所があったな」と思い出していただきたいです。横須賀商工会議所には、知恵・ツール・ネットワークがあります。ぜひ気軽につないでいただき、力を合わせてより良い支援の実現を目指していきましょう。

【井上 雅之】

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