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連載企画 人的資本経営は攻めの経営戦略になる (3)

皆さんこんにちは。人事コンサルタントの清野です。私は毎年年始に今年の目標を立てています。自分なりに今年のテーマになる四字熟語も決めています。目標があると一日一日がより大切に過ごせるようになるのでおすすめです。さて、今回で人的資本経営も3回目になります。今回は中小企業の人的資本経営の現場に目を向けたいともいます。

1. 中小企業にとっての人的資本経営

大企業と比べ、常に経営資源の不足に直面している中小企業は、人的資本経営に対してどのような期待を寄せているのでしょうか。

図1は、フォーバルGDXリサーチ研究所が中小企業を対象に実施した「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」の結果です。【フォーバルGDXリサーチ研究所調べ】では、すでに人的資本経営に取り組んでいる中小企業が、今後も継続したいと考える理由について分析しています。


調査結果で同率1位(61.7%)となったのは、「従業員のエンゲージメントや働きがいを高めたい」と「優秀な人材の採用・定着を強化したい」でした。

この結果から、中小企業が人的資本経営に最も期待しているのは、「人材の質を担保しながら、安定的に労働力を確保し続けること」であることが読み取れます。私はその背景には、深刻な人手不足に加え、働き手のキャリア観の大きな変化があります。筆者はこれまで1,000人以上の従業員の就業支援を行ってきましたが、すでに「1社で定年まで勤め上げる」という価値観は過去のものになりつつあります。現在では、自身のキャリアを主体的に築く手段として、転職が当たり前の選択肢となっています。

この変化を後押ししている要因として、人口減少による売り手市場化に加え、転職エージェントによるキャリア支援の拡大や、文部科学省が推進するキャリア教育の影響が挙げられます。実際、パーソルキャリア株式会社の調査によると、「キャリアアップのために転職は必要だと思う」と回答した人は81.7%にのぼっています(出典:Job総研プラス「2024年 転職条件の実態調査」)。

現在では、小学生の授業にもキャリア教育が取り入れられています。筆者自身も講師として登壇した経験がありますが、こうした教育環境を踏まえると、今後ますます「転職が当たり前」の社会へと進んでいくことは明らかだと言えるでしょう。

2. 中小企業が実践する人的資本経営

では、安定的に労働力を確保し続けるために、企業はどのようなことを実践しているのでしょうか。今回は、事例の中でも「育成制度」に絞って紹介したいと思います。

中小企業庁が発信している『中小企業白書』には、さまざまな中小企業の好事例が記載されています。2025年版では、ITソリューションを提供する四国情報管理センター株式会社が取り組む育成制度について紹介されています。同社では、未経験人材や一定の経験を積んだ社員がスキルアップできる制度を整備しています。

詳細については『中小企業白書2025』を参考にしていただきたいですが、育成制度を整えることで採用の間口を広げ、採用力の向上と従業員の定着率向上を同時に実現する施策であると言えます。転職市場において、求職者が惹かれるキーワードの一つが「未経験可」です。まさによい施策と言えると思います。このような各社の取り組みに関する情報は、『中小企業白書』のほかにも、「東京都 中小企業人的資本経営支援事業」や「経済産業省 人的資本経営 実践事例」などで紹介されています。気になった方は、ぜひご覧ください。

【清野 裕樹】

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