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診断士インタビュー
酒井和美さん
会員

診断士の匠「神奈川協会には”叱咤激励”がある」

診断士として長くご活躍されている先輩から、その知恵やアドバイスをいただく『診断士の匠』。
今回は独立診断士であり、神奈川中小企業診断士会理事を務め、神奈川県よろず支援拠点コーディネーターとしても活躍されている酒井和美さんにお話しを伺いました。
プロフィール
・酒井コンサルタント事務所代表
・2016年(平成28年)中小企業診断士登録
・神奈川県よろず支援拠点コーディネーター
●ご経歴と独立までの経緯を教えてください
大学卒業後、大手総合電機メーカーに技術職として入社。電子部品材料の開発から生産技術・原価管理・事業計画・外注指導など製造に関する様々な経験をしました。定年を前に同社を退職した後、「中小企業診断士」が自分の経験を活かせるかも、と思い勉強を開始。実務補習を通じて、自身のやりたいことが明確になったことから、個人事業主としてすぐに診断士活動を始めました。
●現在のお仕事について教えてください
大きく3つあります。1つ目は、神奈川県よろず支援拠点コーディネーターとして、中小企業等の悩みに対応する仕事です。退職後は社会貢献的な仕事がしたいと考えていた自分にとって、「夢が叶った」と言えます。2つ目は、神奈川中小企業診断士会(以下、県士会)の理事としての仕事です。理事は名誉職などではなく(笑)、自ら考え自ら動く、とても泥臭い仕事ばかりです。会員はプロとしての行動と成果が求められるため、最近は、会員のスキル向上の施策実行も大事な仕事になります。3つ目は、自分自身が個人として受けている業務委託です。他の診断士からの紹介、縁あって顧問契約している企業さんなど、数は少ないですが、直接お客様と契約して支援する機会が与えられていることはとてもありがたいです。
●仕事の中で大切にしていることを教えてください。
大切にしているのは「経営者は答えを持っている」という考えを持つことです。診断士になり立ての頃、支援先で「よかれと思って」一方的に沢山の施策を提案したことがあります。支援先を後にしたすぐに、同席していた先輩診断士から、「今のようなやり方では仕事は来ないよ」と言葉を貰い、自分の悪いところに気づかされました。それから、支援とはこちらが一方的に解決策を提供するのではなく、経営者自身が「答え」に気づき、自身の言葉で発していただくことが重要なのだと意識するようになりました。といっても、長年の会社員時代のスタイルを変えることは難しく、つい前のめりになってしまいます。だからこそ、社長は「答え」を持っていることを忘れないようにすることが、必要なんです。
●今後のビジョンを教えて下さい。
引き続き、直接または公的機関を通じた中小企業への支援に注力していきます。また、今後、先輩診断士から受けた教えを、同じ診断士である会員に伝えていくことも目標になります。まだまだ診断士を育成するような実力は自分にはないのですが、立場上その機会を与えられていますので、自分自身も成長しながら診断士育成に努めていきたいと思っています。
●若手や新人診断士に向けてアドバイス、メッセージをお願いします。
初期の仕事は、先輩から厳しく指導され、報酬も低く割に合わないと思うかもしれません。私はかなりポンコツで、先輩の「叱咤激励」で、気づきと成長の機会を貰いました。先輩とは実年齢の上下は関係ありません。年を重ねるにつれ、指摘してくれる人はいなくなります。県協会には心に届く言葉を持っている仲間がいて、相手を思い真剣に「𠮟咤激励」してくれる風土があります。実際、今でも若い診断士からの学びも多いです。現実には相手との相性はあるとは思いますが、仲間の言葉で落ち込まず、自分を振り返る機会にしてほしいです。「叱咤激励」は、「叱咤」と「激励」の1セットであるべきで、「叱咤」だけではダメというのは、支援先に対する言動、個人に対する指導も同じかもしれませんね。今回、もう一つ大切にしたい言葉が増えました。ありがとう。
【井上雅之】