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診断士インタビュー
牧口昌代さん
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令和を築く診断士「事業に関わるそれぞれの立場になって考える」

「令和を築く診断士」では、活躍している協会員の方々をご紹介しております。今回は、企業の顧問や役員としてマルチに活動されている、牧口昌代さんにお話をお伺いしました。
プロフィール
独立診断士。2017年診断士登録、平29会会長。これまで数々の会社でCFOを歴任、現在も複数社でハンズオン支援に従事する。
─牧口さんのこれまでのキャリアと、診断士になったきっかけを教えてください。
 もともと、日本やアメリカの企業で財務分析や経理の仕事をしていたのですが、事情があって北海道へ行くことになりIターン就職をしました。そこで幸いな事にIPOの責任者として上場を経験しました。女性のIPO責任者の実績は希少だったこともあり、その後はベンチャーキャピタルからの紹介で、IPOを目指している企業でCFOを歴任、VCの取締役等を経て今に至ります。
 ベンチャー企業のCFOや顧問として、弁護士や会計士、税理士など士業の方と対峙する事が多いのですが、個人企業の経営コンサル代表の名刺を渡した際に、胡散臭いと思われているのかなぁと肌で感じる事が多かった。士業の人は「士」が付いていないと認めてくれないようなところがあって。それがすごく悔しくて、私も何か「士」を付けようと、きっかけはそんなところでした(笑)。
─いわゆる「診断士になりたくて」という動機とはややアプローチが異なりますよね。診断士になってお仕事の幅の広がりや、相乗効果などはありましたか?
 診断士になって最初の数年間は、診断士だからこそできる仕事をしようと思い活動しました。商工会のアドバイザー、専門家派遣、インキュベーションマネージャー、あとは執筆や補助金の審査員など。ただ正直なところ、現業もあったので収入の基軸には置いていなかったです。じゃあなぜやっていたかというと、世の中に対する興味やライフワークの延長といった意味合いが強かったですね。
 例えばインキュベーションマネージャーの仕事は、スタートアップの会社を自身が支援する事で如何に効率的に成長を手助けできるかと試行錯誤する事が面白いと感じました。また補助金も、審査がどのように行われているか、申請する会社がどのような事業計画を作ってくるのか、今の世の中で考えられている事業はどのようなものがあるのか、といった趨勢を知るにはすごく良い。診断士だからこそできる仕事には、向き合い方次第で非常に充実した経験を得られるものが多いのです。
 また私は、事業会社の役員としての視点、金融会社の視点、経営支援者としての視点と、事業に対する立ち位置を固定しないことが、事業に対してより適切な解を見出せると考えています。事業に関わるそれぞれの立場になって考えてみる。例えば借入をする際も、どういう事業計画、どういった話をすれば相手が納得しやすいか、稟議が通りやすいかを考える。診断士としての新たな視点を得る事で確実に支援の引き出しは増えて役立っています。
─そんな牧口さんの、診断士として、もしくはもっと広い意味でのコンサルタントとしてのポリシーや大切にしていることは何ですか?
 個人的には「診断士」という呼称は好きではないですね。「診断」って上から目線に聞こえますし、「コンサルタント」もそれこそ胡散臭いので使いたくない(笑)。だからといって「伴走」も寄り添うだけに見えてちょっと違う。私は企業経営を自分事にして考えることを大切にしています。
 経験上、自分が責任を持って会社の事業推進を行わないと、プロパーの人間がついてこないと感じています。なので、基本的に役員として入ることにしています。自分なりに企業を分析して、責任を持てると思った会社とだけお付き合いします。クライアントである「経営者」と、経営者として事業推進の話が出来る事が重要だと思いますし、そのために自身の研鑽も怠りたくないと考えています。
実務経験に裏打ちされた牧口さんならではの、コンサルタントとしての本質をあらためて考えさせられるインタビューでした。今後のさらなるご活躍を期待しています。【田中 将統】