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診断士インタビュー
島崎浩一さん
会員

診断士の巧 「仕組みと人材を残すことがプロの仕事」

今回から新しい企画として、経験豊富なベテランの協会員の方々を紹介する「診断士の匠」をスタートすることとなりました。お一人目は島崎浩一さん。現在、株式会社HTAコンサルティングの代表取締役としてご活躍されています。
プロフィール
1998年診断士登録
三洋電機、日本ビクター、テクノ経営総合研究所を経て、2011年起業
現在、株式会社HTAコンサルティング代表取締役社長
まず現在のお仕事について教えてください。
 株式会社HTAコンサルティングにおいて、経営コンサルティングに従事しています。主なクライアントは製造業の大手企業と中小企業で、売上比率は7:3位です。コンサルティング内容は設計部門や製造部門の生産性向上や品質向上です。当社では約20名の中小企業診断士や技術士と契約しており、案件を受注する際にその都度、当該分野に知見のあるコンサルタントを集めて、支援に取り組んでいます。
御社の強みについて教えてください。
 私が仕事を受ける時は、必ず定量的な成果をコミットします。例えば設計のリードタイムをこれだけ減らすとか、品質コストをこれだけ減らすとか、その目標値や期限を明確にして、できるまでやり切ります。その時に大切なのは、大手企業だったら工場長、中小企業だったら社長を必ず改善プロセスの中に巻き込んでいくことです。これまで受注したほとんどのケースでは目標を達成できましたが、中には期限内に目標に届かないケースもありました。そのような場合でも、工場長や社長に改善のプロセスをきちんと見てもらい、理解してもらっていれば、そこで契約を打ち切るということにはならず、「あと1年やって欲しい」ということになるのです。そして結果的に、目標を達成するまでやり切ることができるのです。
これまでにメーカー、コンサルティング会社を経て起業されていますが、キャリアチェンジのきっかけは何ですか?
 私はもともとものづくりの仕事に興味があってメーカーに就職しました。特にロボット・メカトロニクスの技術に興味がありまして、本当はものづくりの会社を起業したいと思っていました。結局、いろいろと事情があって、製造業での起業は断念したのですが、その代わりに特に中小企業を支援したい、技術的なコンサルタントになりたいという気持ちが強くなりました。私はもともと技術屋だったので、経営のことはよく理解していなかったのですが、自分が働いていたメーカーの経営が傾いていくのを目の当たりにしまして、やはり経営戦略を間違えると会社は潰れてしまうということを実感しました。そこで中小企業診断士の資格を取得して、独立に備えたのです。その後、メーカーの早期退職制度に応募し、ものづくりのコンサルティング会社に転職して経営コンサルタントとしての経験を積み、現在の会社を起業することになりました。
コンサルタントとして大切に考えていることは何ですか?
 コンサルティングをする時は、経営者の目線で考えて、現場の目線で実行することが大事だと考えています。経営者目線で戦略的に考えることは大変重要なのですが、実行は現場がやることになります。その時に経営者目線だけで「在庫半減」と唱えたところで、どうやっていいのか現場の人は分からない訳です。「具体的にこういうふうにやりましょう、このラインのここをやりましょう」というようにブレイクダウンしてあげないと成果は出ません。一方で現場目線だけですと、視野が狭くなりすぎてしまいます。やはり両方の目線で考えることが必要だと思います。
 また、クライアントに「これをやってください」と言って終わるのではなく、一緒に実行していくことが重要です。現場では放っておいたら何も進みません。クライアントは「自分たちでやります」と言いますが、1年後に見てみたら、日常の仕事が忙しくて全く手がつけられなかったなどということはよくあります。そんなことが1回でもあると、2回、3回と絶対といっていいほどに繰り返して発生します。したがって工場長や社長を巻き込んで、きちんと日常の業務・仕事に落とし込んでやってもらいます。コンサルタントというよりも、その会社の部長になったつもりで目標を決めて、定量的な成果をコミットして一緒に実行することが必要だと思っています。
最後に若手診断士へのメッセージをお願いします。
 大手企業出身でコンサルタントになった人は、今まで培った大手企業での知識をベースに、それをクライアントに押し付ける方が比較的多いように思います。大事なことは、クライアントの力を引き出すことです。もちろん知識を持っていることは悪いことではないのですが、その分野での技術・経験はクライアントの方がはるかに豊富な蓄積があるため、知識だけでクライアントと勝負しても絶対勝てません。クライアントの話をよく聞き、ゴールに向かって相手の力をうまく引き出し、最終的には相手に自発的にやってもらうことが大事です。私がお手本を見せることはありますが、基本的にはクライアントに自分でやってもらう、そうすることで成果達成と一緒に人材育成が出来る訳です。私がいなくなったら元に戻ってしまったのでは意味が無いので、仕組みと人材を残していくことが、企業支援には大切だということをお伝えしたいですね。
 豊富な実務経験と高いプロ意識に支えられた、まさに匠の技の秘訣をお伺いすることができました。会員の皆さまの今後の診断士活動にも大変参考になるのではないでしょうか。島崎様のさらなる幅広いご活躍をお祈りしております。
【鷹野慎太朗】