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診断士インタビュー
滝沢典之さん
会員

診断士の匠「仕事の報酬は次の仕事である」

診断士として長くご活躍されている先輩から、その知恵やアドバイスをいただく『診断士の匠』。
今回は独立診断士であり、販路開拓、新市場開拓、創業支援、経営診断、経営改善、海外ビジネス支援、事業承継と幅広く活躍されている滝沢典之さんにお話しを伺いました。
プロフィール
経済産業省認定経営革新等支援機関
滝沢コンサルティングオフィス代表
1987年(昭和62年)中小企業診断士登録
人を大切にする経営学会会員
●ご経歴と独立までの経緯を教えてください
大学卒業後、大手総合電機メーカーに入社し、主に資材調達に従事しました。資材調達部門の部署は取引先の多くが中小企業であり、そこで中小企業の経営や課題を目の当たりにしました。部署内では多くの先輩が企業内中小企業診断士で、その影響から私も1987年29歳の時に資格を取得できました。当時はまだ資格も旧制度下で、工鉱業部門での登録でした。その後、米国への海外駐在も経験し、企業内でグローバルビジネスの経験も積みました。しかし、せっかく取得した中小企業診断士資格を活かすべく、今まで培った経験や経営の知識を活かし、全国の中小企業を支援したい、という思いから独立をしました。独立後は、主に公的支援機関(中小企業基盤整備機構、東京都中小企業振興公社、川崎市産業振興財団、商工会議所、信用保証協会等)の専門家として、多くの分野の事業者の経営支援を行っています。
●現在のお仕事について教えてください
大きく三つの仕事を柱としています。一つ目は、東京都中小企業振興公社のビジネスチャンス・ナビと中小機構のジェグテックという中小企業の販路開拓、市場開拓を目的としたビジネスマッチング支援を行っています。二つ目は川崎市産業振興財団にて、かわさき起業家塾の責任講師をしています。地域の起業、創業に関心のある方向けに、ビジネスプラン・創業計画書の作成支援をしています。三つ目は各支援機関からの依頼で経営診断、経営改善計画の実践支援です。この支援活動を通して、中小企業の真の意味での経営改善に注力しています。過去に経営革新優秀賞を受賞した支援先も数社あります。
●仕事の中で大切にしていることを教えてください。
大切にしていることは二つあります。一つ目は、経営を立て直す、事業を推進していくのはあくまでも経営者である、ということです。自分が立て直そうと考えず、いかに経営者に前向きな行動を起こさせるか、が重要です。それには、まず経営者との信頼関係構築が必要です。経営者が気づいていない会社の良いところ、強みを褒めることも信頼関係構築には有効です。二つ目は、より多くの現場に出向き、たくさんの経験を積むことです。経営診断では、自分の知らない相談内容も多く、その時は自ら積極的に勉強し、少しでも事業者の支援に繋がるよう努力しています。特許、事業承継、海外、IT関連はそうした経験から学んでいきました。スキルの幅を広げるには、まず会社の現場で経営者と向きあうこと、また、常に学ぶ姿勢を持つことを大切にしています。
●今後のビジョンを教えて下さい。
「人を大切にする経営学会」に所属しており、その活動を通して、「人を大切にする経営」を全国の中小企業に普及させたいと考えています。また、実務補習や実務従事を通して、若手や新人診断士の育成を継続し、将来事業者からありがとう、と感謝される支援を若手も目指して欲しいです。
●若手や新人診断士に向けてアドバイス、メッセージをお願いします。
一つ目は「自分をマネジメントする」です。特に独立診断士は、最低限の安定した収入源を持つことで精神的な余裕を保つことです。収入面が安定しないと、良い支援もできないと思います。二つ目は「ネットワーク作り」です。診断士はいかに支援機関、診断士仲間、中小企業経営者から信頼されるかが重要です。ボランティア的な活動にも積極的に参画することもポイントです。最後に、私は「仕事の報酬は次の仕事である」と考えています。良い仕事をすれば、必ず、次の仕事に繋がります。報酬の多寡にかかわらず、「ありがとう」と感謝の言葉をいただいた時が診断士として一番幸せを感じる時です。
【須藤 弘幸】