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中小企業診断士のNPO法人等へ実務従事の対象が拡大されました

令和元年 7 月 31 日 中小企業庁経営支援課より、下記の通達が発せられました。
今後NPO法人への支援機会があることを想定して、NPO法人の基本について記載していきます。

『中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則(平成12年通商産業省令第19 2号)に基づく中小企業診断士の新規及び更新の際の登録要件となっている実務従事の対象は、これまで中小企業支援法(昭和38年法律第147号)で定義されている 中小企業者に限られていましたが、本日から下記の要件を満たす、医業又は歯科医 業を主たる事業とする法人(医療法人等)、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)が新たに実務従事の対象として追加されました』

NPO法人の現状

「NPO」とは「Non-Profit Organization」の略称で、1998年12月施行の特定非営利活動促進法に定められた20の特定非営利活動を行うことを主たる目的とする法人のことです。2019年7月末現在、51,469法人が登録されています。そして、直近2事業年度で一定基準を満たすNPO法人は、所轄庁の「認定」を受けて認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)となり、税制上の優遇措置を受けることができます。1,107法人が認定されています。(内閣府HPより)

活動タイプから「価値提供型」と「課題解決型」に分けることができます。活動を行うメンバーに収益を分配することを目的とはしませんが、収益を目的とする事業を行うこと自体は認められています。事業で得た収益は社会貢献活動に再投資されることになり、寄付や会費で支える事業と対価を得て継続する事業のバランスが収支に影響を及ぼします。メンバーの3割が60歳以上と高齢化が進んでいます

中小企業との類似点や相違点

似ている部分は、発起人のリーダーシップに頼る属人的な部分が強く、一方で、柔軟性や機動性もあります。自発的な個人の思いから組織化されていますので、ある課題に特化した高い専門性のもと、小規模に独立したさまざまな事業内容があります。また、そこで働くメンバーの低賃金・長時間労働によって支えられた労働集約的な部分もあります。

違う部分は、社会課題解決にむけた同じ思いを持つ者同士、競合意識はなく、オープンに一緒にやっていきましょうと、自主的で開放的な雰囲気があります。事業内容は非営利で公益性の高いことに特化し、受益者と支援者のニーズを満たすことが必要です。また、会費や寄付で運営されていて第3者の目もあり比較的透明性はあります。

私たちの取組姿勢

何よりもまず、そのNPO法人の立ち上げの思いに共感力を持って、一緒に体や手を動かしながら、気持ちに寄り添うスタンスが必要になります。そして、現場改善やアイデア具現化への工夫が大きな変化につながることを体感してもらうことが大切です。

私たちが期待されていること私たちが陥りがちなこと
・ 社会課題解決の思いを具現化させる創業支援
・ マーケティング発想でのビジネスフローづくり
・ マネジメントや人材育成に関する幅広い知識とスキルによる効果的な組織運営
・ 会費や寄付だけに頼らない資金調達の改善計画
・ 人間力と将来性のあるリーダーへの事業承継計画
・ 収益性が無いと、活動の思いや熱意、事業そのものを否定してしまう
・ 対企業の分析フレームを当てはめるだけで、課題や問題点を判断してしまう
・ できていないことが多いので、上から目線での一方的な指摘をしてしまう

最後に、ヘンリー・ミンツバーグの著書『私たちはどこまで資本主義に従うのか』で、次のように述べられています。企業と政府だけでは社会の問題は解決できない。社会を担う「政府セクター」「民間セクター」に加えて、NPOやNGO等、社会運動や社会事業を担う「多元セクター」が第三の柱として成長し、社会のバランスを取り戻していく必要があると。日本、そして神奈川ではどうでしょうか。

時代は、「世界レベルの社会契約」としてSDGs(持続可能な開発目標)に向けて、行動を変えていくことが私たちひとりひとりに求められています。持続可能な開発のための17のゴールにつながる活動を推進しているNPO法人や社会福祉法人を支援することは、中小企業診断士として、SDGsを自分事化することにつながるのではないでしょうか。

【増田竜雄】

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