連載企画 中小企業における経営企画について (3)
中小企業診断士は「社外の経営企画部」になれる
【これまでの振り返り】
第1回では経営企画の基本的な役割を整理し、第2回では中小企業において経営企画がなぜ必要なのかを確認しました。多くの中小企業では専任の経営企画部門を持てず、短期対応に追われがちである一方、将来を見据えた視点が不可欠であることをお伝えしてきました。第3回では、その経営企画を「誰が、どのように担うのか」という点について、中小企業診断士の役割を考えていきます。
1. 中小企業における経営企画の現実的な担い手
中小企業において、経営企画部を新設し専任人材を配置することは容易ではありません。人材やコストの制約から、経営企画の役割は経営者自身が担うケースがほとんどです。しかし、経営者は営業、現場、対外折衝など多くの役割を兼ねており、客観的な分析や中長期的な構想に十分な時間を割くことは難しいのが実情です。
このような状況において、有効な選択肢となるのが「社外の経営企画部」としての外部専門家の活用です。中小企業診断士は、経営全体を俯瞰するための知識と分析力を備え、経営者の思考を整理し、将来像を具体化する役割を担うことができます。
2. 中小企業診断士が果たせる具体的な役割
中小企業診断士が経営企画に関わる際の役割は多岐にわたります。まず重要なのが、外部視点による現状分析です。自社だけでは気づきにくい強みや課題を、財務・市場・組織などの観点から整理し、経営者に分かりやすく提示します。
次に、中期的な方向性の整理です。経営者の頭の中にある構想や思いを言語化し、数値目標や重点施策として整理することで、経営計画として形にします。ここでは完璧な計画を作ることよりも、「進むべき方向を共有できる状態」をつくることが重要です。
さらに、計画を作って終わりにしない点も診断士の強みです。定期的な進捗確認やKPI管理を通じて、計画と実行のギャップを把握し、必要に応じて修正を行う。こうした伴走型の関与によって、経営企画は机上の空論ではなく、実践的な経営ツールとして機能するようになります。
3. 診断士だからこそ提供できる価値
中小企業診断士の価値は、単なるアドバイスにとどまりません。経営者にとっての「壁打ち相手」となり、意思決定の質を高める存在である点に大きな意義があります。経営者が一人で抱え込みがちな悩みや不安を言語化し、選択肢を整理することで、より納得感のある判断を支援できます。
また、診断士は他士業や専門家との橋渡し役も担えます。財務、労務、ITなど、経営課題に応じて適切な専門家と連携し、経営企画の実現性を高めることが可能です。これは経営全体を横断的に理解する診断士ならではの役割といえるでしょう。
中小企業にとって経営企画は「やりたいが手が回らない」領域です。その空白を埋める存在として、中小企業診断士が関わる余地は大きく、今後ますます重要性は高まっていくと考えられます。
まとめ
中小企業診断士は、専門知識と外部視点を活かし、中小企業の「社外の経営企画部」として機能することができます。経営者と並走しながら、未来を描き、実行を支える存在こそが中小企業診断士の強みです。
次回は、こうした経営企画支援を実際にどのように始めていくのか、具体的な進め方や関与のステップについて整理していきます。
【大澤 一樹】




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