連載企画 中小企業のIT化 (4) 中小企業のデジタル化支援
前回は、「DX化を進める上での留意点」をテーマに、自社に適したシステムを導入することで導入効果を最大限発揮するために、中小企業がDXを行うに当たっての留意点をご紹介しました。本連載最終回である今回は、「中小企業のデジタル化支援」をテーマにお伝えします。
中小企業では、「デジタル化やDXが重要であることは理解しているが、何から手を付ければよいか分からない」「IT人材や資金に余裕がなく、具体的な取組に踏み出せない」といった声を耳にします。
こうした課題に対応するため、国や関係機関、民間企業により、様々なデジタル化支援策が用意されていますのでその紹介をします。
■ IT導入を後押しする代表的な支援策:IT導入補助金
中小企業のデジタル化支援策として、まず押さえておきたいのが「IT導入補助金」です。IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が、自社の経営課題や業務上のニーズに合ったITツール(ソフトウェアやクラウドサービス等)を導入する際の費用の一部を補助する制度です。
例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールを導入することで、これまで人が行ってきた定型的な事務作業を自動化し、業務効率化や省力化を図ることが可能となります。また、グループウェアの導入による社内情報共有の円滑化や、Web会議システム等を活用したテレワーク環境の整備は、働き方改革の推進や人材確保にもつながります。
診断・助言の場面では、単に「補助金が使える」という説明にとどまらず、企業の課題と導入するITツールの効果がどのようにつながるのかを丁寧に整理した上で活用を促すことが重要です。
■ 中小機構による伴走型支援ツールの活用
ITツールの選定以前に、「自社の課題が何なのか分からない」「どの分野からデジタル化すべきか判断できない」という企業も少なくありません。そのような場合に有効なのが、中小機構が提供している「IT戦略ナビ with」や「ここからアプリ」といった支援ツールです。
「IT戦略ナビ with」は、企業が抱える経営課題や業務上の問題点を可視化し、それらの課題に対して、どのようなITの活用が考えられるのかを体系的に整理できるツールです。経営者自身が簡単な質問に回答していくことで、IT活用の方向性を整理できるため、デジタル化の第一歩として有効です。
また、「ここからアプリ」では、IT導入事例や支援機関による支援内容が多数紹介されており、他社事例を参考にしながら具体的な導入イメージを持つことができます。
診断士としては、こうしたツールを活用しながら、企業と一緒に課題を整理し、無理のないデジタル化の進め方を検討していく姿勢が求められます。
■ 民間企業による支援と中小企業診断士の役割
近年では、ITベンダーやコンサルティング会社など、民間企業による中小企業向けのデジタル化支援も充実してきています。一方で、ITツールやサービスは多種多様であり、企業側が情報を取捨選択することは容易ではありません。
そのため、中小企業診断士には、ITの専門家と経営者の橋渡し役としての役割が期待されます。企業のITリテラシーや経営状況を踏まえ、「今、本当に必要な支援は何か」「段階的にどこまでを目指すのか」を整理し、過度な投資や目的が曖昧な導入を防ぐことが重要です。
■まとめ
今回は、「中小企業のデジタル化支援」をテーマに、代表的な支援施策や支援ツールについてご紹介しました。中小企業にとってデジタル化は、もはや一部の先進企業だけの取組ではなく、持続的な経営を行う上で欠かせない要素となっています。一方で、デジタル化は目的ではなく手段であり、企業ごとに適切な進め方は異なります。
本連載でお伝えしてきたITを導入するに当たっての「目的の明確化」「身の丈に合った取組」「支援施策の上手な活用」等を意識しながら、中小企業のデジタル化を支援していくことが重要です。
本連載が、中小企業支援に携わる皆様の実務の一助となれば幸いです。
【佐藤 圭】




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