連載企画 小規模商圏における店舗出店のポイント (1) 商圏の広がりと「量」を捉える
はじめまして。人見大輔と申します。大手コンビニエンスストアチェーンで、20年以上にわたり店舗開発の仕事に携わってきました。主に神奈川県内の出店を担当し、物件の選定だけでなく、契約交渉や工事工程の管理、開店に至るまでの一連の業務を任されています。
今回から4回にわたり、商圏という「面」の見方や、立地という「点」の選び方、物件そのものの選び方など、店舗開発の経験から得た店舗出店の考え方を、業種を問わず活用できる形でお伝えしていきます。
■商圏の範囲を確認する
自店に足を運んでくださるお客様が、どのあたりまで住んでいるのかを把握することが、出店戦略の起点になります。
業種はもちろん、幹線道路沿いか駅前かといった立地条件によっても、その広がり方は大きく異なります。徒歩や自転車が中心の地域もあれば、車での来店が前提となる地域もあり、同じ業種であっても土地柄によって商圏の大きさは変わってきます。
すでに開業後であれば、手元にある来店データや配達先の住所を地図に落とし込み、自店の商圏をおおよその半径で捉えてみましょう。来店客の7割前後が含まれる範囲を「1次商圏」、それより外周を「2次商圏」と位置づけるのが一般的です。
開業前であれば、近隣の同業種の店舗や、類似する業態の商圏を参考にすることも一つの方法です。
■商圏の「量」と「質」を数字で確かめる
商圏の中にどれだけの人が住んでいるか、そしてどのような人が住んでいるかは、公的な統計から誰でも調べることができます。
人口の数字は、その地域に実際に暮らしている、つまり夜間の滞在者数を示すものであり、狙いたい客層がどの程度暮らしているかを推し量る材料になります。
世帯数を見れば、単身者中心の地域なのか、家族世帯が多い地域なのかという「質」の違いも浮かび上がります。
統計局のホームページなどから統計データを取得し、地域を選んで集計し、年齢構成や男女比、世帯人数を比較する作業は手間がかかりますが、勘や経験則だけに頼らず、こうした裏付けを積み重ねることが、的確な出店判断につながります。
統計は取得した時点のものにすぎないため、数年単位での増減傾向も確認しておくと安心です。
■従業者数から「昼間人口」を読む
もう一つ押さえておきたいのが従業者数です。これは、その地域で働いている人の数を示す指標で、自宅から勤務先へ移動する人の流れをもとに、日中どれだけの人が滞在しているか、いわゆる昼間人口を推計する手がかりになります。
従業者の業種構成を見れば、オフィス街的な性格が強いのか、住宅地としての性格が強いのかも見えてきます。オフィス街であれば平日の昼間に、住宅地であれば夜間や休日に、それぞれ需要のピークが生まれやすいという傾向もあります。
夜間人口と昼間人口の両方を組み合わせることで、時間帯ごとに表情を変える商圏の実態がより立体的につかめます。
■まとめ
商圏を捉える第一歩は、来店データをもとにおおよその範囲を描くことです。そのうえで、人口や世帯数、従業者数といった公的統計を組み合わせ、「量」と「質」の両面から地域の姿を確認していきます。夜間人口と昼間人口を併せて見ることで、時間帯によって変わる商圏の実像がつかみやすくなります。こうした基礎データの裏付けがあってはじめて、次に紹介する集客施設や動線の見方も生きてきます。
次回は、商圏のポテンシャルを高める集客施設と、商圏の成り立ちについて取り上げます。
【人見 大輔】




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