連載企画 ソーシャルセクター支援 (1)NPO支援を始めたきっかけ
1.はじめに
初めまして、今年診断士登録した水野と申します。本連載では、現在私が取り組んでいるソーシャルセクター支援についてお伝えします。
ソーシャルセクター(環境・教育・福祉などの社会課題解決を目指すNPOや企業等)の現場は、経済合理性の外にあると思われがちです。それゆえ専門家による経営支援の手が届きにくく、深刻なリソース不足に悩まされている団体も少なくありません。しかし、だからこそ、診断士の持つ経営支援の知見・ノウハウが大いに活かせるフィールドだと私は考えています。
2.NPO支援のきっかけ
私がNPOの支援を開始したのは今年5月、プロボノワーカーに登録したことがきっかけでした。プロボノとは、専門知識や職業スキルを活かして取り組む社会貢献活動(ボランティア)のことで、副業制限のある会社員や団体職員でも取り組みやすく、実務経験の積み上げや他流試合の場として最適です。
私はNPOとプロボノのマッチング団体にワーカーとして登録し、すぐに1つの団体とつながることができました。そこは障がい者支援事業を行っており、これから自治体の障がい者施設運営事業者としてプロポーザルに応札しようというタイミングでしたが、プレゼン用の企画書や見積書を作成する人的リソースが足りないためサポートしてほしい、というのがプロジェクトとしての要望でした。
3.中長期的な伴走の必要性
自治体の提示する仕様書に沿って資料を整えていくと、プロポーザル受託後の事業継続に際して、いくつかのハードルがあることが見えてきました。事業拡大に伴う増員と、諸規程を含む人事制度の再整備、そして将来的に認定NPOを目指す法人がより安定した経営を行うためのファンドレイジング(資金調達)の戦略。単に資料作成をサポートするだけでは不十分で、プロポーザル採択後にこそ診断士の真価を発揮できるのではないかと思うようになりました。
4.初めての顧問契約
このようにサポートを進める中で、私は中長期的なビジョンについてNPO側と目線を合わせることを心がけました。その結果「プロボノのプロジェクト終了後もぜひ伴走支援してほしい」というお言葉をいただき、初めての顧問契約をいただくことができました。新米診断士の私にとって大変ありがたい機会である一方、難度の高い人事課題については社労士の先生のお力をお借りすることになり、士業連携の重要性を身をもって実感することになりました。
5.資金調達の壁
ここで悩ましいのが資金調達についてです。プロボノとして始めた自分はともかく、複雑な課題整理と制度設計を引き受けてくださる社労士の先生には、専門家としての対価をしっかりお支払いすべきですが、資金不足のNPOには負担が大きいのも事実です。7月初頭、無事にプロポーザル採択の報を受けて喜んだのも束の間、あいにく自治体の事業予算には専門家費用を含めることができず、提案していたいくつかの見積も否認されてしまいました。結果として、法人主導での新たなファンドレイジングを開始することになったのです。
6.まとめ
今回は、私がソーシャルセクターであるNPOの支援に至ったきっかけと、伴走支援で突き当たった資金調達の壁についてご紹介しました。次回の記事では、NPOをとりまくファンドレイジングの現状と、支援先の実際の取り組み、診断士としての支援内容についてお伝えする予定です。当連載をきっかけに、ソーシャルセクターが取り組む「社会課題とビジネスの両立」に関心を持つ診断士が増えることを期待しています。
【水野 愛子】




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