【SDGsレポート】おが屑から始まる地域資源の循環。身近な課題解決を日常のSDGsへ(株式会社ネットフィールド)(R7年度 かながわ みんなのSDGs 神奈川県中小企業診断協会賞 受賞)
1.企業・事業概要
株式会社ネットフィールドは、内装工事業を基盤とする代表の網野通氏が、未利用資源(青森ヒバの抽出液、おが屑、フードロス、廃ろうそく等)を活用して、環境配慮型製品の開発・販売を行うために設立した企業です。
主力製品には、油処理剤「オガレッカー」、簡易トイレ「オガポット」、着火剤「オガチャッカ」などがあり、現場で生じている課題を解決することから生まれた実用性の高い商品群を展開しています。
また、福祉施設との連携による製造体制を構築して、地域貢献型のビジネスモデルを特徴としています。
【法人概要】
| 項目 | 概要 |
| 所在地 | 神奈川県秦野市戸川48-4-6 |
| 代表者 | 網野 通 |
| 創業・設立 | 2020年6月 |
| 従業員数 | 2名 |
| 法人理念 | 商品開発と研究を通じて社会的インパクトを創出する。 足もとに注視し社会課題の解決を目指す。 あきらめない。 |
| 事業内容 | おが屑を使い優しい環境づくりを目標としたアップサイクル品の販売 青森ヒバを利用した雑貨を販売 |
| 認証等 | かながわSDGsパートナー登録法人 さがみはらSDGsパートナー |
2.SDGsに取組んだきっかけ
網野氏は、1998年に創業した床張工事を専門とする内装工事業者として、活動されていますが、その活動を通して、地元の津久井地域が中山間地域として、多くの課題を抱えていることを知り、問題意識を持つようになったのが、SDGsに取組みたいと考えた原点となっています。
2018年に横浜で開催された自治体向けSDGsフォーラムに参加したことで、この想いが強まり、同じ思いを有する友人(T氏)と、2020年に、株式会社ネットフィールドを立ち上げました。
同社がこれまで取り組んでいた未利用資源活用事業がSDGsの理念と一致していることに気づき、神奈川県のSDGsパートナーに登録したという経緯です。

具体的取組は、青森ヒバの抽出液を使った製品については、ネットフィールドを共同で立ち上げたT氏と、たまたま訪ねた五所川原商工会の会員事業所と連携して取り組みました。
抽出液は、ヒノキチオールという成分で、消臭、脱臭、抗菌、防虫の効果があり、これを使ったオイル、石鹸、パウダー等の製品を開発し販売しています。

また、主力製品である油処理剤「オガレッカー」は、交通事故等の際、車から漏れ出たエンジンオイル等を吸着する製品で、おがくず、畑に撒く苦土石灰等で作られています。
これまでのオイル処理剤は、粒状になっているため、足で踏まないと吸着しないという欠点があり、このため、足で踏んだ後、その靴で車を運転しようとするとクラッチとかアクセルのペダルが滑ってしまうという問題がありました。
そこで、この製品を思い立ち、試行錯誤を繰り返しながら、製品化しました。

最近開発したものでは、廃ろうそくを利用した「オガチャッカ」があります。
これは、ニュースで、ろうそくを回収していた会社が取扱を止めたため、廃ろうそくがあふれたということを聞いたのがきっかけでした。
市内の葬儀屋等にヒアリングすると、実際に、地元でも、廃ろうそくの処理の問題があることに気が付きました。
この処理問題を考える中で、おがくずと混ぜて着火剤を作ることを思いつきました。
最初は金型を作って、大量生産することを考えましたが、地元のやまゆり園という福祉施設の方が来られ、やらせてもらえないかと依頼がありました。
そこで、障害者の方に、全て手作業で、オガチャッカを作ってもらうという形にすることにしました。
障害者が安全に作れることを考え、コンロで廃ろうそくを溶かすことをせず、炊飯ジャーで溶かし、そこにおが屑を入れ混ぜたものを、アイスクリームのデッシャーで、一つずつ手作業ですくってもらって製品とすることにしました。
年間約200kgの廃ろうそくと約600Lのおが屑を再資源化し、売上の85%を施設へ還元しています。本取組については、「令和7年度かながわ みんなのSDGs」の神奈川県中小企業診断協会賞を受賞されました。

3.SDGsに取組む目的・目標
特に、定量的な目標をたてているわけではありません。内装工事業は力仕事なので、高齢になるとともに、できなくなる可能性があり、内装工事に頼らなくてもよい、事業の柱を築いておきたいというのが、当面の目的となっています。
こうした事業が、社会的価値の実現につながり、友人他仲間と一緒に研究し、ものづくりして生活できればよいと考えています。具体的には、未利用資源の活用による環境負荷の低減、地域課題の解決(廃棄物、汚水処理、防災等)、福祉施設との連携による共生社会の実現、誰でも参加できる「ものづくり」の普及といったことになるかと考えています。
ただし、SDGsを「特別な活動」として捉えるのではなく、日常的な倫理・行動の延長として捉え、身近な課題解決を積み重ねることを目標としています。
■ 該当するSDGs目標

8.働きがいも経済成長も(障害者を含む、全ての人々の働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する)
障害者が安全に確実に作業ができる方法を考案し、障害者の働く機会を提供しています。

12.つくる責任つかう責任(捨てられる食料を半分に減らす、化学物質やあらゆる廃棄物(ごみ)を環境に害を与えないように管理する、ごみの発生する量を大きく減らす)
おが屑、フードロス、廃ローソク)を使った製品を商品化し、再利用しています。

14.海の豊かさを守ろう(海洋ごみや富栄養化など、特に陸上の人間の活動によるものをふくめ、あらゆる海の汚染をふせぎ、大きく減らす)
おが屑の水・油の吸着力を利用して、交通事故で車から漏れ出たエンジンオイルを吸着処理することで、汚染を防ぎます。

17.パートナーシップで目標を達成しよう(効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップをすすめる)
地元の福祉施設と連携してオガチャッカの製造を委託する。相模原市消防局と連携し、オガレッカーを指定商品として、採用してもらっています。
4.SDGs取組体制
友人との2名体制で取り組んでいるため、社内でできることは限られています。このため、事業展開にあたっては、様々な企業・組織と連携を図っています。
製造については、例えばオガレッカーは、農協に紹介してもらった、肥料の製造業者にお願いしています。オガチャッカについては、前述の通り、福祉施設に製造を委託しています。できあがった製品は、共同事業者T氏の有する倉庫を活用しています。
販売については、主力のオガレッカーについては、相模原市の消防局の指定商品にしていただくとともに、全国車載積載レッカー協会が窓口になって、全国のレッカー会社に通信販売してもらっています。全国から注文が来るため、配送はヤマト運輸(クロネコ)に依頼しています。
特に、障害者施設への製造委託は、単なる外注ではなく「共生社会モデル」として機能している点が特徴となっています。
5.SDGsに取組んだことによる効果
大企業が取り組むSDGsであれば、CO2をどれだけ減らしたとかといった具体的・数値的効果といったことがあるかもしれませんが、我々の取組は、いかにして共生社会を作るかにあるのではないかと思っています。
その観点からの効果という点でいうと、SDGsは、誰でもできるということを、特に子供たちに知ってもらうことにあると考えています。
引退した年配の方たちにも参加してもらい、「誰でもできるものづくり」を可視化することによって、SDGsに取組みたいと考えている方たちの参入のハードルを下げる効果も生んでいるのではないかと考えています。
このため、講演の依頼等があれば、積極的に引き受けるようにしています。
6.SDGsの取組に関しての今後の課題・抱負
課題としては、事業拡大に向けた体制・パートナー不足という点があるかと考えています。友人との2名体制で取り組んでいますが、二人とも、元々職人気質で、ビジネス面を支援してくれる存在があれば、協業の可能性は更に広がるのではないかと考えています。
今後の抱負ですが、基本的には、大きな利益でなく、持続可能で楽しく続けられる仕組みの構築を目指していますが、海外展開の可能性がないかといったことも考えています。
過去に一度、ヨーロッパへの製品輸出も試みましたが、厳しい規制で断念した経緯があります。
また、JICAからアフリカ(ナイジェリア)のごみ問題について相談を受けたことがあります。
貧困層が暖を取るために、プラスチックごみを燃やしており、その解決策がないかと、意見を求められました。
その後の具体的進展にはつながりませんでしたが、現在、青森ヒバを使ったハンドクリームや石鹸については、ハラル認証を取得後にインドネシア等をターゲットにした輸出を検討しています。
こうした形での海外展開についても考えていきたいと考えています。




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