診断士インタビュー
野毛健弘さん
会員
診断士の匠「公的機関での経営支援」
- 中小企業診断士として長くご活躍されている先輩から、知恵やアドバイスをいただく『診断士の匠』。今回は独立診断士であり、公的機関で長く経営支援業務に従事されている野毛健弘さんにお話しを伺いました。
- プロフィール
- ・独立診断士
・2010年診断士登録
・横浜企業経営支援財団経営相談員
・神奈川県事業承継・引継ぎ支援センター コーディネーター - ●ご経歴と独立までの経緯を教えてください
- 独立前は税理士法人・会計事務所で働いていました。当時の業務は、中小企業の財務会計や税務申告のサポートでした。中小企業経営者と接する中で、会計や税務分野にとどまらず、経営全般について相談を受けることが多くありました。
経営に関して困っている中小企業の役に立ちたいと考え、幅広い経営知識を体系的に習得するため、35歳の時に中小企業診断士の資格を取得しました。
そして、40歳の節目に独立して、公的機関で経営支援業務に従事しました。 - ●独立されて良かったこと、良くなかったことはなんですか
- 独立して良かったことは、仕事を自分で自由に決められることだと思います。やりたい仕事ができ、成果が報酬となるという環境に身を置くことができています。相談に来た経営者から感謝の言葉をもらったときは、とてもやりがいを感じます。私の経営指標は「ありがとう」の数なのです。
独立して良くなかったことは特にありません。ただ、独立当初は孤独感を感じることがありました。公的機関は一緒に働く診断士仲間ができるので、今では孤独感はありません。 - ●現在のお仕事内容を教えてください
- 主な仕事は、公益財団法人横浜企業経営支援財団(IDEC横浜)の窓口相談業務や神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターのコーディネーター業務です。また、商工会議所や保証協会の専門家派遣なども行っています。
IDEC横浜の相談業務は、独立した2014年から担当しています。窓口相談では、中小企業経営に関する様々な相談が寄せられます。創業、販路拡大、補助金や資金繰りなどの相談に対して、「寄り添い不安を取り除く」を心がけて助言しています。
公的機関での経営支援業務を通して、資格取得時に描いた「多くの困っている中小企業のお役に立ちたい」という目標は達成できていると思っています。
事業承継・引継ぎ支援センターのコーディネーター業務は2018年から担当しています。この仕事では、相談者の相続人、相続財産など、非常にセンシティブな情報に触れることがあります。そのため、専門知識だけでなく、相手の立場に立って深くお話を聞くコミュニケーション能力が求められます。
事業承継・M&Aの相談件数は年々増加しており、これからも金融機関、士業専門家と協力して、コーディネーターとして事業承継にお困りの中小企業をサポートしていきたいと考えています。 - ●若手や新人診断士へのメッセージをお願いします
- 診断士として長く活躍するためには、仕事だけでなく仲間とのつながりが大切です。協会の活動や登録グループに積極的に参加することをおすすめします。
また、同期だけでなく先輩診断士との交流も有益だと思います。独立後の体験談や仕事の紹介が得られるかもしれません。独立してからも、診断士仲間とのつながりは一生の財産になります。 - 今回は独立の経緯や公的機関での中小企業支援の現場について語っていただきました。独立を予定されていらっしゃる方、独立して間もない方に参考になるアドバイスだったのではないでしょうか。野毛様には取材へのご協力に感謝しますとともに、今後とも、益々のご活躍を祈念しております。
- 【関澤 充】