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『長期化するwithコロナに立ち向かう』第3回

~観光・宿泊業と飲食業の変化と対応~

同期会「令一会」では、アフターコロナ討議チームを立ち上げ、変化する姿に着目して、これまでとは異なる軌道の先にある未来の作り方を検討しました。

令一会有志、アフターコロナ討議チームメンバーは、以下の8名です(50音順)
上原 航平、緒川 直樹、高木 富士夫、中嶋 宣行、福田 幸俊、升田 覚、増田 竜雄、宮原 崇

その討議の内容をレポートにまとめさせていただきました。第1回目は社会の変化、第2回目は中小企業に起きる変化について述べました。最終回は、ホテル・旅館業と飲食業に焦点を合わせて述べます。

(1)ホテル・旅館業の変化と私たちの提言

(執筆:福田幸俊)

①業界特性

(1) 日本のホテル旅館業界の特性

ホテル・旅館業界には他の業界と比べいくつかの特色があります。

1)土地、建物の建設回収費用の割合が全費用に対して高い。投下資本の回収年数が長い

2)人件費の割合が高い。労働集約型産業で住み込みなどもあり、長時間・重労働である。正社員の割合は3割程度と少なめだが、給料の変動費化は進んでいないところも多い。

3)収入上限が部屋数である程度限られる

ホテル・旅館業界は、温泉旅館を中心に業績不振な会社が多く、2001年以降、倒産件数も増加傾向にありました。コロナ前までは、ホテルと旅館では、今後、別の方向をたどると予想されていました。ホテルは大資本が参入し、部屋数の増加・建物の大型化で拡大基調であったのに対し、旅館は漸減傾向であるとみられていたのです。その根底にあったのはインバウンドの拡大と2020年の東京オリンピック・パラリンピックによる利用客の増大の見込みでした

(2)神奈川県内のホテル旅館業界の動向

平成28年3月に神奈川県観光振興計画が立案され(平成29年11月見直し)、横浜、鎌倉、箱根の三大地域に続き、城ヶ島・三崎地域、大山地域、大磯地域の6か所が重点地域に指定されています。RESASによれば、神奈川県の2018年宿泊施設数は1,403施設で全国第11位です。

横浜市は平成24年度よりMICE誘致を中長期戦略にすえています。令和元年のラグビーワールドカップ決勝戦や2020年東京オリンピックの野球、サッカーの決勝会場の誘致にも成功しています。その影響もあり、横浜市では令和元年から2年にかけて、みなとみらい地区を中心に大型ホテルの開業、開業予定が相次いでいます。 

(注:MICE: 企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修などのインセンティブ旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語)

県西の箱根では平成27年の大涌谷噴火により観光客が激減し、宿泊業は打撃を受けています。令和元年5月には、噴火警戒レベルが2に引き上げられ、10月の台風19号被害で箱根登山鉄道の一部区間が運休となってしまいました。その結果、令和元年に箱根を訪れた観光客数は、前年度比11%減の1,896万人と平成27年の水準まで戻ってしまい、コロナショック前に既に回復基調に水をさされた形になっていました。

②コロナショックの影響

(1)インバウンドの低調

海外からの観光客は最低でも1年、おそらくは数年は以前のレベルまでに戻らないであろうと想定されています。

(2)国内の外出自粛

ホテルへの宿泊だけでなく、イベント開催も難しくなると推測されています。

(3)オンラインへのシフト・衛生ブーム

バーチャル飲み会に代表されるオンラインへのシフトが進むと思われます。また、衛生への関心が高まると予想されるため、一部のホテル・旅館では衛生対策の資金が必要になる可能性があります。

(4)人手不足

外国人労働者を雇用している宿泊業を営む事業所は平成26年19,145ヵ所から平成30年31,453ケ所と過去5年で64.2%もの高い伸びを示しており、重要な労働力になっています。今後、今まで通り来日するかが疑問であり、人手不足の問題を考えなければならないと推測されています。

(5)倒産の増加

業界特性でも見たように、土地・建物の費用が高く、固定費が多い業界であり、運転資金が不足することが予想されます。県内でも既に大型ホテルの廃業が複数発生しています。

③ホテル・旅館業界の変化への提言

(1)ドメインの再設定

ホテルは、「宿泊するところ」「結婚式などのイベント」「非日常のくつろぎ空間」といった、今までのドメインは既に限界にきているのではないでしょうか。インバウンドの増加や2020東京オリンピック・パラリンピックは延命策に過ぎず、根本的にドメインを見直す機会であると考えます。

一例として、「宿泊ではなく、在宅ワークのリゾート版」「イベントではなく、情報発信拠点、展示場とする」「平日は会議室を学校の教室として使用する」などです。さらに知恵を絞り、良いアイデアを出す必要があります。

(2)既存概念の打破

アフターコロナという稀にみる大変革期を乗り切るにはドメインを変えるだけでなく、今ある既存概念も打破する必要があります。

1)所有と経営の分離
土地・建物を所有しホテル・旅館を経営するケースは多く、旅館に関しては30%が個人事業主です。一方で、所有することが金銭的な負担になるケースも多いです。ホテル業では分離は進んでいるが、今後は旅館業も経営は委託し、プロやチェーンに任せるのも一つの方法でしょう。そして、業界構造的な問題である固定費比率の削減にもつながります。

2)24時間、365日営業の中止
24時間、365日営業が当たり前のように考えること自体を見直すことも考えるべきでしょう。一例として、秦野市の老舗旅館「陣屋」は週3日の休日でも売上は倍に伸びています。

3)IT化の促進
伝票の手書き、従業員同士の情報が口頭・メモだけ、経営情報がドンブリ勘定、といったホテル・旅館も多くあります。人手不足は今後も解消の見通しは立たないため、人手の代わりに、IT化を進めることも検討すべきでしょう。

4)M&A・統廃合の促進
M&Aや統廃合を進めるのも一つの方向です。経営者のハッピーリタイヤも考えつつ、経営権を譲渡する選択肢も常に考えておきましょう。

④私たちの活躍の場

神奈川県は日本第二の都市横浜、古都鎌倉、有数の温泉地箱根を有しており、宿泊施設数も全国で上位にあります。それらの支援のために中小企業診断士が活躍することが大切だと考えています。

(2)飲食業の変化と私たちの提言

(執筆:宮原 崇)

本章では、国内需要の取り込み方について飲食業を例にして検討しました。

非常事態宣言が解除されたのちも効果的なワクチンもない中、人同士の接触を避ける傾向は依然として続きます。コロナ流行の再燃を意識しながらオフィスで働く人が以前のようにランチに外出することや、重要でない営業活動はどうしても減少します。

感染して入院することになれば、高額な費用が必要になり、また1か月も自身のポジションを空けることになるからです。感染者が現れたオフィスは消毒が必要になるので閉鎖する必要があります。周囲のことを考えれば、在宅勤務が終わっても消極的にならざるを得ません。

そのためランチに手作り弁当が流行るほか、ランチのオフィスデリバリーが注目されるようになるのではないでしょうか。その際には、宣伝広告と受注・配達・集金のインフラが必要になります。

広告では、なぜデリバリーランチが効果的なのか、上述の社会的リスクをからめて謳うことで、デリバリーランチを選択することが正しい選択であることを伝えることができます。

受注・配達・集金のインフラとしては、従来のアナログな電話やFAX、現金よりも、ネット経由での販売システムやキャッシュレス対応など、消費者にとって手軽で安全性の高いサービスが求められます。

新たな販促法チラシの作成やネット販売システムの構築は、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金を活用することで投資金額を抑えることができます。

まとめ

(全体編集:増田竜雄)

同期会「令一会」では、アフターコロナ討議チームを立ち上げ、長期化するwithコロナの中、変化する未来について考え、その討議内容をレポートにまとめました。その内容を、本ホームページに掲載させていただきました。第1回目は、社会の変化について、第2回目は、中小企業に起きる変化について、最終回は、ホテル・旅館業と飲食業に焦点を合わせて伝えさせていただきました。

3回にわたりご一読いただき、ありがとうございます。今後は、討議メンバー各自の立場で、できることを模索し、対応してまいります。   

以上

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