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飲食業の経営支援
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須藤和夫(すどうかずお)、中小企業診断士資格取得及び神奈川県中小企業診断協会入会年度2016年。 日米合弁企業、米国企業の本社、日本企業で事業企画・開発・マーケティングの責任者を歴任し、定年退職後、診断士として独立しました。飲食業の御支援は、和食店 2社 洋風居酒屋 中華料理店 ワインバー 焼肉・焼鳥店 ラーメン店など メールアドレス: kazuo.sudo@mx2.ttcn.ne.jp
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はじめに
飲食業は開業1年で3-4割が廃業し、10年後まで続くのは1割以下という厳しい業種ですが、逆に言えば診断士にとってやりがいのある業種とも言えます。 本稿は、飲食業支援の経験の少ない方々のために、昨年11月の新実践塾で行った講義の超要約版ですが私が飲食業を支援するときのポイントをお伝えします。
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まず観察
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以下は私の経験的実感によるもので、正確な統計ではありませんが、うまくいかない飲食店の多くは ・社長が最高の調理人で「好きな料理を提供したい」「地域に愛される店を作りたい」という想いで開業。 ・理念が夢の実現なのでプロダクトアウト(いい料理は絶対受け入れられるはず)になってマーケットインができていない 。 ・ブランディングが出来ていない。 ・数値経営や人事管理が弱い。 と感じています。
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飲食業や小売業の場合、我々は客として現場を見られるという特徴があります。私は必ず店を検索して店に行き、食べてみるようにしています。
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無論、私はグルメ評論家ではなく多くの診断士の方と同様に厨房の実技指導はできません。 目的は店の雰囲気、客対応、メニューなどを顧客の目と経営面からの診断士の目を使い分けて見る事です。 そのためには特別待遇されないように経営者に会う前に行く事をお勧めします。
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外部環境
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今では記憶が薄れかかっていますが、2020年から23年春までのいわゆるコロナ過は飲食業に甚大な影響を与えました。 閉店を余儀なくさせられたり客数が急減したことで倒産した企業もありました。比較的最近の状況は、経済産業省のフード・ビジネス・インデックス(FBI)を参照してください。
飲食業の指数は数年続けて上昇しています。しかし、これはコロナで急減したものが元に戻りつつあるという意味で、コロナ前に比べると回復しきっていないことがわかります。
また、昨今の食材の物価高や人手不足は中小の飲食店には大きなインパクトで、その価格転嫁ができていないことも課題です。さらに、顧客の実質賃金が目減りしていることの影響もあります。総務省の家計調査では、収入が減少した際に家計で優先的に削減される費目の順位で第2位が外食費(1位は教養娯楽費、3位は被服費)なので、外部環境は厳しいと言えます。
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本稿を書いている段階では国会で議論が始まったところですが、いわゆる中食も含めた食品消費税がゼロ%になる可能性があります。中食が飲食店の脅威になりつつあることは近年の傾向ですが、ここに減税による価格優位性まで出てくると大きなインパクトも考えられます。 飲食店の税率がどうなるかはまだわかりませんし、そもそも中食に負けるような質やサービスしか提供できない飲食店は淘汰されても仕方ないという極論もありますが、今後の動きを注視する必要があります。
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財務分析
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飲食業では、通常の財務分析指標を用いた分析に加え「FLR」と呼ばれる指標が良く使われます。 これは、Food (原材料費)+Labor(人件費)+Rent(家賃)の合計の対売上高比で、業態により異なりますが55%-65%が健全経営ラインとされていますので確認してください。
さらに、食品のロス率も重要な指標になりますまた、上記のようにコロナ過前と後では状況が違います。信用保証協会殿の案件では直近2-3年分の財務諸表しか提供されないのが普通ですから、ご支援先にお願いしてコロナ過前のデータも分析に加える必要があります。
また、2020年から始まった時短協力金とゼロゼロ融資は飲食業の倒産を防ぐ大きな効果がありました。 しかしその影響も見ないといけません。 協力金は営業外収益に計上されているので、経常利益を向上させます。 企業によっては、営業利益がマイナスでも経常利益がプラスという現象が発生しますが、これは当然ながら企業が稼ぐ力を示すものではありません。
ゼロゼロ融資も、融資を受けた時点では倒産を防ぐ救い水でしたが、2023年から始まった返済により再び倒産件数が上昇しています(帝国データバンク 「ゼロゼロ融資後倒産」動向調査)。したがって、この両者の要素は見落とせません。
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売上と利益
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これは飲食や小売業で使われる有名な公式なのでご存じと思います。
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売上=客数X客単価= (来店客数 X 購買率) X (商品価格 X 買上点数) =(顧客ポテンシャルX来店率 X 購買率) X (商品価格 X 買上点数)
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ここで飲食業が経営努力で変えられる主要なポイントは来店率と買上点数です まず来店率は、店の前を通る潜在顧客をどうやって店内に入ってもらうかですが、非常に入りにくい構造になっていることがあります。例えば、看板が最初に開業した時は良かったが人流が変わったので見にくくなった。 他店の看板ができたなどですが、経営者は自分が分かっているので意外に気づきません。
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また、入口が道路から離れているケースもちゃんとした表示をしないと入ってくれません。 これは2階以上にある店舗では絶対です。 そもそも、誰でも雰囲気がわからない、どんな料理が出るのか、値段はなどの不安があり、初めての店に入るのは怖いものです。そのためには、店内のわかる写真(できればデジタルサイネージ)、看板メニューなどをはっきり出して安心してもらう必要があります。 こういう点は自分で店に行って観察することで見つけることができますが経営者は意外に自分では気づかないものなので、指摘して改善することができます。
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Google Map 集客(特に新規顧客)ではインスタグラムや X なども有効ですが最も強力な道具が Google Mapであることはいろいろな情報でご存じと思います。 公的な統計ではないですがGoogle Mapを活用している店と、していない店では、新規客数に20倍の差が出るというデータもあります。
私個人の経験からしても、この駅に行くので近くで昼食をとりたい という流れで店を選ぶことが多く、この説には納得感があります。 Google Mapで集客するには検索の上位(最初のページに出てくる15店舗程度の上位)に出てこないと非常に弱くなります。
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客先の情報を調べ、上位にもっていくのは強力な支援になりますが、どうしたらよいかは多くのお情報がありますし、本稿ではとても紹介しきれないので他に譲ります。
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売上利益を伸ばすには さて、せっかく入ってもらえた顧客に利益に貢献してもらえるようにするにはどうしたら良いでしょうか。無論、接客八大用語を徹底し、有名なピークエンドの法則に従って顧客体験を印象付けるように従業員指導を繰り返すことは大事です。 それに加え、食べてもらいたい商品、すなわち利益の出る商品を選んでもらうためには、メニューを工夫する(意外にただのフラットな商品リストになっていることが多いので)ことや、しっかりとしたPOPを掲示するなどは効果的です。 従業員からの声掛けやおすすめができるようになればさらに効果的ですから、それを促す教育や人事制度も必要になります。
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リピーターを作る 新規顧客を増やすことに加え、一度来てもらえた顧客に継続して来店してもらうことも非常に大事です。 1対5の法則と言われるように、新規顧客の獲得コストは既存客の維持コストの5倍と言われています。 そのためには顧客に満足してもらうのは当然として、リピーターになってもらえるような仕組みも必要です。 良く言われるように会員制度やメールマーケティングは効果がありますが、本稿では書ききれませんのでは他にゆずります。
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ブランディング 飲食店に限りませんが自社のブランドを明確にすることが大事です。私はブランドとは「顧客が自店で食べないといけない理由」と言っています。他店を圧倒する品質、他にはない料理、絶対安くて量がある、などどれでもいいのですが、それが顧客のペルソナがと合っているかどうかは要確認です。大手中華料理店で腕を磨いた社長が「自分の味をわからない客ばかりだ」と言ったことがありますが、その地域では安くて大盛りのラーメンを求める客ばかりだったこともあります。
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最後に
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このように厳しい環境の中で、繫栄する企業を育成・支援するということは診断士にとってやりがいのある分野ともいえますので、未経験の方はぜひ飲食業の経営支援にチャレンジしていただきたいと思います。
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