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準備OK?下請法改正後を見据えて
~問われる中小事業者の真の実力~

強みレポート
筆者紹介
重田 義人(しげた よしと)令和6年度 中小企業診断士登録、神奈川県中小企業診断協会入会
自動車業界をさまよう企業内診断士。業務は一貫して調達・購買分野において外部調達品の安定調達、コスト適正化、取引先支援等に従事。モノづくりの現場改善活動から調達戦略、BCP、経営戦略の策定など製造業の困りごとを幅広いレイヤーでご支援。
メールアドレス:yoshito.shigeta@anpapa-office.com

はじめに

 皆さん、こんにちは。いよいよ改正下請法が令和8年1月1日から施行されます。ここでは改正内容の詳細には触れませんが、昨今の物価上昇に対応するためのコスト上昇の速やかな価格転嫁による中小事業者の賃上げの原資の確保、手形取引の廃止による中小事業者の資金負担の軽減、サプライチェーン全体の強化など、引いては日本経済の活性化を目的とした内容になっています。
 親事業者を強者、下請事業者を弱者とする従来の取引関係から互いを共に成長するパートナーという関係に昇華させるため下請業者の一層の保護、親事業者の義務の拡大が求められています。
 この記事では下請法改正後における新たなビジネス環境下での親事業者と下請業者の関係について主に製造業に関して筆者目線で述べていきたいと思います。
*本記事では従来略称の「下請法」をベースにした用語の使用とします。

下請事業者から対等なパートナーへ

 今回の改正では対等な取引関係の構築を目指して下請事業者の一層の保護と親事業者の義務が拡大されます。これは見方を変えれば親事業者の負担拡大となります。この点では従来の取引関係から対等なパートナーとなることで下請事業者だから許されていたことが許されなくなる逆の側面が出てくることが予測されます。
 負担増に対応するために親事業者が取引先の再構築を検討することも考えられます。日本経済が右肩上がりであった時代は昔話となり業種によっては厳しい親事業者も多数存在している中では当然予測できることです。
 また、日本の下請構造の特徴として多重下請構造と親事業者への依存度の高さが挙げられます。今までは互いに補完しながら関係を維持してきましたが、今後はこれらの高い依存関係の状況を解消していかなければ真の対等なパートナーになることは困難だと考えます。
 サプライチェーンの強化は親事業者だけでできることではありません。今回の改正で下請事業者の財務的な負担が軽減される一方で新たなリスクや課題に備える必要があります。

価格転嫁の透明性

 今回の改正の目玉の一つは『協議を適切に行わない代金額の決定の禁止』です。親事業者と下請事業者の力関係だけで代金額を決定することは許されなくなり適切な協議を経て双方納得の上での決定が求められます。これは親事業者、下請事業者双方にこれまで以上に価格転嫁に対する妥当性が求められることになります。下請事業者の観点で言えば適切な原価管理を行った上で労務費、エネルギー費、物流費等のコスト上昇分の転嫁を求めていくことになり親事業者は公的な指標などに基づいてその妥当性を判断することになります。
 適切な協議を行なっていくには双方にその前提となるデータや転嫁のロジックが必要になります。下請事業者側にはこれまで以上に原価管理、各種のコスト管理が求められていくことになります。

求められる課題解決

 対等なパートナーになることで取引の継続性、安定化のためにこれまで以上に中小事業者が広く抱える課題解決が求められます。具体的には人手不足への対応、後継者問題、DX化による労働生産性の向上などが挙げられます。親事業者としては負担増に見合うだけのサプライチェーンの強靱化が課題となりますので下請事業者としては今までは具体的に着手してこなかった自社の課題解決のために経営資源を割く必要がでてきます。
 また、価格転嫁が進み価格の適正化が進むことで価格競争が正しい方向へ是正されることが期待される一方で対等なパートナーとなることで競争環境の変化も予想されます。例えば、競争相手がグローバル化する可能性もありますし、今までと企業規模の異なる競争相手が出現する可能性もあります。中小事業者として過度な価格競争を回避するためには他社との差別化を進める必要があります。これらの競争環境の変化に対応するために経営戦略、事業戦略、製品戦略、価格戦略などを事前に策定しておくことが経営の安定化に繋がります。

おわりに

 下請法改正後に考えられる中小事業者のビジネス環境においての親事業者と下請業者の関係の変化に関して筆者目線で駆け足で書かせて頂きました。少し厳しめの予想になっているかもしれませんが私は今回の下請法の改正は日本における従来の商習慣を大きく変革するきっかけになるものだと考えています。
 大きな変革に痛みは付きものです。今回の改正は短期的には中小下請事業者の財務面での負担軽減に大きく資するものだと考えます。ただ、中長期的にはどうでしょうか?そこには中小事業者にも痛みを伴う変化の波が待っていると私は考えます。そして、同時にここには中小企業診断士の活躍の場があると考えております。下請法改正後も中小事業者が抱える課題解決としては事業承継、M&A、DX化対応支援、生産性向上、その他でも価格転嫁の支援活動や経営戦略の策定支援などメニューは多岐に渡ります。
 来年1月1日に実施される下請法の改正をきっかけに中長期的には中小事業者の経営環境は大きく変化することが予測されますが、引き続き会員の皆様と共に中小事業者のお力になれるように微力ながら活動していければと考えます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
以上

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