このメールを共有する公開リンクをコピーするか、お気に入りのチャンネルで共有してください。

飲食店創業・経営の基本を思いつくままに

強みレポート
筆者紹介
玉井 政彦(たまい まさひこ)
診断士資格登録:1998年(平成10年)4月
神奈川県診断協会入会:2023年(令和5年)9月
1999年10月、鉄鋼会社から子会社に転籍になるのを機会にJICA専門家(JICA Expert)として2000年1月より2018年3月まで断続的に海外中小企業経営者・管理職への講義、セミナー、各種調査活動などに従事。
2008年~2010年には、サンパウロでゼンショー・ブラジル現地法人設立と「すき家」チェーン店舗展開基盤構築に従事。
メールアドレス: m_tmi@hotmail.com

はじめに

 筆者のメルマガ記事が、2024年6月、7月、8月に連続して配信されています。これらの配信では、JICA専門家として活動していた当時の話題が中心でした。2025年度も引き続きメルマガ委員に選定されました。今回は、「飲食店創業・経営」に焦点を当てた話題をお届けします。
 著者紹介に記載通り、私は大手外食企業ゼンショー(当時)のグローバル戦略の一環として、サンパウロにて現地法人の設立と「すき家」第1号店舗の創業を経験しました。また、「EBRD(欧州復興開発銀行)」成長戦略プロジェクトのシニア・アドバイザーとして、タジキスタンでサモサ・チェーン企業の経営支援を行いました。


飲食店創業・運営の際に知っておくべき事項

 飲食店を創業される方々には、「あなたの開業決意は、本物ですか?飲食が本当に好きですか?」と、お尋ねすることにしています。その決意が固いと分かれば、「自己資金はどの位お持ちですか?」「ビジネスモデルをご存じですか?」とお尋ねしています。【飲食店開業を目指す方々】を対象に論を進めます。

第1要諦:「ビジネスモデルを真剣に検討する」。
「ビジネスモデル」とは? 答えは、「Who, Where, What, How」、つまり「誰に、どこで、何を、どのように提供するか?」をまとめたものです。ビジネスモデルが無いと、起業しても羅針盤の無い場当たり的な経営になります。ビジネスモデルの「整理表」を下表に示します(実際は具体的に記入下さい)。時間をかけて検討することをお勧めします。「Why」を追加すれば、存在意義を検討できるでしょう。

Who(誰に)
Where(どこで)
What(何を)
How(どのように)
地域住民
商店街
手作りの家庭料理
店内飲食/テイクアウト
観光客
都心の観光エリア
地元の特産品を使った料理
店舗内提供/イベント参加

第2要諦:「立地は最大の課題である」。
 「飲食店開業・経営」にとっては、「立地」(location)が非常に重要なことはどなたもがご存じです。私も、サンパウロで「すき家」第1号店舗をどこに置くかで相当の時間と労力を費やしました。現地法人を設立して間もない頃から、不動産業者の車に乗せてもらって、いろいろな地区をまわりました。着目したのは、地下鉄駅、バス停近くで、しかも既に何店舗かが飲食店として経営している大通り、特にマクドナルドなどチェーン店舗が経営している場所に近い所でした。

 幸いにも日系ブラジル人が多く住む「リベルダージ」(自由)地域の地下鉄サン・ジョアキン駅のそばのマクドナルド店近くで雑貨商を営む方から賃借することができました。実は、賃貸借契約締結に持ち込むのが大変でした。弁護士が「代理人」として関与し、当方にすれば邪魔をしているとしか思えない行為をするわけです。弁護士報酬を多くしようとしていたとしか思えませんでした。対処策は、弁護士が夏季休暇でサンパウロを離れたすきを狙い、雑貨商と直に話し合い双方満足のいく条件で決着をつけることができました。

第3要諦:「店舗コンセプトの7項目を理解する」。
 確立したチェーン店舗では、「店舗コンセプト」が決まっていて、その通りに進めればよいわけですが、これから飲食店を開業される場合、店舗コンセプトをしっかりと検討する必要があります。7項目とは何でしょうか?下表をご覧ください。①から④は第1要諦で既に見た通りですが詳細に検討します。
第4要諦:「FL比率60%~65%、食材比率を35%、人件費率を25%~30%にコントロールする」。
ここからは、飲食店経営での重要な「指標」、「格言」等をご紹介していきます。
先ずは、「FL コスト」と「FL 比率」です。F はFood(食材)です。L はLabor(労働)です。従い、
 それでは、FL 比率をどれ位にコントロールする必要があるとお考えですか?
一般的には、60%~65%と言われています。人件費率(人件費÷売上高)は、25%~30%が適正と言われています。つまり、食材費率は35%位が適正ということになります。
第5要諦:「FLR 比率70%以下、家賃5%~10%にコントロールする」。
 「F、L、Rを飲食業の3 大コスト」と称しています。FLR比率=(F+L+R)÷売上高となります。今後、人件費、食材費がますます高騰することは誰の目にも明らかです。ですから、なおさら、これらの指標には徹底的に目を配る必要があります。重要な指標を続けて話題にします。「生産性」です。

第6要諦:「人時売上高、人時生産性に常に注目する」。(「人時」:にんじ)
 生産性=Output(産出)÷Input(投入)です。
飲食業では「人時売上高」と「人時生産性」で生産性を議論します。これらは、チェーン店舗運営には非常に重要な意味を持ちます。
  • 人時売上高は、従業員の労働1時間当たりの売上高を示す指標で基準値は、4,000 円~5,000円/人・時と言われています。店長の評価などに用いられます。
  • 人時生産性の分子は、厳密にいえば、付加価値となりますが、現実には、売上総利益(粗利益高)を採用します。分母の全従業員の総労働時間には、パートやアルバイトの非正規雇用従業員の労働時間、及び時間外労働も含まれます。勤怠管理を徹底して、効率的な店舗運営ができているかをチェックします。

 それでは、人時生産性を上げるにはどのようにすればよいかが問われます。簡単です。
次回では、「粗利を増やす具体的な方法」、「飲食店開業スケジュール」などを考察する予定です。
以上

その他最新の投稿

国府津・曽我丘陵ウォーキング かながわ☆はとば会主催

11月23日に神奈川魅力発見ツアー、国府津・曽我丘陵ウォーキングを開催します。 今年の「かながわ☆はとば会」ハイキングツ …
国府津・曽我丘陵ウォーキング かながわ☆はとば会主催

理論研修実施報告『フランチャイズ企業における“現場起点”の 経営変革 ―環境経営・人材育成・地域連携の取り組み ―』

理論研修実施報告『フランチャイズ企業における“現場起点”の 経営変革 ―環境経営・人材育成・地域連携の取り組み ―』
2026年10月10日(土)、理論政策更新研修において、株式会社ダスキン東横の松日楽正樹代表取締役より、『フランチャイズ …

連載企画 ソーシャルセクター支援 (1)NPO支援を始めたきっかけ

1.はじめに 初めまして、今年診断士登録した水野と申します。本連載では、現在私が取り組んでいるソーシャルセクター支援につ …
連載企画 ソーシャルセクター支援 (1)NPO支援を始めたきっかけ

連載企画 小規模商圏における店舗出店のポイント (1) 商圏の広がりと「量」を捉える

はじめまして。人見大輔と申します。大手コンビニエンスストアチェーンで、20年以上にわたり店舗開発の仕事に携わってきました …
連載企画 小規模商圏における店舗出店のポイント (1) 商圏の広がりと「量」を捉える

連載企画 人事制度から見る組織文化 (1)人事制度とは

連載企画 人事制度から見る組織文化  (1)人事制度とは
皆さんこんにちは。中小企業診断士の清野です。これまで約20年間人材業界で企業の人事課題の解決を支援してまいりました。ここ …

理論研修実施報告『~ベンチャーフレンドリーから始まる共創の未来~モノづくり天国・東京 大田からの挑戦~』

2026年9月26日(土)開催の理論政策更新研修において、東京都大田区にある、 有限会社安久工機 代表取締役 田中 宙 …
理論研修実施報告『~ベンチャーフレンドリーから始まる共創の未来~モノづくり天国・東京 大田からの挑戦~』
facebook twitter